空手型についての私見         Karate kata

  

平安初段

平安の型は、初段から五段まであり、初心者が真っ先に習得する型である。 追い突き、下段払い、上げ受け、手刀受けを主体とする基本技からなり、特に難しい技はない。 シンプルなだけに、前屈立ち、後屈立ち、そして運足を完全にマスターしていないと、逆にサマにならない。

  

平安二段

蹴上・裏拳、貫手、内受け、前蹴り、逆突き等の技があり、初段と違っていかにも型らしくなってくる。 最初の両腕を斜めに上げて受け、腕を交差させて裏突き、鉄槌の一連の動作をスムーズにこなすのがポイント。 あとは逆半身の内受けから前蹴り、逆突きの動きをマスターすればよい。

  

平安三段

この型の特徴は騎馬立ちでの技で、猿臂で相手の突きを受けて裏拳、後ろの相手への猿臂と腕を巻き込みながらの 後方への突きの同時攻撃がある。また、貫手の手首をつかまれた時の腕をねじりながらの脱出法は、護身の技 としても参考になります。

  

平安四段

個人的には平安の型の内で、この型が一番華麗で気に入っている。平安二段と同様に両腕を斜めに上げて受けるが、 違うのは拳ではなく手刀を作り、息を吐きながらゆっくりとした挙動で行う。そして、十字受け、内受けの後に 蹴上・裏拳同時攻撃から猿臂を左右、前蹴りから裏拳(気合)の流れが、この型の特徴である。また、両襟をつかまれた 時の掻分受けは、慈恩が上から肘を入れて掻き分けるのに対して、平安四段は下から拳を入れて掻き分ける。 相手の首を押さえての膝蹴りも、実戦に使えそうな技である。

  

平安五段

平安の型の中で唯一この型だけ飛び技がある。気合とともに相手の攻撃を飛び上ってよけて、着地とともに 下段十字受けである。着地は交叉立ちなので、バランスが崩れやすいので何度も練習されたし。 下段十字受けから上段受け→抑え受け→追い突き(気合)も、分解して技の意味をよく吟味すべし。

  

鉄騎−−

鉄騎の型は初段から三段まであり、いずれも騎馬立ちでの左右の動きしかないのが特徴です。 なかでも鉄騎初段は、大変シンプルなだけに技のうまいへたがすぐにばれてしまう、ある意味では 大変難しい型なのかも知れません。二段、三段となるに従って、技が華麗で難易度が高くなります。私の結婚式の披露宴で、 師範に模範演舞をしていただいたのが、鉄騎三段で私にとっては大変思い出深い型です。

  

慈恩−−

私が属している松濤間流の会派では、初段を取るためには慈恩と抜塞大をマスターしなければならない。 抜塞大がどちらかというと力強さをアピールする型であるのに対して、慈恩は華麗で流れるような 型であり、私は慈恩のほうが好きだ。最初の交叉受けをまずビシッと決めて、ゆっくりと息を吐きながら 掻分受け→前蹴り→左右三本突きの出だしが一番肝心。また、左回りに3/4回転して後屈立ち・卍受けが 2回あり、転身の鍛錬として、ここを流れるように決めるべし。終わりの方の右左右の騎馬立ち・鉄槌も、 鉄槌の軌道がぶれないように注意されたし。最後の決めは、掴み受けからの弓突き、相手の手を掴んで、 渾身の気合で相手の脇腹に突きを捻じ込む。(型であるので、実際の動作は少し違うが)

  

抜塞大

初段を取るためのもう一つの型。これも最初の交叉立ち・内受けをバシッと決めるのが大切。 次に、後ろ、前、左の相手に外受け・内受けで連続して防御。ここまでが、一連の動作としてできるように 練習すること。逆半身から相手をつかみながらの下段蹴りは、実戦にも使える。上下から突く山突きが 3回あるのが、上下の突きを同時に決めるのは大変難しい。最後の右左の掬受から、右手刀受け→左手刀受けは、 単に手刀受で終わらず、相手の突き手を弾き飛ばし、すぐさま反撃に移れる気合が必要と思います。

  

観空大

クーシャンクーとも呼ばれる松濤館流を代表する型。最初に両手を重ねて空を仰ぎ見ることから、 観空と名づけられたという。この挙動の意味を師範に尋ねたところ、呼吸を整える呼吸法の意味がある と教わった。最初の方の前蹴りから半回転して卍受け→下段貫手→自然体の繰り返し、後半の回し受け から落し突き→上段十字受けの流れは華麗であり、極めつけが最後の二段飛び蹴り(気合)。 そして右手ですくいながら回転して直る。私にとっては、最後の二段蹴りが難関で、なんとかものに したいと思っている。

  

観空小

同じ観空でも小は、最初に両手を重ねて空を仰ぎ見る動作がなく、左、右、前の内受けから始まる。 掴まれた手首を捻ってはずす技、相手の腕を掴んで前蹴り、飛んで一回転して手刀受け・飛んで 三日月蹴り→後蹴りの二つの飛び技がある他は、観空大と技が似ている。私は、この型を昔やったことが なかったが、最近になって学生が演舞のために練習しているのを見て覚えた。観空大とはまた違った 味わいがあり、面白い型だと思う。

  

燕飛−−

これも私が最近になって覚えた型です。上段揚げ突き→交叉立ち・落し突き→後下段払い→左下段払い までの一連の動作が、まるでひらりひらりと燕の飛ぶように華麗。最初のほうの鍵突きは、右手を前に 出して引く反動を利用して突くとよい。また、上段揚げ突きは相手のあごを突き上げるように打つ。 最後の回転飛び(気合)から手刀受けは、虎口構から地面に投げ飛ばした相手を避けて別の相手の攻撃を 捌く意味があり、ふわりと飛び上がり着地でピタリと決まるように練習すべし。

  

五十四歩

師範が開いている少年空手クラブでの演舞を見て、最近やっと順番を覚えた型です。五十四歩にも 大と小があり、松涛館流では小が一般的です。観空大・小、抜塞大・小の違いと比べて、五十四歩には 大と小の基本的な身体の動きの違いはほとんどない。最初のところで大が縦突に対して、小は掻分受、 また途中のところで大が一本貫手に対して、小は四本貫手及び青竜刀打が主な違いだが、その他細かい ところの技の違いがあり、大の方がかなり難しい。金澤先生の型の本では、本文の説明にあるように あえて大と小が逆に書いてあります。小は特別に困難な技もなく、基本通りの運足、緩急の取り方が、 この型を演じるポイントではないかと思います。

  

五十四歩

04年の全日本空手道選手権大会の女子型の部の決勝で、優勝した若井選手のスーパーリンペイに対する型 として相手の選手が演じていた型である。全般的に猫足立が多い。"小"と共通する動きも多いが、 鶏頭受、一本貫手、鷲手打など独特の技があり、"小"に比べると格段に難しい。 "小"では最初の掻分受が"大"では平行縦突、"小":前蹴・追突が"大":前蹴・逆突、後半では"小":前蹴・下段払が "大":前蹴・猿臂下段払と微妙に違っているところがある一方、"小"で何度も出てくる流雲の受が"大"では全くなく、 代りに鶏頭受が何度も出てくるなど根本的に違うところもある。雲手と同じく高段者向けの型と思います。

  

壮鎮−−

この型は、壮鎮立という、前屈立と騎馬立の中間のような、どっしりとした構えが特徴です。 一部後屈立もありますが、前屈立は一切なく、あとは全て壮鎮立です。従って、壮鎮立のマスターが、 この型の最大のポイントとなります。また、無双構が何度か出てきますが、予備動作として両腕を回旋 させる動きが入ります。流受裏拳打のところが少々難しいので、二挙動に分けて練習するように 師範のご指導を受けています。重厚で足腰の鍛錬には良い型なので、是非ともマスターしたいと思っています。

  

雲手−−

ウンスーと読みます。この型は、技の難易度が高く、高段者向けの型と思います。両手の手のひらを 左右に開いた形(開雲の手といいます)が特徴で、相手の攻撃を掌底で受け、更に掻き分けて受ける意味が あります。特に難易度が高いのは、背刀打→上段前蹴から半回転して一本立外受と、旋風飛蹴で、中でも 旋風飛蹴は、燕飛・観空小が半回転に対して、一回転してからの後蹴は、とても難しい。 また、鶏頭構からの一本貫手、体を伏せての左右の回蹴、回受などもあり、きっちりと技をマスターする 必要があります。

  

二十四歩

ニーセーシとも呼びます。これも雲手ほどではありませんが、緩急が重要で演ずるには難しい型です。 特徴としては、縦猿臂打が3回もあり、また立ち方も前屈立、後屈立、騎馬立、三戦(サンチン)立と 多彩です。他の型は演舞線が+字上が多いのに対して、演舞線が×字上なのも特徴です。正中線を意識した 攻守の鍛錬にはよい型だと師範はおっしゃっていました。ちなみに、五十四歩と違って、型の大・小は ありません。肉体的には楽なのですが、人前で型が打てるほどの味を出すには相当の熟練が必要です。

  

十手−−

途中で出てくる、両腕を上に上げた形の山受が、江戸時代に出てくる十手に似ていることから、この名が ついたらしい。この型は蹴技がなく、棒に対する受けがあるのが特徴。演舞線はほぼ前後のみで単純であり、 時間も短いのだが、山受、杖受など、他にない技があり、練習する必要がある。一部、燕飛や慈恩の技も入って いる。棒に対する受けがこの型のポイント。棒を受けて、引っ張り込んでから、突き出して倒す意味あり。 私にとっては、目新しい技が多く、とても面白い型と感じた。

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