(62話)

深泥池

 

ところ      北区上賀茂深泥池町

 

深泥池(みぞろがいけ)は,京都盆地の北にある周囲1.5km,面積9haの小さな池です。
この池には,西日本の平坦地では珍しい浮島があります。また,氷河期以来の動植物が今も
生き続けるとともに多くの水生植物,昆虫,魚類,野鳥等がいます。氷河期の太古から存在
していた深泥池天然記念物に指定された指定年月日:昭和2年6月14日
古くて長い歴史をもつ自然、行基がこの地で修法した時、池の上に弥勒菩薩が現れた云う
伝説あり、「御菩薩池」(みどろいけ)
和泉式部も
「名を聞けば 影だにみえじ みどろ池 すむ水鳥の あるぞあやしき」と詠んだ。
室町時代の説教小栗判官(おぐりほうがん)に登場する大蛇。池の浮島が巨大なサンショウウ
オであるという、上賀茂の昔話「深泥池の主 サンシとサンショウウオ」。昔から、このような怪
物の棲む池として恐れられた。
 
平安末期の話。貧しい武士がいて、産後の肥立ちの悪い妻に、何か栄養の付く食肉でも食
べさせてたいが、容易に入手することも市場で買うことも出来ない有り様。思い悩んでこっそ
り、夕方、深泥池にやって来た、池にいる鴨のつがいを弓の矢で射た。侍は射た雄鴨を喜び
勇んで家に持ち帰り、妻も喜んで、朝には料理して食べようとばかり、さおの先にへ掛けて
寝た。
すると夜中にバタバタと鳥の羽音がする。射れた鴨が生き返ったのであるんまいかと思っ
て、夫は灯を点けて見たが、鴨はじっとして逃げもしない。バタバタしていたのは死んだ
雄鴨の傍にやって来た先刻の雌鴨だった。侍はガク然として、「鳥ですら夫の死を悲しん
で、命を惜しまず後を慕ってやって来る。自分は人間に生まれながら、妻のこととはいえ、
生きたとりを殺したのだ。どうしてこの鴨を食べさせられようか」と言って、妻を起こしてこの
鴨の哀れな姿を見せた。妻も鳥に感じ夫の心に共感して、朝になっても鴨の肉は食べなか
った。夫はのち道心を起こして愛宕山に登り法師となったという。

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