サラダの国のトマト姫

ストーリー提供:のあのあさん

ここは野菜と果物たちが平和にくらすサラダ王国です。城下町のサラダロアの町は今日もにぎわって、町はずれにある「キュウリ戦士の銅像」の前では、柿のおじいさんが、子供たちを相手に昔話をしています。
「今日は、みんなに、わしの御先祖様が、このキュウリ戦士のお供をして、悪いカボチャ大王をこらしめた、大冒険のお話をしてあげよう。」
柿のおじいさんは、やさしく子供たちを見まわすと、ゆっくり話しはじめました。

いまは、平和なサラダ王国も、昔は大きな戦さが何度もあってな。とくに、わしら野菜や果物を狩って食べていた、おそろしいノーミン族との戦いはすごいものじゃった。このノーミン族をこらしめて、王国を守ったのが、オニオン王じゃ。オニオン王は、野菜や果物のあいだにあった身分制度をなくし、みんなが平等にくらせる世の中を築いたんじゃ。王国は栄え、国民たちはみな、オニオン王を尊敬していた。ところがじゃ、それまでは王国の貴族として勢力を持っていたカボチャ一族のパンプキン大臣は、威張れなくなったので、おもしろくないと思ったのじゃ。
「どうして、わしらカボチャが、ピーマンやにんにくと同じにくらさねばならんのだ。よし! こうなったら反乱じゃ!」
反乱をおこしたパンプキンは、ウツボ山脈のふもとに城をたて、みずからカボチャ大王を名乗るようになったんじゃ。カボチャ大王はカボチャが一番えらいという身分制度をつくり、強力な軍隊と重い年貢で国民を苦しめたのじゃ。そのうえカボチャ大王はノーミン族と手を結び、逆うものをかたっぱしから捕え、ろうやに入れてしまった。

いっぽうカボチャ軍の手をのがれた年老いたオニオン王、王女のトマト姫は、かつてのオニオン王国の兵士と、レジスタンス(カボチャ大王に抵抗する野菜と果物たちの組織)を結成しカボチャ大王を倒そうとしていたのじゃった。ところが、そのトマト姫が、カボチャ大王の陰謀にはまって、ウツボ山脈のふもとの城にとじこめられてしまったのじゃ。オニオン王は、悲しみのあまり亡くなってしまった。国民は深く悲しみ。トマト姫のことを心配したのじゃよ。そしてカボチャ大王は、こともあろうに、トマト姫との結婚を発表した。その婚礼が迫ったある日、旅に出ていたオニオン王国一の勇者、キュウリ戦士が、サラダ王国に帰ってきたのじゃ! 話をきいたキュウリ戦士は、わしのご先祖様の柿っ八をお供に、捕われのトマト姫を救い、カボチャ大王をこらしめるために立ち上がったのじゃ。

「わしの話はここまでじゃ。このあとは、みんながキュウリ戦士となってカボチャ大王と戦うのじゃよ。ホッホッホッ………」
柿のおじいさんは、そういってまた、やさしく、子供たちを見まわしました。

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