・・・愛憎岬・・・



・//整理整頓について//・


タイトルでピンと来た方は、 「世界不思議発見」をCMノーカットで見ている方ですね。

日立のビデオのCMで、 ものすごくとっちらかって雑然としたむちゃくちゃな部屋に帰ってきたおねーちゃんが、 「ごちゃ撮りテープ」の中から、 一発で自分の見たい番組を探し出してビデオを見る・・・というCMなんですが、 そのビデオ録画された番組タイトルが「愛憎岬」

ものすごい実感でインパクトのあるCMで、 ここしばらくのCM作品の中では大傑作だと思うんですが、 さて、ワタシの部屋は、このおねーちゃんの部屋とほぼ同じくらい散らかっています。

だいたいマンガ描きの部屋は多かれ少なかれそういう状態になりますが、 うちはとってもスゴイ!
遊びに来たことのある友人なら知っているわけですが、 まぁ、ほぼこのCMに近い状態であります。
だいたい、いつも以上の人数になるとすわる場所がないので、 慌ててしまうくらいですが、遊びに来られる定員は2名までです。(おい・・・)

で、困るのは来客の時です。気心の知れた友人ならいいんですが、 仕事先の人となるとこういう部屋のままという訳にもいきません。
前までは、誰かが来るとなると徹夜で家を片づけたりしていたのですが、 最近はトシのせいか体力の消耗があまりに激しいのでやめまして、 「どっ、どこかでお茶でも飲みながら打ち合わせを・・・」と、 とにかく外に出ることにしています。 (で、せっかく遠いところまで打ち合わせにやってきてくれた編集者さんは、 喫茶店のコーヒー代金まで出す羽目になるわけで、ちょっと申し訳がない!)
たまに「どうしても自宅まで伺って挨拶したい」 と言われる丁寧なところもあって、この場合はひきつったりしています。 (そこまで丁寧な相手じゃ、なおさら入ってもらえない!)

さて、そんなわけで
「こ、困ったなぁ、なんとかならないかなぁ」 と思っていたときに、あったんですよね「あるある大事典」で、 テーマが「整理整頓」!!
よしよし、これを見て学習してもう少し綺麗な部屋に住むことにしよう! と私は思いました。
(一応向上心はあるらしい)
で、いきおいこんで、番組を見たのでありますが・・・・・  あうーーーん、解決にならないっ!
(笑い事じゃないんですよ、みなさん!)

番組によりますと
「整理整頓は整理と整頓に分れていて、 部屋が整頓されてても整理できてないことが多いのです」 のだそうで、
「整理はモノが分類整理されていること」
「整頓はモノが収納されていること」
なんだそうです。

で、 「一見部屋がきれいに片づいているように見えても、 整理ができていないと、イザという時に必要な物が取り出せません。  それでは整理整頓ができていることにはなりません。
以下のモノが30秒以内に取り出せますか? とりだせるようなら整理のほうは出来てます」
・・・と提示された品物  (ガムテープとかハサミとかハンコとか爪切りとかボールペンなど、 簡単な日用品) は、ワタシはどれも30秒もかからないで出てくる。

「整理合格」のハンコ押されて、そのままクリアしてしまいました。

わぁぁーーーーっ、違う違う、ワタシは整理したいんじゃなくて、 部屋が 「整頓」 できなくて困っているんだって!!  と思っている内に番組は 「どうやって整理するか」 というテーマに突入・・・
とうとう 「どうやって整頓するか」 というテーマは、 触れられずに終わってしまいました。

わーーーん、だからこれじゃダメなんだったらーーー!
これじゃ、今日のテーマは「整理整頓」じゃなくて、 単なる「整理」でしょうがっ!! (突っ込むぞ!)

まぁ、こういう番組になってしまったところを見ると、 世の中には 「整頓」 できない人より 「整理」 できない人の方が、 うんと多いのでしょう。
たしかに友達の家に行って、 私の部屋と同じ状態になっている人はあんまりいないものね。 (っていうか、それじゃ社会生活に支障が出てしまいますよね・・・ 私みたいな、お客様を断れる生活じゃない限り・・・)


で、しょうがないので自分でいろいろ考察したところ、部屋が片づかないのは、 自分が 「整理」 をしすぎるせいだと気がつきました。

例えば、何かカワイイ飾り物の頂き物をしたとしますと、  「これはカワイイから、とっておきのコレクションの箱にしまっておこう。  でも、このへんが壊れやすそうだから、少しつめものをしておかないといけないな。 いっしょに入っているお香は、 たしか前に別の人から、お線香と線香立てをもらったからあれと一緒にして、 香りが移るといけないからジッパー袋に別々に入れておくか。  で、この梱包材は、誰かに何か送るときに使えそうだから、 梱包材入れてあるところにまとめておこう。  こっちのリボンは別にとっておけばいいや。  この包装紙はカワイイ柄だから、 ちょっとここんとこスキャンしてとっておいてみようかしら・・・ この品物タグもカワイイし、切り抜いてウラにノリつけて、 シールのかわりに使おうかなぁ・・・  この段ボールは壊して分解して捨てないといけないけど、 フタの部分は、原稿送るときの折れ曲がり防止に使えそうだから、 原稿送りの封筒の寸法にあわせて切っとこう。  あ、この留め具だけ、大きいからなんとかとり外して、 燃えないゴミの方に入れないと・・・」
などと頭の中で分類してから
「全部やるとかなり時間かかるよな・・・ 疲れてるし体力ないから、とりあえずここにまとめて置いておこう・・・」  と、部屋のどこかにポンと置いて、なかなかとりかかる勇気が出ないまま、 部屋の中に未整頓のものがどんどん増えていく−−− というのが、 全ての原因なのであります。

つまり、非常に細かく、微細に、用途別に、 あらゆるモノを整理して収納しないと、 「とりあえずアバウトに整頓(収納)しておく」 という事ができないんですね・・・ コワクて・・・
(何しろものすごく忘れっぽいので、アバウトに収納したが最後、 どこに何を入れたかわからなくなって、一生見つけだす事ができない!)

想像するに、私と逆に 「整理ができない」 人の方は、  「整理してから収納する(整理された場所に細かく別紅収納する)」  という事が、時間がないか疲れているかメンドクサイかでとにかくできなくて、  「ああもー、整理はあとでする事にして、 とにかくここにあるものをどこか、見えないところにしまってしまおうっ!」  と即座に整頓(収納)するので、 あとでどこになにがあるかがわからなくなって、 夏物と冬物が混ざって何カ所もに分散されて入っていたり、 電化製品とソーメンと靴と子どものプールとホッカイロの残りが、 いっしょの箱に入っていたり、 そういうおそろしい事になっちゃうんではないかと思います。

つまり、忙しかったり疲れていたりめんどくさかったりした時に、 「ああもうあとでいいやっ!」の「あと」を、 「整理」と「整頓」のどっちにするかで、その人の趣味が出ちゃうわけです。
(ちなみに、 「あとでいいや」 といわずに、両方をきっちりやるというのは、 人生のルールに合いません。 「やりたい事」 と 「やらなきゃいけない事」  を同時に全部やったら 「人生の時間」 の合計を大量にオーバーして、 人生の残高が足りなくなるからです。 ・・・やってみるとわかります。)


さて、そんなわけで、私の方は整理だけはついているので、 どこに何があるかはほぼわかっていて、「愛憎岬」のおねーちゃんのように、 山積みの物の下から「エイ!」とひっぱり出して、いつでも使えるのですが (そういうイミでは実用的なのですが) 最近トシなんでしょうか、物忘れがひどくなりまして・・・(おいおいおいっ) 昔はアシスタントさんに 「よくこれだけ雑然とした中から一発で出て来るな!」  と感心されたものですが、最近は「あれ? どこに置いたっけ?」 なんて事で、なんと、けっこう探しても出てこない (おいおいおいーっ)  非実用的で危険な状態であります。

解決法としては、上の場合では 「もらった品物を、種類に関わらず、 とにかく押入のボックスの中にほおり込む。 梱包と包装は、使える使えないに関わらず全部ゴミの袋に突っ込む」  というふうにすると、ほとんど整理分離収納の手間もなく、 1分くらいで部屋がキレイになるはずです。
分類と再使用をやめれば、かなりスピードアップするし、 今すぐ使わない物は、全部捨てるというアイデアはどうでしょうか?

−−−というところまで考えたんですが・・・
ここでふと思いついたんですけど、このゴチャゴチャになっていて、 いろんなものが山盛りにモタクタして雑然としている風景って、 何か自分の描くマンガに共通するものがあるかな・・・と。

もしかして私はこういう事をしてマンガを描いているんじゃないかな・・・と。 いきなり、そういう気分になってしまったわけです。

好き嫌いの問題だけで言うと、 どこに何があるかよくわからないが、 見かけがスッキリサッパリきれいにしている・・・よりも、 どこに何があって、どうつながっているのか把握できている雑然ぐちゃぐちゃ ・・・の方が、タイプ的に 「好き」 らしいのであります。
部屋がずっとキタナイっていうのは、つまりそういう事なんですね。

で、まわりを見渡しながら、  「まぁ、これが自分のマンガだと思えば、こんなもんか・・・」  (単に、片づけに取りかかるのがメンドーなだけなんですが)  と思ったりして、とりあえずは、 ずっとまた、そのままになってしまっているんでありますが・・・


ただ困ったことに、近々来客の予定があるんです・・・
急場しのぎに、とにかく1部屋に全部押し込んでおくというのはどうかな?   (これをやると、あとで必ず  「3年前のチョコレート」 とかが、 袋と雑誌の間でぺちゃんこになって発見されたりするハメになるんですが)




主婦で子育てをしながらマンガ家をしている友人が以前、  「嫁さんが欲しいっ! 家事と家族の世話を全部してくれるんなら、 服でも靴でもドレスでも好きなだけ買ってやるよっ!」  と叫んでいました。

私だって家の状態をいつ来客がきてもOKなようにちゃんと管理できるんなら、 車でも毛皮でも買って、年に一回海外旅行にだって行かせてやるぞっ!  (かなり好条件だと思うけどいかがでしょうか・・・?)

「愛憎岬」は、まだしばらくつづくかんじであります。





2000.3.13.



お楽しみ箱の選択メニューに戻る

トップメニュー