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秋の夜空の天頂付近で、空が暗ければ、2等星二つと3等星二つで構成される四角形を探すのは容易である。この四角形はペガサスの大四方形と呼ばれているもので、ペガサスは、ギリシャ神話では羽のある天馬で、四角形は馬の胴体に相当する。 ペガサスの大四方形の東北の角に2等星があるが、それがアンドロメダ座のはじまりで、そこからペルセウス座の方へ伸びている。アンドロメダは、エチオピアのケフェウス王とカシオベア王后の王女として生まれたが、母が王女の美しさを自慢して海のニンフ(精霊)の悪口をいったために、海魔(くじら)の犠牲にささげられることになった。それを助けたのが、怪物メズーサを退治して天馬ペガサスに乗ってギリシャへ帰る途中のペルセウスである。 アンドロメダ座には、アンドロメダ星雲がある。アンドロメダ座のはじまりの2等星から英語のアルファベットのWの形をしたカシオペア座の方へ向かって、ちょうど中間点に5等星ぐらいの明るさにぼうっと白く広がって見える。小望遠鏡で見ると、雲が広がったように見えるが、一メートルの反射望遠鏡では、視野一杯にひろがって見えて、その星の集団は壮観である。 米国の天文学者エドウィン・ハッブル(1998ー1953)は、当時世界最大であったウィルソン山の100インチ(約2.5メートル)反射望遠鏡を使って、アンドロメダ星雲を観測し、星雲の中にケフェイド変光星を発見し、その周期と光度の関係から、アンドロメダ星雲が太陽が含まれる銀河系宇宙とは異なった星の集団であることを証明した。その時のアンドロメダ星雲までの距離は、70万光年であったが、その後、ドイツ生まれで米国に招かれた天文学者バーデ(1893―1960)が、ケフェイド変光星に二種類があることを明らかにし、現在では銀河系宇宙とアンドロメダ星雲との距離が320万光年であることになっている。ただし、星までの距離を測定するのが難しく、新しい研究の登場によってしばしば変更されるので、「現在ではXXとなっている」というような表現が正確なのである。 わが1メートルの反射望遠鏡は、焦点距離が4メートルもあるので、天体写真ではアンドロメダ星雲の中心部分しか写らないから、暗い宇宙空間にぽっかりと浮かんだ渦巻銀河の様子を写すことはできない。50センチ反射望遠鏡でも、焦点距離は2メートル50センチであるから、やはりはみ出してしまう。一般に、焦点距離が長くなると、見える(写る)範囲が狭くなる。そこで、以前に、アンドロメダ星雲を写すのが目的で、口径15センチで焦点距離75センチ(F5)の反射望遠鏡を製作したのであるが、これまでは日中の建設作業が忙しくて、アンドロメダ星雲を写す準備ができなかった。 |