金沢 Spy  the Desk 


先週までの大雪の処理で、仕事がナダレ状態で遅れ込んでしまい まだ大騒ぎの最中です。
金沢の大雪生活は先週いっぱいでなんとか通常に戻ったのですが、 コンビニの食料がストップしてしまったのが大笑いでした。(予想外!)

食品工場から店までの道路はすべて流通が確保されているのですが、 「工場に届くはずの遠方からの原材料がストップして、 お弁当を作るに作れない(コンビニの店員さん談)」のだそうで、 大雪初日にほぼすべてのお弁当や調理品がなくなってから後は、 丸2日ほどは「お弁当」「おにぎり」「サンドイッチ」「おでん」など、 ほぼすべての調理品の棚が完全に空で、 いつも朝や昼時に近くの学生でいっぱいになる店が、 誰もいなくてガランとしていてなんだかすごかったです。
(ちなみにスーパーのお弁当は、材料を地元で都合をつけてるらしくて、 ないものは「日替わりメニュー」という事で入れなければいいだけなので、 ほぼ通常通りのお弁当が並んでいました。こういう時マニュアルに関係ない、 融通の利くところは便利ですね)

ニュースで見たところでは、福井/金沢間の国道の一部に 大雪で通れない場所が数カ所くらい出来てしまったらしく、 物流が大混乱してしまったようです。

魚などは「青森からは入荷するんだけど、近くの海がしけで出られなくて、 近海物が入らないし、オマケにここまでトラックが届かないんだよ。 お客さんもここまでたどりつけないしね」  と、近江町(金沢市民の台所と呼ばれている一番大きな市場) の魚屋のお兄さんがインタビューに答えていたりして、 スーパーでは数日間 「一部商品で入荷しない物があります」 というお詫びの貼り紙があって、 商品(主に生鮮食料品)の「種類(量ではない)」が1/3くらい減っていました。

スーパーはスキマを入荷した商品で埋めたらしく、 同じ商品がずーっと並んでるのがおかしかったです。
魚なんかは、イワシやサバやエビや冷凍のカニが並んだ後で、 いつもは小さく並んでいる「パックの砂だしアサリ」と 「生食用カキ」が売り場のほとんどを占領していたので、 やっぱり大笑いしました。(そんなにアサリばっかり売られても・・・!!!)

大雪2日目と3日目は、 自家用車で外に出ようという人がいなかったらしく (バスの通るような、車道と歩道に分かれている道路は融雪装置があるので 普通に走れるのですが、そうでない一般の生活道路は、 歩く通路の確保で精一杯なので、とても道路全体の雪を処理できない・・・  捨てる場所もないですからね。 というわけで、自宅から車でバス道路まで出られないし、 朝出られたとしても、帰りには家まで戻れるかどうかわからないわけです)  スーパーに買い物に出ても、道に車が全くいないので(スーパーまでの行き帰りに、 1台すれ違うかどうか・・・くらい) なかなか歩いていて気持ちがよかったです。

ただ、ほぼ一日中、雪の降り方を見ては自宅の前の雪を移動させ続けないと、 歩行者の通路の確保ができない状態(自宅前が通れないと、 町内の歩行通路が分断されてしまう・・・ というわけで、 こういう大雪の時は、ふだん、 金沢の人としては雪の対応にわりとのんびりしてるうちの近所の人々も、 ふだんはぜったいに出てこないオジサンや、受験生の息子や、 若いアパートの住人(ふだん何もしないので有名なのに・・・)まで、 少しでも積もり始めると即座に出てきて対応していました。 (やはり雪国の人は生活危険度の判断が的確だな!)

というわけで、初日はそんな大雪になると思わずちょっとぼーっとしていたら うちだけ出遅れてしまい、外に出てみたら、 我が家の前だけに雪がてんこ盛りで残っている状態に・・・(きゃーーー!!)

どうも他の皆さんは、前夜の天気予報を見て「アブナイ!」とカンを働かせたらしく、 当日積もり始めたとたんに、猛然と雪をどけ始めたようなのです(スルドイ!!)

で、一週間ほどはそんなわけで、食事を作る合間に雪をどけにいって、 ばったり倒れては(1回1時間ほどですが、 それまで積み上げて、身長より高くなってるあたりに雪を投げ上げ続けるので、 けっこー体力使うのであります) またそろそろ食事を作る時間になる・・・というようなありさまで、 「仕事にならんじゃないかー!!(実際、全滅だったんですが)」 というような具合でした。

4日くらいでもう止むだろうと思いながらやってたんですが、 今回の雪はずいぶんじりじりと長引きました。 一週間くらい連続して降っていたのかな? やっぱり「大雪」だったんですね





さて、近くの道路は、 見たところ2日目の超ドカ雪をのぞいてほぼ普通に動いてるのに、 JRと国道がほぼ1週間まともに動かなかったので、  「ここは雪国なのに、この程度(市内の主線道路は除雪と融雪がされてて、 狭い道路や裏道に車で入るのはかなり辛いんですが、 店が入荷の輸送に使うような一般道はほとんど普通に動いていた)の雪で、 いったいどうしちゃったんだろう???」 というのが、 私を始めみんなのギモンだったようで、 (別に屋根の高さまで雪が積もったとか、そんなんじゃなかったですからね) 大雪騒ぎの終わり頃になって、テレビのローカルでけっこう「なぜトラブったんだ?」 特集をやっていました。

鉄道編がわりと興味深かったので内容を報告しますと、  JRや鉄道の運行トラブルは「列車の進路を変更する線路の分岐点(岐路をチェンジする部分)」 がやられた為のようで、「最初の降り方が初期想定量を越えていた」ので、 線路を動かす所に多量の雪が挟まって岐路変更が動作しなくなり、  「線路にモノスゴイ数の分岐点があるのですが、 水やヒーターで融雪する装置がついているのはそのうちの一部で、 残りは人力による手作業の除雪」 で、  「デスクワークの職員まで出て除雪し続けたが、分岐点の総数が多いため、 1つの分岐点を1日一度除雪するのがやっと(そりゃそうだろな・・・)」  だったんだそうです。 で、1カ所を除雪している間にドンドンそれ以外の場所が 雪に埋もれていって、けっきょく全面的に運行ができなくなっていたようです。  ニュースを見ながら 「そんなに職員の数がいる訳じゃないから、 大変だっただろうなぁ・・・(線路上を歩いて移動してたんじゃないかと思うし)」  と、同情してしまいました。

郊外から市内の会社に通う友人は 「(土曜に積もりはじめて日曜に大雪になったので) 月曜日は朝7時過ぎに家を出て、 吹雪のバス停で20分待ち、さらに満員バスに揺られること2時間あまり(もちろん立って)、 会社に着いたのは9時50分でした」 だったそうで、  「こんなのはまだマシな方で、高松の自宅へ車で帰った友達は、 会社を夕方6時に出て家についたのは翌朝11時だったそうです(実話)」  うわー・・・  「で、朝になったら、周辺の役場の人が”アルファ米”を 配ってくれたそうで、”おいしかったですよ” と、会社で元気に話してくれました」  のだそうです。
(友人の近況FAXより)   すごい・・・ やっぱり会社員は大変です。

今回の大雪は大量のけが人(100人以上らしい)と、 死者まで出たようでちょっと大変そうでした。  (死者は6人くらい・・・車が雪に埋もれたまま (つまり、雪が排気のマフラーをふさいだ状態)エンジンをかけようとして、 車内で一酸化炭素中毒になった人が多かったようです。  屋根の雪下ろしをしようとして落ちた人もいるし、 あと、お兄さんと一緒に犬の散歩に出てお寺の大屋根の落下地点に入ってしまい、 落ちた屋根雪の下敷きで亡くなった小学生もいた)

で、テレビなどでも注意を呼びかけていたのですが、 「みなさん、雪道の事故には気をつけてください」  というニュースインタビューで、 県知事さんが腕をつりながら「アブナイですよ!」とコメントしていたので、 ウケてしまいました。(けっこう活動的な県知事さんなので、 雪の視察に飛び回ってて、どこかでコケて腕を折ったらしい)
なんか、田中知事がダムの視察にいって水で流れちゃったみたいな状態です(コラコラ)
命が無事でよかったですね。




さて、そんなこんなで先週末にはなんとか雪が一段落したので、 「土日で遅れていた仕事をしてしまうぞー!」 と意気込んだら 市民一斉除雪デー(あだだだだ!)のコールがかかり、  「車がまだ通常通行できないので、生活道路の確保に市民の皆さんの協力をお願いします」  という呼びかけで、これはほっとけないわな・・・ と、土曜1日、 家の前の道路に立ち向かっていたのですが、ずっと雪かきしていた歩行用のエリアはともかく、 車のタイヤで1週間分の雪が踏み固められ続けた中央部分は、 ほとんど固くて重い氷のアイスバーンが、 15センチくらいの層になってびっしりと路面を覆っているので、 多少の腕力では割れもこそげもしないのであります。 (ふだん力仕事してないから腕力がないぞ・・・)

で、しょうがないのでズルをして、ストーブの上でシュンシュン沸いていた ヤカンのお湯を道まで持っていって、じゅぼじゅぼと四角く線状にとかしては そこにスコップの先を入れ、あとはテコの要領で、 分厚い氷の板を持ち上げてははがしていたんですが、 そんなにヤカンのお湯もなく(そりゃそーですよね) 路面の氷を全部で2m四方くらいはがし終えたところで土曜日はギブアップして、 日曜は 「さすがにこれ以上仕事をズラすとマズイから、 今日は家にいないフリしてサボっちゃおう」 と思っていると、 スーパーの買い出し帰りに、シャベルを持った町内会の団体さんにぶつかってしまいました。 (わー! 逃げられないー!)

慌ててスコップを持って出ていくと 「あっ、自分でしなくてイイ!  今シャベルドーザーが来るから、横にはみ出した雪を片づけるのだけやって!」

な、な、な、なんですとーー?! シャベルドーザー??? 自衛隊でも来るのか?? それとも金沢市か石川県が緊急手配したのか?! −−−と思って見ていると、 どうも町会の人らしいオジサンの運転するめちゃくちゃカワイイ シャベルドーザーがウインウインいいながらやってきて、道路の雪をばりばり剥がして、 もうひとり、やっぱり町会の人らしいオジサンの運転する軽トラックの荷台に 先ほどの町会の男性陣が雪をドンドン積み上げて、 ピストン輸送で捨てに行くではありませんか!!

わー! どこから借りてきたんだこんなドーザー! (っていうか、いきなりシャベルドーザーを運転しちゃうこのオジサンはいったい?!?!)  借り出し予算はどーしたんだ?!緊急に組んだのか?!(えらいぞ町会長!)  などと様々なギモンを心に浮かべつつ、まわりじゅうから出てきた 近所の奥さんやオバサンやおばぁちゃんと一緒に、 まわりの崩れた雪をスコップで空き地に積み上げたり、トラックに乗せたりしながら、 ほぼ3時間くらいでうちの前の通りはスッキリと道路の雪がなくなったんですが、 さすがにそのあとバッタリとダウンして(完全に体力切れ!) ついに次の日も起きられない状態・・・(うーーーん、雪に体力負け!!)

という訳で、ミステリマガジンのディクスンカー特集 という、 とっても面白い仕事をもらってたんですが、 体力が切れてて徹夜が出来ず、絵をほとんど入れられないまま 出したのが心残りです・・・  ひさびさのパロディで、ネームはけっこう気に入ってたのにくやしいな・・・(こんなところでグチってドーする!)




SpyTheDesk/2001.1.24.