(83話)

誓願寺

ところ         中京区新京極三条下ル桜之町45

学生時代このお寺境内黒山の人だかりはてなにが始まるのかと興味をそそられた事を憶えている
昔は六千坪を越える境内に七堂伽藍がそびえ、塔頭寺院十八ヶ寺を数える壮大なものであった。
この寺は歴史上有名な二人の女性作家が極楽往生している。
ひとりは清少納言。当寺で菩提心をおこして尼となり、本堂そばに庵室を結んだ。その後、
念仏して往生をとげたのである。
もうひとりは和泉式部
娘に先立たれ、その哀しみから世の無常を感じた式部は、播州の書写山へ高僧・性空上人を訪ね
た。ところが、「京都八幡山の大菩薩に祈るべし」と言われ、岩清水八幡宮へ参って祈ると夢に老僧
が現れて「誓願寺で祈るべし」と告げられたのである。
そこで、当寺に48日間こもって一心に念仏をたなえたところ、今度は霊夢に老尼が現れて
「念仏をとなえれば女人の往生は疑いなし」とのお告げがあったという。式部は尼となって庵を結び、
ここでめでたく往生した。
この庵室が「誠心院」であり、今も新京極に現存している。
 
江戸時代の初期、この寺のお坊さんだった安楽庵策伝は、僧侶として布教に励むかたわら、文人
や茶人としての才にも優れていた時の京都所司代・板倉重宗の面前で数々の笑い話を語ったとい
われ、江戸に伝わりさしずめ落語の生みの親といったところ『醒睡笑』八巻は後世に落語のタネ本
となり現在は芸能人で賑って居ますが、この寺は京の都より古く千三百年の歴史があります。

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