・・・ドラッケン・・・ |
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ずーっとウワサだけは聞いていて、しかし日本版に移植されなくて、 長い間プレイできないゲームがある・・・ というような事が昔はわりとあったのですが、<ドラッケン> は その典型的な1つでした。 そして、<ドラッケン> は、「今までプレイした中で好きなゲームの名前は?」 と聞かれたとき、私がトップに挙げる作品です。 評価がダントツなのにも関わらず、日本での発売が滞っていた理由は、 発売されてみてわかりました。 これはもう本当に大変な(良い意味でも悪い意味でも!)ゲームだったのです。 <注> 私はNEC98版でプレイしましたが、 その後スーパーファミコン版にも移植されています。 ただし、内容的にほぼ違うソフトと思った方がいいくらいに感触が替えられています。 というわけで、スーファミでやった事のある方は、 「自分がプレイしたゲームとパソコン版とでは感覚が違うかもしれない」 という前提で読んでみてください。 |
さて、ちょっとオタクっぽい説明から入りますと、 これはとても古いゲームなのですが、 処理の遅いパソコンしかなかった当時としては珍しく (というかほとんど初めて?)、 360度3D移動のリアルタイム戦闘で、 しかも超高速処理でまったく揺れもモタつきもない。 しかも、8色表示からようやく16色表示になった頃なのに、 画面を見えないくらいに早く多重表示するか何かして、 結果的に48色表示する・・・という、 当時として超美麗な切れ味の、 素晴らしく手のこんだRPGゲームでした。 ドラッケン様のお城もどこかエキゾチックで、ラボチェッタのような画風が 雰囲気の中に入っていたり、室内の舞台劇のような書き割りも、 美麗なんですがどこか20世紀初頭風なところがあって、 WIZのようなダイナミックな雰囲気でなく、 どこか古典劇のような、マニアックで渋い感覚の美しい背景が使われていました。 −−−さて、私はゲームを買ってくると、 まずマニュアルをじっくり読んで、 雰囲気とゲーム手順を把握してからスタートするタイプなのですが、 このゲームのマニュアルにはちょっとビビりました。 なにしろプレストーリー(ゲームのベースになる世界説明や、 今からプレイする事件のきっかけなどが簡単に書いてあることが多い)が長いっ! なんか、短編小説1本分くらいありまして、しかもその内容が、 今回の事件のイントロと言うより、 ドラゴン(ドラッケン)による人類の創世神話から始まっていて、 要するに、ドラッケンというのが神さま(自分たちを作った創世神)で、 しかもその神さま達がモメているせいで世界がどーにかなにそうだという危機なんですが、 ドラッケン様たちは、人類のことなんか(ちょっと冗談で作ってみただけなので) 別にどーとも思ってない、このままでは私たちはドーなるの?! ・・・というようなとんでもない設定が、ものすごく重厚な雰囲気で 書かれてあります。 そのあと今回の事件のプロローグに入り、 とにかくまぁ、神さま達のケンカを止めてなんとかしようという使命を帯びて、 数人が何とか神さまの島までたどり着き、 そこからこのゲームが始まる訳なのですが・・・ (と、ここまで何十ページもあるんです、その小説が・・・) で、ありがちな防具や武具の説明をわらわらと見て、 私はたいていソーサラーを中心にプレイするタチなので、 魔法の呪文の説明を詳しく見て、 そこに「呪文名の文字対訳表(英字vsドラッケン文字)」 が載っているのを見て 「おおー、雰囲気出して、こんなオマケまでついている」 と、凝った演出に喜んでプレイを始めたのですが・・・ この対訳がオマケじゃなく、実用品だったなんてっっ・・・! |
さて、この<ドラッケン>というゲーム。 最初にも書きましたが、 3D移動でリアルタイム戦闘で、しかも 1日 があるのであります。 舞台は ドラッケン島 という、 ごく小さい見晴らしのいい視界のいい島なんですが、 まず朝になると東から太陽が昇り、昼間は天井に太陽があって、 夕暮れになると西に沈んできて猛烈な夕焼けのあと夕闇が迫り、そのあと夜になって、 夜明けまでまたずーっと夜間の時間経過があるのであります。 ・・・で、RPGゲームをよくプレイする方はご存じだと思いますが、 「ライト(松明/灯り)」の魔法はだいたいふつうは初歩の初歩、 レベル1の初期魔法で、スタート時にはだいたい魔法使いがすでに唱えられるか、 そうでない場合は、代用できる灯りなどをどこかで入手出来るものですし、 それ以前に、灯りが必要なのはダンジョンの中(屋内の暗闇)であって、 戸外の夜は、ライトが無くても星明かりや月明かりの設定で、 まわりが多少暗いながらも普通に歩けるものです。 ただし、ドラッケン島の場合はもうすでに呪いの中に片足入っていまして、 夜になると(本当は空に星や月が出て薄明かりがあるはずなのですが)、 あたりは漆黒の闇のマントに覆われてしまうのであります。 だから「ライト」の呪文を唱えればなんとかなるはずなんですが・・・ −−−が、・・・このゲーム・・・ 「ライト」が3レベルです・・・(!!) 神さまの島なので、まわりに店やアイテムはありません・・・ ドラッケン島の神さま(もちろんドラッケン様です)の城に挨拶に行ったものの、 明るくするものは特に何もくれません・・・ 要するに、初期段階で <灯り> はありません・・・ レベル3はまだなかなかです・・・ すぐに日が暮れてきます・・・ まわりは漆黒の闇で、まったく何も見えません! ディスプレイ上の 視界 が完全にゼロで真っ黒で塗りつぶしベタ なのであります。 それでもまぁ、レベル1だから弱い敵相手にしていればそのうち夜が明けるだろうと、 じっと移動せずに夜明けを待っていると・・・ なんか・・・ 誰かに・・・ 襲われている気配が・・・ するんですが、とにかく何も見えないっ! 魔法使いくんが、持っていた最高の攻撃魔法(といっても、 レベル1ですからポソポソ飛ぶちんこい火の玉ですが) を投げてみると、その灯りで浮かび上がったのは、超巨大な、 空飛ぶムカデのようなむちゃくちゃデカイ敵で、 空中でとぐろを巻いて、 蛇踊りのようにうねって急降下してくるではありませんか!! 「げーーーっっ!」 と言ってる内にその場で全滅しました。 慌ててロードして、またやり直してみたのですが・・・ とにかく夜の敵は呪いの魔力がかかっていて、ボスキャラ並みの強さというか、 レベル1ではまるで歯が立たず、しかも空中から来るので我々が どこに立っていてもみつかって、朝になるまでに攻撃されて死んでしまうのです。 「ど・・・どうしよう・・・?! あっそうだ! ドラッケン様のお城に入っていれば、そのうちに夜が明けるかも・・・」 と、夕暮れになった時を見計らってお城に入ったのですが・・・ 何十分して出てきても、外は夕暮れからスタート! うわぁぁぁ! 室内にいる間は時間がカウントされないのかぁっ?!?!?!」 何度やっても「真っ暗」「全滅」「真っ暗」「全滅」の繰り返し・・・ どうしていいかわからずに、もうここでやめちゃおうかなと、 ゲームの箱にフタをして (ここでやめた人 ものすごく多いと思うぞっっ!) 2ヶ月ほどたった頃・・・ 載っていたんですね雑誌にヒントが・・・! 「お城のひさしの下に入っていると、夜の敵に襲われません」 ・・・なんだとぉぉぉっ?! 早速、ドラッケン様のお城(行ける範囲内でここにしか建物はない) の間近まで行って、城壁にくっつくようにして、 そのまま肩を寄せ合ってじっと息をひそめていると・・・ 来ない・・・ 空のバケモノが来ないーーーっっっ!!! いや、死ぬかと思いました・・・ いや死にまくったんですが、 真っ暗な中、ドキドキしながらも、とにかくそこでじっとしつづけていると、 実質15分か20分たった頃、 ゲームの画面がだんだん薄ぼんやりと明るくなってきて、 人影が見分けられるようになってきて、空が明るくなってきて、 地平線の向こうにわずかに太陽の日射しが・・・ 「わぁぁぁぁ! 朝だぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 夜明けを見てこんなに感動したことはないと思います。(マジで!) それからあとは、明るい内はまわりをうろうろして冒険と戦闘を続け、 太陽が沈み始めると走って帰ってきて、お城のひさしの下で野宿 (マジでキャンプだこれ!)。 画面が真っ黒になっている夜の間、プレイヤーである私は、 ヒマなので(つまり、戸外では時間経過が完全に リアルタイム進行なんですこのゲーム) マニュアルと首っぴきで呪文の勉強をしていました。 (なにしろ、夜が20分くらいあるものですから・・・) そうこうしている内に、何とかレベル3になって、魔法使いは「ライト」 の呪文を収得しました。 夜のお城のかげにひっそりとくっついて隠れながら、 視界ゼロの闇の中で、このゲームで生まれて初めて ライト の呪文を唱えてみました。 一瞬、闇が消えて薄明るくなり、重ねてライトを唱えると暗黒の闇が消えて、 空一面が煌めくばかりの満天の星空でした。 「うわぁーー!」 と叫んでしまって、ガクゼンと夜空を見つめてしまいました。 とにかくこの星空、冬の夜空のように澄みきった中に降るように星が輝いて、 すばらしくキレイなのであります! あんまり嬉しかったので、その日は何度もライトの呪文を唱えて 星空を見続けました。 まだまだ空のバケモノには勝てるはずもないので (空のバケモノと戦えるようになったのは、 最低でも中盤になってからだったような気がします) また建物のかげにひっそりとくっついて隠れながらでしたが、 ドラッケンは自然と風景描写の素晴らしいゲームで、 特に空の描写は素晴らしく、この満天の煌めきわたる星空は、 今思い出しても涙が出るくらい素晴らしいのであります。 「この星空で脅かすために、わざわざ ”ライト” を 3レベル なんて高いレベルに設定しときやがったな・・・」 私は内心 「ちっ!」 と思いながらも 「まいったなぁ・・・」 と思っていました。 つまりドラッケンは、こういう念の入った演出のあるゲームであって、 ごく普通の、片手間にちょっとRPGをやりたい人には、 そういう訳で、このゲームはまったく向かなかったのであります。 |
さて、ドラッケン様のお城ですが、 我々がお城に入っていくと、姫君がいらっしゃいます。 もちろんドラッケンの姫君ですから、すんごいコワイ竜です。 その竜なんですが、なにしろ造物主の上に、我々と全く価値観の違う人種・・・ いや違う種族なので、なんか話が合わないと言うか、 コミュニケーションがなんとなくヘンというか、 我々がお城に挨拶しに行くと 「醜い・・・」 とか 「なんて貧弱でカワイソウな生き物」 とか、めちゃくちゃ言われちゃって、「いや・・・それは個人の価値観の問題・・・」 とか思っても、なにしろ相手は造物主で、言うなれば人間の親代わりというか、 まぁそんなエライ(?)ドラッケン様なのですから、 ここで文句言うのもナンなんですが、それにしても「やっぱ失敗作だったな、 やめとくか・・・」とか言ってつぶされちゃうと元も子もないので、 ごく丁重に挨拶しながら退出しまして(一応、”じゃあがんばってね” とか言われて、剣か何か下さるのですが) で、その、ゴツクて、ゴワゴワのウロコで、筋肉モリモリで、 ゲボケホ炎なんか吐きそうな、モノスゴイドラッケンのバカでかい姫君様が 「美しくてたおやかな何とか姫」 だったりするので、 もうなんか、概念そのものが崩れまくるというか、クラクラしてくるのですが、 (”ビースト・テイル”で、人間には理解できない行動パターンの オーガーのお妃様 というのがいるんですけど、ちょうどあんな感じ) ともあれ、このドラッケン様の世界観についていかないと、 ありがたい造物主様と、我々 被造物体 との関係が崩れてしまうので、 何とかドラッケン様の世界観に必死でしがみついたりはするんですが、 とにかくどのドラッケン様にお会いしても、人間なんか 「ゴキブリかゾウリムシ扱い」 なので、けっこう大変なのであります。 ちなみにこれはフランス製のゲームで、 我々日本人や、英米人とも違って、カソリックの多いフランスで、 キリスト教徒にとって「悪」や「破壊」など「忌むべき力」のイメージが 強い「ドラゴン」を「自分たちの造物主」と設定したところに、 まず、このゲームの面目躍如たる部分があります。 |
ところで、ドラッケンで使われている{呪文}なのですが、 マニュアルにはドラッケン文字(という、 オリジナルなくさび形文字風の字)と、カタカナ読みとで呪文名が載っています。 で、その下に、ドラッケン文字のアルファベットと 英字のアルファベットの対訳表がついてまして・・・ 画面で呪文を使おうとすると、ドラッケン文字で名前の一覧が表示されます。 その中からかけたい呪文を選択して唱えなければならないのですが・・・ 画面を見て、 ドラッケン文字>英字>日本語カタカナ と、 一瞬にして三段階の訳を脳内変換しなければいけないので、 ドラッケン文字のアルファベットを暗記してないと、 <リアルタイム戦闘で瞬時に必要な呪文を選べない> んだこれがっ・・・! 魔法使いをプレイするのが好きな私ですが、 まさか魔法文字の解読を自力でするハメになるとは思いませんでした。 ここでザセツした人は、 夜のバケモノにやられてザセツした人の次に多いと思います。(こらこら) しかしまぁ、何とかそれもクリアして、 なんとなく魔法的アカデミック気分(?)になりながらまわりを見渡すと (ゲームの・・・ですよ)、 わずかに黎明の空にオレンジ色の太陽が昇り初め、あたりの景色が 徐々に昼のクリアーな色に変わっていくのであります。(要するに、 夜の間は、お城のひさしの下で時間待ちをしなきゃいけないので、 私はその間、ドラッケン文字の勉強をしていたのであります) ちなみに、こういう 「プレイ中の時間待ち」 をさせるゲームは、 一般にはまずありません。 私が経験した限りでは、この<ドラッケン>だけでした。 夜のバケモノとなんとか渡り合うことが出来るのはかなりレベルが上がってからですから、 プレイヤーは、普通はこの「夜間の時間待ち」を経験することになります。 日本のゲームではちょっと考えられない事で、 これにつきあってプレイするタイプのプレイヤーも、 日本ではかなり少ないのではないかと思いますが、 これが(ゲーム内の時間がゆっくり確実に流れている中で プレイをするということが) このゲームの極端に重要な、 決定的に重大なファクターだったのではないかと思います。 ドラッケンのゲームとしてのテーマは、 おそらくたった一つだったんじゃないか、と私は思っています。 あの長大な、小説ほどもあるプレ・ストーリー、 人間にはついていけない 感覚を持ったドラッケン様の”造物主”としての存在、 プレイヤーが実際に文字を収得しないと読めない呪文、 することもないままプレイヤーが20分間も待つ「夜」 というゲーム内の確実な時間・・・ それらが語りかけるのは、 「呼吸を合わせて、この世界の中に一緒に同化しよう!」 という熱烈なコールです。 |
さて、ドラッケンのパーティーは4人組で、 戦士・僧侶・魔法使い・盗賊、というキャスティングになっています。 キャラクターのステイタス表は画面の左に大きく絵入りで表示されていて、 衣装は着せ替え人形方式で、いい鎧などを手に入れると、 いきなりキャラクター表示がかっこよくなったりするのがなかなかステキでしたが、 武器や装備品には「摩滅度」が設定されていて、 あんまり派手に戦っていると戦闘中に壊れてしまい、 いきなりハダカにワイシャツ姿・・・ みたいになって、けっこうナサケナイのでした。 閑話休題、 とにかくその皆さんですが、 リーダーが歩くとそのあとを金魚のフン方式でついて歩くという、 わりと簡単な移動方式です。 最近で言うと、ディアブロ2の「傭兵」のような追いかけて歩いてくる方式・・・ 古くはファースト・クイーンなんかのゴチャキャラ方式でも、 リーダーが別の部屋に抜けているのに、追いかけてくるはずのキャラクターが、 途中で通路の曲がり角かどこかに引っかかって、 道に迷ってはぐれたりする事がよくありましたが、 ちょうどそんな感じで、ドンドン早く歩いていくと、 後からついてくるはずのメンバーが来ない・・・ それも、なぜだかわかりませんが、隊列をどういう順番にしても、 かならず「僧侶」がはぐれる(おいおい・・・)んであります。 で、行った先で敵がいて戦闘してると、すこぼこにやられたりするのに、 僧侶がいないもんで、ろくに回復魔法がかけられない・・・(おいおいっっ!!) そうかと思うと、部屋に入った時、「しらべる」コマンドで、 書棚やらタンスやら机やら、 いろいろなところを調べてヒントやアイテムを見つけるのですが、 ふと気がつくと、魔法使いは勝手に書棚のところに行っていて、 へばりついていて呼んでも(こちらに来いとクリックしても) 動かない。(こらーー!) べつに、ゲームのプログラムがそういう設定になっているわけではなくて、 たまたま魔法使いの「立ち止まる位置」の背景に、 部屋の書棚があるだけだとは思うのですが、 とにかく、何かというと書棚の前にいて、 ずーっと書棚の本をチェックしているので(という雰囲気なので)、 しかたなく、じゃあ盗賊のおねーちゃんにでも調べてもらおうかな・・・ 盗賊だから部屋の中を捜すのは向いているだろう・・・ と、盗賊に「しらべる」を指示しようとして、ふと見ると、 部屋の真ん中にある机に座って、 足をぶらぶらさせてくつろいでいる(サボるなーーーっ!) まぁこれも、たまたまその位置に机があって、 その上にキャラクターが乗っかるような位置に来ると、 こんなポーズになるだけなんですが、しかし、ものが美人の女盗賊なだけに、 どう見ても 「根っからサボるのが好き」 としか思えない! 「えーいしょうがない! こうなったら僧侶君だ!」 と見ると、 またどっかの扉でひっかかったらしくて、まだ部屋に着いてない(おーーーーいっ!) しかたなく、最後はいつも、生真面目な戦士のおにーちゃんが、 不器用に部屋中をがさごそ捜すハメになるのですが、 難しい書類なんか出てきたら君では読めないのでは??? と、 心配したりして・・・ |
さて、このゲームには「マップ表示」がありません。 3D移動方式なので、普通は迷路のように道を区切ってあるとか、 なんかわかりやすく、地図やメモが自分の手で描けるように出来てるもんなんですが、 このゲームはだだっ広い平原に1本くらいカーブした道があるだけで、 あとは全部平地だったりして、つまり、 ほとんどマッピングのしようがないゲームで、 どこからどっちに行くとお姫様のお城があるんだったっけ?? とかいう事が頻繁にあって、 もちろんおおまかな地図は手元にメモしているんですが、 あまりに目標物がなさ過ぎて、移動する時どうしようもない! しょうがないので、始めの頃は、明け方と夕方を待って、 太陽の位置を確認して方角の見当をつけていたのですが、 (夜だと星が出て星座で方角が分かりやすいのですが、 レベルの低い間は空のバケモノが怖くて夜間に移動できない!) そのうち、もうちょっと便利なモノがあるのに気がつきました。 ドラッケン島はごく小さい島なので、すぐ向こうに別の島の島影というか、 島の山の山頂らしいモノが小さく見えてるんですけど、 これが超遠景なもので、どこに移動してもほとんど方位が変わらない! 「や・・・やったー! これで昼間も方角がわかるっ!」 (意味が分からない人は、書店で三角測量か何かの本を見て下さ・・・あ、 三角測量って、これとは違うか・・・? えー、とりあえず、 遠景に対してこちらの移動距離が小さいと、振幅幅が少ないので、 山の見える方角が変わらない、という事であります) まさか、こんなところでオリエンテーリングをすることになるとは・・・ と、こんな感想ばっかりですが、 現実の知識がゲームの中で応用できるという、なかなか珍しい体験でした。 |
・・・で、ドラッケン島は大きく4つのエリアに分かれていて、 まず緑の多い木々と草原の緑地帯、石と岩の多い平原地帯、 雪と氷の真っ白な海岸地帯、エジプトかアラブのような砂漠地帯・・・ となっていて、それぞれにBGMが流れているのですが、 このBGMがドラッケンを作り上げている大きなファクターの一つで、 あまりメロディアスでない、一種効果音に近いような、 ちょっと現代音楽のような不思議なBGMなのですが、 ”ドラッケンといえばBGM!” と、マニアの間で有名になっていたほど、とにかく強烈に印象的で素晴らしいのです。 特に、雪と氷の白いエリアの、静かに凍るような響きの音楽は素晴らしく、 私は、用もないのに氷のエリアに入っては、ずーーーっと、 ただただ音楽を聞きながら歩き続けたことがあります。 一度聞くと耳について離れないような、非常に強烈な印象のBGMでした。 今でも空を見て「ドラッケンみたいな空だな」と思ったとたんに、 この音楽がフラッシュバックしてくる事があります。 「ドラクエ」ファンの人が、ドラクエのオープニングの1小節目を聞くだけで 「あっ」 と思ってちょっと涙ぐんだりするような、そーゆー条件反射です。 ちなみに、移植されたスーパーファミコン版では、このBGMは (一般ユーザーになじめないと思われたのでしょう) ごくごく普通のゲーム音楽タイプにとり替えられていました。 ライトの魔法が唱えられるまで真っ暗だったり、 夜の時間待ちを20分もしたり、 呪文の収得がプレイヤーが文字を覚えるところから始まったり、 非常にわかりにくくて進めない部分なんかの手間取る部分も全部やめて、 時間をかけずに、飽きずにサクサク進めるように、 全てのバランスやメッセージや方式、すべてのバランスを改良してありました。 その結果、(本来のゲーム自体は、ものすごく小さくてコンパクトだったので) 私が3ヶ月以上かかって終わらせた長大なゲームが、 友人がプレイしたスーパーファミコン版では、ほぼ1日で終われるくらいの、 コンパクトで単純なRPGになっていました。 ・・・ところで、このゲームのとりえは、極言すればたった一つです。 それは 「ドラッケン島の時間と空間が、 自分のまわりで空気になるまでゲームと共有する」 こと。 プレイヤーが、ドラッケン島の時間に巻き込まれ、その時間を共有し、 方角や空の時間の移ろいを体のリズムとして覚え込みながら、 ドラッケンの世界の中に沈んでいく、「異世界同化体験」 それ「だけ」がこのゲームの(愉しみの)全てだと言っても、 過言ではありません。 実際の所、ベースになる物語展開は非常に単純だし、 RPGらしい戦闘や冒険の楽しさも、わりと”普通”のゲームなのですが、 プレイをし終わった後の、 自分の足ででも歩いて移動できるようなドラッケン島の土地勘や、 実際の空(特に強烈な夕焼け)を見ると、一瞬にしてゲーム世界に体中が引き戻される、 現実との間の強烈な臨床感は、 他のゲームではどうやってもマネのできないものです。 この 「ドラッケン島の時間の流れ」 と 「音楽」 を、完全に失ってしまったスーパーファミコン版ドラッケンは、 画面もパソコン版より荒く、全体が色落ちしたせいもあり、 残念ながらあまりいい出来ではありませんでした。 だから、プレイして「面白い」と言った人はほとんどいなかったのですが、 たった一人、私のゲーム友達は、 スーファミ版でも、ドラッケンの空がものすごく気に入って、 「夕日に向かって走れ!」 と叫びながら、ゲーム中のキャラクターを、 夕日の海岸に向かって走らせ続けていました。 その友達と2人でスーパーに買い出しに行った帰り道、 ふと見ると、空が素晴らしい色のすさまじい夕焼けに染まっていました。 「あー、ドラッケンだなぁー!」 と、思わず私が言うと、友達は 「夕日に向かって走れーー!」 と叫んで駆けだしていました。 二人とも、ドラッケン島に帰りたくなっていました。 コンピューターRPGの魅力の一つは、 異世界が疑似体験出来ると言うことですが、 ドラッケンは、ほとんど「それ」だけを追求したゲームです。 ゲームを楽しむとか、自分の中に物語を構築するといったようなことではなく、 ただただ、ゲームの世界に同化し、ゲームの時空間の中で呼吸を始める、 コンピューターの中に作り上げられた世界の中に、自分が入って、 現実の時間とシンクロしながら生きることが出来る・・・ そういうようなゲームでした。 このタイプの”同化性”を追求したゲームは、 さすがにこれ以外に見たことがありません。 ある意味では、ちょっと麻薬的だし、 この現実と区別できないほどの実感の強さは 「アブナイ」 のかもしれません。 ただ、こんなに、もう一度あの場所に帰ってあの場所を歩きたい・・・ と思わせたゲームは他にありません。 いまだに買い物の帰り道、朱色に輝く空の燃えるような夕日や、 冬場の、白い点を暗い夜空にぶち撒けたような強烈な星空を目にすると、 不意にドラッケン島の中を移動した時の感覚が、 体の中に実感として蘇ってくることがあります。 実際にどこかに行っていたのと同じ感覚が、 頭の中に記憶として構築されていて、 フラッシュバック現象が瞬間的に起きるらしいのです。 ドラッケンは大昔のゲームで、もうこのゲームが動くマシンもないのですが、 箱ごといまだに持っていて、どうにも捨てられないでいます。 この中に今もあの島があると思うと、手放せないのです。 もう、大事に持っていてもプレイは出来ないのですが・・・ |
例のごとく再プレイ確認をしていません。 というより、もううちのパソコンでは、 この古いゲームは動かないのであります。 再発売を希望しているところです。 |
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