(57話)

小町草紙洗ノ井

ところ   上京区堀川通一条東入ル

源氏物語にも描かれて名高い”行こか帰ろか”戻橋。。。謎の美女の小町通 がこれまた
謎の陰陽師安倍晴明ゆかりの一条戻橋の近くにあるのも不思議な縁のような気もする。
 
全国28都道府県余りにに及ぶ小野小町ゆかりの地の一つ・・・
小野通の名があって、かどに「小野小町・小町草紙洗遺跡」の石碑が深く土にうまってい
る。戻橋の門礼にくらびれば、あまりにもひめやかだ。しかも井戸らしい姿はあたりにと
んと見当たらない、昭和初期まで面影残していたようだ。
 
大友(大伴)黒主は、その日も気分がすぐれなかった。
宮中スズメの間で、小野小町の歌の評判があまりにいいのを、苦々しく思っていたのであ
る。黒主といえば、小野と並ぶ六歌仙の一人[在原業平・僧正遍昭 ・喜撰法師・文屋康秀
延善年間(九〇一〜二二)宇多法皇の石山寺行幸の際、歌を献じ、古今集の序を評した歌
の達人。
小町もまた、紀貫之をして「あはれなるやうにて強からず、いはばよき女のなやめる所ある
に似たり」と感嘆させたほどの歌人である
けれども、黒主は男として、おもしろくない。「なんのかのいったって、小町が六歌仙中ただ
一人の女じゃからゆうて、ちやほやされているだけじゃないか」
そんなある日である。一条のある屋敷で、黒主と小町の歌合わせが開かれることになった。
黒主は一策を案じ、出席した。
歌合わせはいよいよ佳境にはいった。そして小町が草紙にしたためた歌を出そうとしたとき
である。ふと、見ると、歌はだれかが加筆して、自分の歌でない。

     蒔なくに何を種として浮草の

             波のうねうね生き茂らん

「万葉集の盗作歌だ」と黒主は小町が歌をだすのをいまかと待ちうけていたのである。
小町は、何食わぬ顔でその場を立つと、庭の、コンコンと湧き出した井戸の水で草紙を洗う
と、歌の文字が流れた。黒主の悪計は。まんまと失敗に終わった。
堀川にそって、あたりは水の美しいところ。この井戸は清和水、更級水ともいい、京の名水
の一つとか。
小町の機転は、観阿弥清次の手で謡曲に演じられ井戸は益々有名になった。江戸時代に
は井戸の端に小町塔も立った。又こんな都々逸がよまれた。

     小野小町と 知恩院の傘は

         ささず濡らさず 骨になる

 
京都市内の小野小町遺跡

随心院      山科区小野御霊町

小町の邸宅跡・卒塔婆小町像・文塚・小町化粧の井戸
 
小町寺・補陀洛寺(ふだらくじ)    左京区静市市原町
小野小町・深草少将供養塔・姿見の井戸・小町老衰像
 
退耕庵(たいこうあん)          東山区本町東福寺塔頭退耕庵内
小町玉章地蔵・小野小町百歳井戸
 
欣浄寺(ごんじょうじ)           伏見区墨染西枡屋町
深草少将邸宅跡・少将・小町供養塔・少将遺愛の井戸・小町姿見の池
 
神泉苑( しんせんえん)
小町遺跡・小町が雨乞いの歌を詠んだ所
 
全国小野小町ゆかりの地 
青森県・秋田県・宮城県・山形県・福島県・茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・
東京都・神奈川県・山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県・滋賀県・京都府・大阪府
和歌山県・鳥取県・岡山県・山口県・愛媛県・高知県・熊本県・宮崎県

HOME *** *** NEXT