風鈴の音、蝉の声、そして樹のざわめき。

昔、この辺りは大きな堤になっていて、この樹はそれを覆うように大きな木陰を作っておりました。堤が埋められた今は、時々ねこが来て涼をとったりしています。

風が吹けばざわめきの音が、ゆったりとした波音のように穏やかな気分にさせてくれます。


そんな風景の中で、徐に七輪に火を入れてみたり。


 
とにかくサザエが沢山あったのです。予めあったやつとか親戚のばーちゃんがくれたやつとかでバケツいっぱい。さすがに全部は無理なので、食いたい分だけつぼ焼きに。当然ビールを飲みながら。

酒をまぜた醤油を垂らして待つことしばし。醤油がグツグツいいだして、適当な頃合いで七輪から下ろします。醤油が完全に染みてしまうまで待つと、焼き過ぎなのです。

金串でくるくるっと身を取り出してひたすら喰らう。美味い海藻を食らって育ったここらのサザエは、ドブ(ワタ)まで旨い。ワカメをすり潰したような、ほんのりとした甘味が在ります。


今度はあの木陰でやってみよう。

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