陣形


合戦をするとき、多くの場合は陣形を整え、最前列に鉄砲隊、次に槍隊、というように攻めかかるのが一般的であった。その陣形の基本的な形がとくに八つとりあげられ、「八陣」などといわれている。
「八陣」とは平安期に唐から伝えられた 魚鱗(ぎょりん) ・ 鶴翼(かくよく) ・ 雁行(がんこう) ・ 長蛇(ちょうだ) ・ 偃月(えんげつ) ・ 鋒矢(ほうし) ・ 衝軛(こうやく) ・ 方円(ほうえん) の八つのことをいう。


魚鱗 全体が魚の形になり、一隊に鱗の意味をもたせたもの。 三方ヶ原の戦いで武田信玄が徳川家康軍を破った陣形。
鶴翼 鶴が翼を広げたような形になり、鶴の頭の部分に大将が位置する形である。
雁行 雁が飛んでいく形に陣形を整えたもの。
偃月 前に敵、後ろに山や川などの切所があるときに用いられた陣形。 賤ヶ岳の戦いで羽柴秀吉軍が、佐久間盛政を破った陣刑
鋒矢 少勢のときに用いられた陣形 大阪夏の陣で真田幸村が敷いた陣形。
衝軛 山岳戦などに用いられた陣形 関ヶ原の戦いで、東軍の敷いた陣形。
長蛇 前陣も後陣も敵を撃てる陣形。
方円 敵が鋒矢の備えをしたとき、それを迎え撃つ陣形。 川中島の戦いで上杉謙信が用いた「車懸の陣」の原型。