|
<金沢の方言> のコーナーは特にナイス! AUとShockWaveが並んでいる 「発音例」 のところは英語講座の「りぴーとあふたーみー」状態で、 ちょっと臨場感がないんですけど(イントネーションはあってるんですが)、 一番下にある 「金沢弁で聞く金沢の昔話(昔語り)」 のほうで、 非常にリアルな(現実に話されている)ネイティブの金沢弁が聞けます。 ちなみにこれは、かなり上品なタイプの「正確できれいな金沢弁」で、 若い世代の人は標準語混じりで喋るので、 さすがにここまでちゃんとした(完全な)金沢弁は、 いまは現地でもほとんど聞けません。 金沢のことばはかなり リエゾン的要素(語尾がくっついて別の発音になる) が激しいので、この中でも発音は下記の例のように変化しています。 それから「し」が「い」になったりする狂言の言葉に近い音便があって、 これはかなり古い時代の日本語の名残ではないかと私は勝手に思っています。 狂言のセリフで 「いたして」 が 「いたいて」 になったりする、 あの感じです。 (ワタシは金沢に途中から引っ越してきて、居着いてしまったクチなので、 金沢弁を正確に把握できるわけではないんですが、 金沢からの現地レポーターとしてお伝えしております。) 昔、友人の家に遊びに寄ったら、友達はルスだったんですけど、 古めかしい玄関先でそこの上品なおばぁちゃんに 「わざわざおいであすばいてぇ・・・>わざわざおいであそばしたのに> 孫に会いにせっかくおいでいただいたのに)」 と丁寧に挨拶された時には、 なんだか室町期にタイムスリップしたみたいな気がしてクラーッとしました。 狂言の言葉遣いは、当時きっと現代語として、 こんなふうにごく平易に使われてたんだな・・・というのが想像できちゃいます。 さて、現代社会では「敬語を使う」という習慣がほぼ全国的になくなりつつあって、 標準語から「あそばして」の使用が消え去ったように、 金沢近郊からも「あすばいて」はほぼ消えつつあります。 敬語系の上品な方言が全滅して跡形もなくなるのは、 ワタシとしてはちょっとザンネンです。 「なっときに」 >「なるとこに(なるところに)」 「意味があらぁで」>「意味があるがで(意味があるので)」 「あらわいてある」 >「表してある」 「ほうしっと・・・」>「ほうすると(そうすると)」 「おいであすばいて」>「おいであそばして」 <まちなみWatching>は、あまり観光写真でない、 「そのへんの普通の風景」が入っています。 石伐坂 という名前の所は、通称「W坂」と呼ばれる場所で、 ここを昇りきった所に「幽霊が出る」というウワサがあるんですが、 桜の木の間を階段の坂がW字型に下りていて、春の盛りや、 雨の時にはなかなか風情のあるところです。 私のまんがの 「W坂の幽霊 (<星食い> ハヤカワJA文庫 に収録)」 という話の冒頭部分は、この坂をイメージモデルにして描いています。 (主人公の部屋の雰囲気は、高校時代の友人が下宿してた古い家がモデルです。) このサイトの写真で見ると、私が思ってるW坂の印象とちょっと違ってて、 しかしまぎれもなくW坂の写真なので、 やはり見る人によって、場所から受けるイメージそのものが違ってて、 写真を撮ったときの感覚にそれが出るんだな・・・と思いました。
|
|
|
|