アルマナの奇跡

アルマナの奇跡物語

山あいの静かな村に、一人の男が立っていた。男の名前はカイト。背が高く、がっしりとした体つきをしているが、まだどこか少年の面影を残している。

カイトは長い旅から、今やっと故郷の村に帰ってきたばかりだった。しかし、カイトを優しくむかえてくれるはずの村は、見るも無残に変わっていたのだ!

茫然としながら、廃墟と化した村に足を踏み入れたカイトは、村人の姿を見つけ、駆けよった。しかし、なんということだろう! なつかしい村人たちは、すべてその姿を石の像に変えられてしまっているではないか!

カイトは、小さい頃からいろいろなお話をしてくれた村長の屋敷跡に行ってみた。

だが、そこには恐怖に引きつった顔の、村長の石像があった。村長は、石に変えられる寸前まで、なにかを書きのこそうとしていたようだ。

カイトは村長の残した手紙をひろいあげた。それにはこう書かれていた。「――村の社に供えてある神秘の石『アルマナ』が山向こうののダダ教徒に奪われた。『アルマナ』は奇跡を起こす力を持っている。この力のおかげで、今までこの村の平和は守られてきた。しかひ、ダダ教徒がその力を悪のために使ったら、この世は滅んでしまうだろう。どうかダダ教徒の手から神秘の石『アルマナ』を取りもどしてほしい――」と。

カイトは、心の底から怒りが沸きあがってくるのを感じた。

平和を愛し、素朴で明るかった村人たちを、このような石に変えてしまったダダ教徒を倒してやる!

そして悪のために『アルマナ』を使おうとたくらんでいる野望を、全部打ち砕くんだ!!

『アルマナ』をダダ教から取りもどし、村の社に供えれば、もしかしたら村人たちを元の姿にもどすことができるかもしれないぞ!!

カイトはそう決心し、ダダ教への怒りを新たにするのだった。

だが、ダダ教の神殿までの道は、とてつもなく厳しい! 峡谷を登り、洞窟をぬけ、道らしい道もなく、ロープ1本に命を託さなければならない場所もあるのだ。

しかも、いたるところにワナがしかけられていて、神殿を守っている手下どもが待ちかまえているという。

それにひきかえ、カイトの武器はナイフと、壁を登るためのロープだけだ!

あとは『アルマナ』が起こす奇跡だけを信じ、カイトはダダ教の神殿へと向かっていった。

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