おもちゃのギャラリーご覧の皆様へ

2014年10月  おもちゃのギャラリー主宰
                 山  田  庄  一  

 『おもちゃのギャラリー』は
平成4年(1992年)に私の曽祖父の時代より燃料店とて使用してきた、大正6年(1917年)建築の古い建物を改築するにあたり、1階を燃料店の事務所として使い、2階のスペースに、長年掛けて集めてきたおもちゃや、アンティークなどを、約半年間かけて陳列展示して公開したもので、今年で22年になります。

東日本大震災により、ギャラリーは、の展示物が散乱、展示不能となり、現在休館中です。ご迷惑をおかけしますが、よろしくおねがいします。

【おもちゃが発している時代のメッセージを感じとって欲しい】

 その間、幼稚園児からご老人までさまざま人達をがギャラリーを訪れ楽しんでいただく事ができましたが、特にお年寄りの方の感激される姿を見て、おもちゃに秘められたその時代のメッセージというものを、年代を問わずもっと多くの人に知ってもらうことが必要でないかと考えるようになりました。

 ホームページも、平成10年(1998年)7月に開設しまして、16年になりますが、
HPの開設当初は、ほとんどの人ががダイヤルアップ接続でしたので、インターネットの環境による制約などもありまして、画像の質をおとして表示される時間を速くしたりとか、プロバイダーの契約容量を越えないようにとか、現在では想像も出来ないくらいの制約がありました。


 この16年間、基本的には大きな改造はせずにきましたが、とくに反響の大きかった『時代を現すおもちゃ』と、『遊びのおもちゃ』のコーナーをもう少し掘り下げた内容のものへと作り変えていきたいと考えています。
おもちゃはその時代の生活文化を映す小さな鏡

【おもちゃは、もともと時代を映す要素の強いものである】

 日本に伝わる「遊び」や「おもちゃ」の基になったものは、今からおよそ1,200年前の平安時代の頃に大陸から伝わったものと言われています。


 そして、江戸時代頃になりますとおもちゃの種類もずっと増え、一般庶民の子供たちの間にも広まっていったようですが、まだいろいろな規制や制約などもあったようですし、現在まで引き継がれている「郷土玩具」等に見られるように、遊び以外の要素を多く含んでいる物などが一般的だったようです。

 明治時代になると、外国から新しい遊びや、ブリキ製のおもちゃなども輸入されたり、また、江戸時代からの物もそのまま引き継がれ、新しい素材や技術などとあいまって、今までにない新しい「おもちゃ」が日本国内でも作られるようになってきます。

 とくに、明治時代の後期あたりから、多くの人達(消費者)への販売を目的とした、産業として作られる「おもちゃ」は、時代が(その時代の多くの子供たちが)要求する物が売れ、その要求がなくなると消えていく、といったような経済の原則にしたがったものとなってきます。


 「おもちゃ」が売れるということは、=その「おもちゃ」を使った遊びがあるということで、逆をいえば、子供に遊ばれなくなった物は作られなくなり消えて行きます。

 そこで、「メーカー」「問屋」は、・・新しい「おもちゃや」「遊び」を開発したり、時代に先駆けた「おもちゃを」作ったり・・・という努力を繰り返すことになります。当然のことといえば当然なのですが、・・
 そういうことから言えば、もともと、「おもちゃ」は、時代を映す要素の強いものであるということが言えるのです。

 このような「特に時代の色濃く現れているおもちゃ」には、
 1.大きな社会の変化や出来事、また技術や素材の進歩などによるその時代の特徴を映し出している物と、
 2.その影響により、家庭内の生活環境の変化などを映し出しているもの、という様に大きく2つに分けることができると思います。


おもちゃは今の時代も確実に映しつづけている

 私が、これまで収集してきたさまざまの「おもちゃ」について、製作年代などを調べる目的で、時代背景や、製作意図などを推定していくことになった訳ですが、次第にそれらの「おもちゃ」達が映し出しているその時代のメッセージのようなものを強く感じられるようになってきまして、また、そう云うものを好んで集めるようにもなったわけです。

 そういう「おもちゃ」を通して、日本がどう歩んできたのか、そういう時代の中で子供たちはどんな暮らしをしていたのかと言うことが少しでもわかっていただければ幸いと思います。

 しかし、これらの事柄は時代の一部分を写している小さな鏡にすぎず、すべてをそのまま映しているものでは無いということも、言い添えて置かなければまりません。

 それは、おもちゃは、製作する上で国の政策や、メーカ側の販売のための思惑、また、子供に買い与える「親たち」の願望などが盛り込まれているものだからです。だからこそ、時代を現しているとも言えるのですが・・・・


 おもちゃを通して、過去の歴史や文化などに興味が広がっていけば、また「おもちゃ」を見る目も少し変わってくることと思います。

 そして、「おもちゃ」は今も時代を確実に映しつづけているのです。
これからも、人類が続く限り「おもちゃ」は人間の社会を映し続けていくでしょう。



 ご意見、ご感想などありましたら、伝言板か、メールにてお聞かせ頂きたいと思います。