[CABINETTO」 お宝発見!14年9月増刊号第53巻、
今回は、おもしろ道具のページで紹介していた手回し式リードオルガン
「CABINETTO」について、詳しく説明します。
「CABINETTO」は、1880年代〜1890年代中のアメリカ、ウスターマサチューセッツ州
Toumaphone音楽会社により作られ、アメリカで販売していた
「TOUMAOHONEORUGANETTE」とほぼ同じ作りであったが、
当時イギリスで販売するためのバージョンだったという。
箱の蓋(ふた)の部分には、【By Her Majesty Royal Letters Patent.】
と書かれている。「女王陛下の公開勅許状によって・・」と言う意味のようです。
女王陛下は、年代からするとヴィクトリア女王のことのようで、
(Letters Patent)は今は特許という意味で用いられています。
時代的には、産業革命により絶頂期を迎えたイギリスが、
アメリカやドイツなどの工業力の発展とともに
経済に揺らぎが見え始めた頃といえると思います。
YUO CUBEで紹介されていた「CABINETTO」の説明には、
25-note CABINTTO Paper Roll Organette Toumaphone
と紹介されています。
25音のミュージック、ペーパーロールを使った、手回し式リードオルガン
「オルガニート」とか「オルガネッテ」とも呼ばれています。
今から約130年前にアメリカで作られた!
手回し式リードオルガン「CABINETTO」
25-note CABINTTO Paper Roll Organette Toumaphone
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2.演奏するためのMusic Roll |
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3.Music Rollを開いた画像 |
「CABINETTO」1880年代〜1890年代
25音のフリーリードを取り付けた大きめのハーモニカのようなものが、
本体の中央に横向き置かれ、その下したに3体の鞴(ふいご)が付いています。
楽譜の音符を横軸が音階、縦軸が音の長さの座標にして、
出したい音の部分を一つづつ穴を切り開けて作成した、
35cm幅のロール紙、(ミュージック、ロール)をセットします。
横に付いているハンドルを回すと、3体の鞴(ふいご)が空気を吸い込み、
連動してロール紙が奥の方に巻かれていきます。
ロール紙に空けられた穴の部分がハーモニカのような部分の上にくると、
鞴の吸い込むマイナスの圧力により、ロール紙はハーモニカのような部分に
吸い付き、穴を開けた部分に外の空気が勢い良く吹き込まれ、
中のフリーリード(真鍮で作られた薄い金属の板)が震えて音が出ます。
これを連続することで、曲が演奏されるというものです。
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上の画像2.のMusic Rollはこの「CABINETTO」に付いていたものです。
これを、おもちゃのギャラリーの開設当初から見学に訪れた人達に
聞かせていたのですが、古いアメリカの曲に馴染みがないのか、
音の出る箱なんだ・・・といった感じの印象だけでした。
ある時テレビで「夏川りみさん」の「涙そうそう」の歌を聴いて、
その心に沁みるような歌声とこのオルガニートの音がリンクして、
自分で、「涙そうそう」の曲を作ってみようと思い、
荷造り用のロール状の工芸紙を35cmの輪切りにし、
楽譜を縦が音の長さ、横が音階の座標に置き換えた一覧表をつくり、
4分音符の長さを決めて、(曲によって空気の量と曲の速さが違う)
1音ごとにカッターで切りぬき作成しました。
楽譜もオルガン用の物がほとんど市販されていないので、
やむなくピアノ演奏の楽譜をつかっています。
しかしこのオルガニートの曲作りには、大きな問題がありました。
それは、25-noteの限界です。普通の人は、楽器はドレミファソラシド
といったような、ピアノの鍵盤のような音が並んでいるものであるといった
先入観があると思います。しかし、古いオルゴールやこのオルガニートは違います。
古いオルゴール等は、良く使われる音は3本ならんでいたり、
使われない音は無かったり、演奏する曲に対応した音源しか用意されていないのです。
付ている25音は、|C D E F G A| A# B C C# D E F F# G G# A A# |B C D E F G A|です。
下のC〜Aまでは半音(C#D#F#G#)の4音が無い、 A#〜A#の内(D#)の1音が無い、
B〜A半音(C#D#F#G#)の4音が無いので、合計9音が省かれています。
良いところは、25音なので、紙の幅(35cm)で、34鍵相当の音域をカバーすることが出きることです。
ロール紙を作るにあたっての制約、「涙そうそう」は偶然に曲とオルガニートの音域が
合いましたので、F調そのままで作ることができました。D#はあまり重要な音でなかったので、
飛ばしています。殆んどの人は飛ばしたことに気が付いていません。
この曲は例外でした。その後「千の風になって」は、E♭(変ホ長調)をC(ハ長調)に移調して
1オクターブ上げるときは、高音部の2音がたり無いので、1オクターブ下の音も同時に出すことで、
高音部の2音が消えた時もメロディーとしてはあまり違和感がなく特別の人以外気付く人はないようです。
つまり、ごまかしながらの曲作りなのです。
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●左から3本ずつ並んでいますがC・Fが足踏みオルガンのフリーリード
C・Fがオルガニートのリードです。今回「にじいろ」の演奏用として、
加工したのが右側のC#・F#です。
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最近、作ったNHKの朝ドラ「花子とアン」の綾香さんの「にじいろ」は冒険でした。
この曲は、D調ですので、いつものように、D→Cにすると、曲の「これからはーじまる・・」の
二番目の「れ」の音ががE♭(D#)このオルガニートはE♭が出たらお手上げです。
仕方なくD調のまま作ることに・・D調は、#が2つで、CとFに#がつきます。
2年前から修理しようと分解したままの昭和20年代の足踏みオルガンのリードを見ると、
130年まえのアメリカ製のこのオルガニートのリードが幅も厚みもほぼ同じである事が解り、
合わせてみると、長さを上下5oづつ削れば使えそうな感じでした。
そこで、低音部の(F)・(C)と高音部の(F)・(C)をそれぞれ4枚の(F#)・(C#)のリードをを削って
演奏の前に差し替えることにしました。
曲の難しさもあり、出来はイマイチで、まだ調整が必要です。
今までに自作したミュージックロールは、次の通りです。
故郷
朧月夜
里の秋
にじいろ
涙そうそう
さとうきび畑
千の風になって
さよならの夏(映画コクリコ坂)
NHK「花子とアン」の主題歌・にじいろ
ホワイトクリスマス・ジングルベル メドレー
さだまさしのBirthday(NHK・TV鶴瓶の家族に乾杯のテーマ曲)
■色の曲はYouTube
チャンネル
SHOICHI YAMADA で聴く事ができます。
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