〈山行報告〉
今週の月曜日に槍ヶ岳から帰ってきたばかりというのに、もうその週末の土曜日に富士山に登りに行くという、大変
ハードなスケジュール。私にとっては、去年に続き2年連続で、通算4回目の富士登山となる。今回は、年末に計画されている、
会社の山岳部50周年記念キリマンジャロ登山のための、高所トレーニングとして実施。私は、20年前にキリマンジャロに
登った実績を買われて、今回の富士登山のリーダーを仰せつかった。下は9才、上は69才、会社のハンガリー拠点の外人2名、
と幅広い年齢、人種構成となり、A:お鉢2周、B:お鉢1周、C:剣が峰往復の3パーティー編成とした。私と長男は、
Bパーティーの中に入り、全体を統括する。
富士宮口5合目にて全員集合写真を撮った後、一番行動時間の長いAパーティーに合わせて、午後7時に3パーティー
一斉に出発する。最初のうちは晴れていて頂上方面が見渡せたが、段々とガスってきて、7合目からは視界がきかなくなった。
1ピッチ目が長かったため、長男がバテ気味。砂地の登りで足を滑らせていたので、同行のOBの方にストックを借りる。私は、
と言えば、前日の金曜日夜に体重が56kgまで落ちてしまうハードな空手練習をしたにもかかわらず、水5L、寝袋などを含めて
15kgのボッカをしても何ともない。先々週の低酸素トレーニングと、先週の槍ヶ岳での20kgのボッカの成果かもしれない。
ご来光登山にしては登り始めが早いため、夜11時からに出発した昨年に比べて、登山道は格段にすいている。ゆっくりとした
ペースで着実に高度を稼いでいく。高度とともに次第に気温が低下、8合目5℃、9合目3℃、頂上1℃、9合目から上は霧で濡れる
のと風も出てきてさすがに寒いので、重ね着した上にカッパを着込む。9.5合目で完全にバテしてまった長男の手を引張って、
ようやく午前3時半頃、頂上の浅間大社に辿り着くが、ガスのため何も見えない。既にお鉢巡りに入っていると思われたAパーティーも、
視界が利かないため安全を取り、そこで待機していた。5時少し前まで待ったが、ガスが晴れる気配がなく、メンバーに疲労の色が
濃いため、残念ながらここで『全員撤退』の判断を下した。
下山にかかると、登る時には暗くて分からなかった残雪が意外と多いのに驚く。例年になく残雪が多いため、7/18日に
やっと登山道が開したという情報も頷ける。9.5合目近くまで下ると、皮肉にもガスが晴れてきて、強烈な日差しと夏山らしい青空が
覗く。しかし、それも8合目までで、すぐにまたガスが出てきて、小雨まで降り始める。強烈な日差しにより空気が暖められたこと
による上昇流と、上空に寒気を伴った気圧の谷が接近していたため、大気の状態が不安定になっているようである。結果論ではあるが、
『撤退』の判断は間違っていなかったと思われる。小雨が降り出したことが、睡眠不足と長時間行動による疲れに追い打ちをかけたのか、
7合目から長男のペースが極端に遅くなる。ようやくの思いで5合目に辿り着くと、すでに11時半。昨夜からなんと16時間半の
行動時間で、キリマンジャロのアタック日の行動時間15時間を上回るハードな一日であった。皆様、大変お疲れ様でした。
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