上田からR143を松本方面へ向かいます。青木村に入り、田沢温泉を引湯した「くつろぎの湯」の角を左折、山を少し上ると古めかしい田沢温泉の温泉集落に入ります。その一番(上)奥に共同浴場「有乳湯」(うちゆ)」があり、駐車場は手前を左折、さらに左折した左側にたくさんあります。その上には小安地蔵尊のある薬師堂があるので参拝。男ですが…
田沢温泉は「子宝の湯」として飛鳥時代からの古い歴史のある湯です。山姥が湯治に訪れ、鬼退治をして坂田金時を産んだと言う伝説も。御婦人に卓効があり、乳の少ない婦人は27日、子のない婦人は37日で効果が表れると言われています。(青木村観光パンフより)
有乳湯は2000年に改築されたばかりで、寺社建築の玄関や屋根が立派です。Y氏のレポをご覧下さい。ちなみに改築前の「有乳湯」は求人ジャーナル社のHPで偲ぶことができます。
中へ入ると霊泉寺温泉のレジオネラ菌検出を受けてか、11月現在レジオネラ菌は不検出で当施設は安全である旨の張り紙が柱に張ってあり、受付には水質検査表が張ってあります。長野の温泉のレジオネラ菌騒動の影響の大きさを痛感しました。Kさんも有乳湯の水質検査表がきっかけでレジオネラ菌や循環に興味を持たれたらしいです。(〜浴槽まわりのお湯遣い〜)
まず券売機で大人200円の入浴券を買い、受付のおばちゃんに渡します。左が男湯、右奥が女湯右が展示室となっています。やはり夕方はずいぶん混んでましたね。浴室へ入ると手前に鮮やかな緑色をした掛け湯があり、Y氏によると、カランや洗い場と同じ1号泉らしいです。浴槽は透明な湯で泉温も少し高めの2号泉。両方とも若干の硫黄臭があり、飲むと独鈷温泉や沓掛温泉そっくりの硫黄(腐卵)味がツンと感じます。
実際入浴するとヌル目で肌に泡がビッシリつき、ヌルヌルしてきます。そしてホカホカ感が強くヌルイ割には長く入浴できないほどです。お湯は文句なしの掛け流しでした。本当、これは長い歴史に裏付けされた名湯だと納得しました。
浴室は窓から外の景色は見えず、タイル張りで風情はないですね。私は古き良き共同浴場も好きですが、割と新しいもの好きなので、これでも十分だとは思いますが…。割と近代的なので鄙び系が好きでない方にオススメできますね。
分析表は玄関前の展示室入口にありました。浴後、展示室を見学したあと、記録してきました。
(※
施設内に掲示してある分析書より引用)
温泉分析書
(鉱泉分析試験法による分析)
1.申請者
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氏名
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田沢共有組合
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2.源泉名及び湧出地
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源泉名
湧出地
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田沢温泉2号 有乳湯
長野県小県郡青木村大字田沢2694-ロ
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3.湧出地における調査及び試験成績
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(3)
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泉温 40.2℃(調査時における気温16℃)
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(4)
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湧出量 283L/分(掘削による自噴)
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(5)
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知覚的試験 ほとんど無色澄明、硫黄味・微硫化水素臭を有す。
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(6)
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水素イオン濃度 pH 9.3
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(4)
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密度 1.0002(20℃において) 0.9984(20℃/4℃)
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(5)
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水素イオン濃度 pH 9.33
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(6)
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蒸発残留物 186mg/kg
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5.本水1キログラム中に含有する成分、分量及び組成
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(1)陽イオン成分
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(2)陰イオン成分
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陽イオン成分
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ミリグラム
mg
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0.04
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56.6
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0.8
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0.02
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3.9
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0.07
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陽イオン 計
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61.4
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陰イオン成分
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ミリグラム
mg
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0.5
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38.9
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0.1
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0.3
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9.2
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21.0
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26.3
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12.3
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0.9
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陰イオン 計
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109.5
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(3)非解離成分
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(4)溶存ガス成分
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非解離成分
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ミリグラム
mg
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57.2
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非解離成分 計
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57.2
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溶存ガス成分
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ミリグラム
mg
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0.005
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溶存ガス成分 計
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0.005
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溶存物質(ガス性のものを除く) 228.1mg/kg 成分総計 228.2mg/kg
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総水銀
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(Hg)
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不検出
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鉛
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(Pb)
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不検出
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カドミウム
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(Cd)
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不検出
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総クロム
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(Cr)
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不検出
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6.泉質:単純硫黄泉(アルカリ性低張性温泉)
(注)以上の結果は、浴槽湯口において行なったものである。
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平成12年6月16日
長野県松本市旭2丁目10番15号
社団法人 長野県薬剤師会
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帰りはテラス下の洗い場(Y氏の右下の写真)の1号泉の湯を40Lくらいいただいてきました。自宅の湯で15Lくらいずつ加えましたが、硫黄臭がかすかに残り、よく温まるすばらしいお湯でした。現地ではこのお湯を浴用に使用せず捨てているのですから、もったいないですね。
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