〈山行報告〉
今回は、会社の山岳部で行く年末のキリマンジャロ登山のための第3回目の富士山トレーニングである。第1回目は7月に
私がリーダーとして実施、2回目の9月は都合により欠席。3回目の10月は、例年の初冠雪が10月1日なので、時期的に普通の
人が登れるギリギリのタイミングである。今年もすでに10月6日に初冠雪が甲府気象台によって観測されているので、その後の
気象に注意していたが、幸い寒波も入らず、頂上アメダスの平均気温は概ねプラスで雪はなさそうだ。天気は、大陸から
張り出した高気圧が北に偏っているため雲が多い。キリマンジャロ参加予定者16名のうち12名が今回の山行参加。8時に会社前に集合し、出発。
私は、富士山へは、御殿場口(学生時代)、吉田口(90年富士登山競争)、富士宮口からは登ったことがあるが、今回の
須走口は初めてである。東の方から登るので、晴れればどこからでもご来光が拝めるという評判のルートらしい。また、
ここの7合目にある太陽館は、5合目より上にある小屋の中では最も遅い時期まで営業しており、
今年は10月15日までの営業である。本日は、ここの小屋に素泊まりの予定。5合目の登山口にある菊屋にて、おいしい椎茸茶を
ご馳走になり、温まってからいよいよ登山開始。しばらくは樹林帯の中の登りで視界が効かないが、6合目辺りから樹林が切れ、
ガスも晴れてきて頂上方面が見える。下から見る限り、やはり雪は全くない。先頭を仰せつかった私は、前日の空手練習で筋肉疲労を
起こしている両足を労わりながら、一歩一歩登る。16:40に太陽館に到着。気温−2℃と冷え込んできた。小屋で夕食後、
同行したK2登山経験者のK氏と、ビール・焼酎を片手にキンマンジャロ談義で楽しく過ごす。
翌日、5時起床。小屋の外に出ると、星が見えており、頂上もバッチリ。朝食・パッキングを終えて出発する直前に、
小屋の真正面からご来光が登る。頂上が朝日に染まり綺麗だ。私は防寒対策として、念のため上下の毛の下着を着込んだ。しかし、
風が思ったほどないので、それほど寒くはない。最高齢69才のメンバーのペースに合わせてゆっくり登ったつもりであるが、
9合目の小屋でSpO2が74%しかなかった。どうも最近、走り込みが足りないため、激しい練習で低酸素状態に追込む空手練習に
順応してしまっており、体内酸素量の戻りが遅くなっているようである。ただし、最高点の剣が峰の登りで、余力があった私は
皆がついていけないハイペースで急登を登り切った後で、逆にSpO2が89%まで回復しているので、激しい運動には順応している
とも言えるかもしれない。ともあれ、剣が峰の展望台からの眺めは見事。聖岳・赤石岳・荒川岳・塩見岳・北岳・甲斐駒ヶ岳と
続く南アルプスの背後に中央アルプスが見え、その右手には八ヶ岳が雲の中から浮かび上がっている。富士山測候所は、04年秋から
無人となり、かって測候所の象徴となっていた丸いドームも今は撤去されている。NPOの人が測候所にいるという話も聞いたが、
この日は誰もいなかった。
剣が峰からの絶景を後にして、高所トレーニングのためお鉢巡りをする。私にとってお鉢巡りは学生の時以来であり、
お鉢の赤茶けた絶壁は、これまた何とも言えない絶景。さほど寒さを感じなかったが、気象庁の観測データによると富士山の気温は、
−5℃程度だったようである。お鉢コースに積雪はなかったが、所々にエビのシッポが見られた。下りは、7合目からは砂走りを
すっ飛ばし、登り3時間半かかったところをわずか1時間で下りてしまった。ひざがパンパンに張ってしまったが、よいトレーニング
になった。『御殿場市温泉会館』にて、
2日間の汗を流して帰途に就く。
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