(88話)

釘抜地蔵

ところ          上京区千本通上立売上ル花車町503

       ありがたや苦抜き地蔵のみあかりを
         絶やすまいぞえのちのみ世まで
"苦抜き地蔵"で知られた釘抜地蔵さん____いつたずねても線香と供花が絶えない。地蔵堂の
四方をぐるりと取り巻いて二重、三重に打ちつけられた、お礼参りの8寸釘と釘抜きの絵馬、頭上
をおおった大小のちょうちん、境内の、さすればご利益のある大きな鉄の釘抜きも、参拝客の手で
磨かれて歴史のある輝きを保っている。
 
室町末期・・・・・・・後奈良天皇(1556)の時代にさかのぼる。
油小路上長者町に紀伊国屋道林という商人が住んでいました。商いは順風満帆、何一つ不足のな
い生活だったが、二、三日前から、困った事が起こった。とくに重いものを持った訳でもないのに急
に両手が痛み出した。ハリとか灸に・・・痛みに効くものがあれば何でも試したが効果がなく痛みが
増すだけだった。
「あ、あ、痛い!いっそこの手を切り取っていまいたいぐらい」
そんなある日だった。出入りの商人がいうには、「なんでも、千本の地蔵さんがご霊験あらたかじゃ、
と聞いていますが、一度試されては・・・・」
道林さん、わらでもつかむ気持で出かけると、七日間の願をかけた。
そして満願の日だった。お地蔵さんから帰ると、道林さん、お千度に疲れてほっとしたのかうとうと
眠りについた。と、夢の中に、不思議や、お地蔵さんがすっと立たれたではないか。
「汝、手の痛みは常の痛みにあらず。前世に人に怨み、仮の人形を作り、その両手に八寸釘を打
ち込んで呪いたることあり。その罪が汝に返りたり苦しみを与え、吾、神力を持って、その釘を抜き
取り。これを見よ」
お地蔵さんの手にはいつの間にか、八寸釘が握られていた・・いつの間か?手の痛みが消えて居
るではないか。そればかりか道林さん、目が覚めて地蔵堂にかけつけると、お地蔵さんの前に!!
真っ赤に染まった二本の釘が置かれていました。
 
釘抜きさんは俗称で、石像寺(しゃくぞうじ)弘法大師が弘仁10年(819)に開創されたものです。
本尊の石造地蔵菩薩像は種々の苦しみを抜き取ってくれるため、「苦抜地蔵」と呼ばれています
本堂には行基の作と伝わる観世音菩薩、地蔵堂背後には重要文化財に指定されている阿弥陀
三尊が安置され、歌人として知られた藤原定家、家隆が住んだ所とも伝わり、境内には藤原定家、
家隆の墓と伝えられるものがある。

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