(16話)

陽成院の妖怪

ところ 中京区御池通油小路西入ル

平安のころ。京は二条より北。西洞院の西、油小路より東一帯に陽成天皇の御所
があつた。 (今の二条城の正門の東側)****57代陽成天皇(876 ー 884)
:父.。清和天皇(清和源氏)ー子。陽成天皇(陽成源氏)~~~源頼朝・・・・・?
みやびやかな宮中の夜のとばりを深める陽成院の裏門に、一人の門番が立って
いた。裏門のほとりには大池があったが、夏の夜になると、なま暖かい風に乗って
池の中から”化けもの”あらわれる、という言い伝えがあった。
付近の人がもう十数人も、その化けもののえじきになったという評判は、院の守り
を固める門番達にも伝わり、恐れられていた。
「化けもの、そんなばかな。それは村人のつくり話じゃ。わしはもう三年も門番をや
っているが、一度もその化けものにお目にかかったことがない。もっとも、あらわれ
よったら、一刀のもとに断ち切ってやるがのう」
年のころなら四十前後、若いころ嵯峨野を駆けて、狩で鍛えた気丈な門番は高笑
いをしてうわさを否定した。
その三年目のん夏、雨あがりのむし暑い夜のこと。門番はいつものように裏門に
立っていたが、夜半すぎ、うとうとと眠り込んでしまった。
どのくらい時間がたっただろうか、ほうをなでるなま暖かい風にふと目をさますと、
目の前に水色のひだたれをまとった老人が立っているではないか___
「おぬしは。。。」とねぼけななこで起き上がりながら、とっさに刀を抜いて切りかか
ると、静かに立っていた老人はひらりと体をかわし、逆に門番の後ろにまわって、
刀をたたき落としはがいじめにしてしまった。
「わしはむかしからこの地に住んでいる浦島太郎の孫じゃ。もう千二百も前からここ
に住んでいる主じゃ。そろそろやしろを建ててもらって神様になりたいと思ってな。
院にとりついで歯くれんかな」
「なにをいうか、おそれおおいことを。わしは門番じゃ、そんあことができる訳がない」
「なに、たのみを聞いてくれんおか。たよりががいのない男じゃ」 !!!!
というなり、老人の顔は怒りに満ち、口がみるみるさけて妖怪に変じて、あっという
間に門番を食い殺してしまった。
 
「宇治捨遺物語] に伝わる伝説であります。
陽成院跡と言われる中京区の国際ホテル北側一帯、今その面影を残す所なく。
かつての舞台はいま西に二条城の緑を残し、一帯に”京染”の伝統産業がかろ
うじて息づく京の下町。洛西、洛北、叡山、東山のかすんだ山なみがわずかに
平安京の自然をいまに伝えている。
 
紫式部の「源氏物語」の主人公、光源氏の住んでいた二条院は、陽成院を想定
したともいわれています。

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