渓流釣りを知らない人へ


   目次

  1. 渓流釣りとは何か
  2. 川を遡行しながら釣る
  3. いろいろな釣り方
  4. 最近の渓流釣り事情
  5. 放流魚の存在
  6. いろいろな渓流釣り場

1.渓流釣りとは何か

 渓流とは川の上流で、主に山間を流れる部分をいいます。
山間部なのでまわりは豊かな森に囲まれています。
川は落差のある谷間を流れていて、時には滝などもあります。
全く汚染されていない水の流れは非常に美しいものです。

 その渓流に住む魚を釣るのが渓流釣りで、代表的な魚はイワナ、ヤマメ、アマゴになります。
特にイワナは日本で一番高い所に住む魚です。
イワナの生息域ぐらいになると、源流と呼ばれる場所もあります。
 この魚達は昔からずっと渓流で生息してきました。
その姿は非常に美しく、これが釣り人を魅了するのです。
この魚にとりつかれ、渓流へ足を運ぶ人は多いと思います。
 また、食べ味もすばらしい物があります。
個人的な意見ですが特に塩焼きにして食べた場合、これほどおいしい魚はないと思うぐらいです。

 渓流釣りは自然と密接な関係にあります。
人の手が入らない自然の川だから魚は生きているのです。
その魚を釣るには、自分が自然の中に入らなければなりません。
魚を釣るだけでなく、自然とふれあうことも必要です。
それが渓流釣りなのです。


2.川を遡行しながら釣る

 それでは渓流で魚を釣るにはどうすればいいのでしょうか?
渓流魚はかなり用心深く、人影を見たりすると あっという間に岩陰に隠れてしまい釣れなくなってしまいます。
たとえ気付かれずに竿を出しても、魚を釣り上げてしまえば 残った魚に警戒されてしまうのですぐに釣れなくなります。
 ですから一個所の場所で何匹も釣るという訳にはいきません。
従って、その場所で釣れなくなると必然的に次の場所へ 移動して竿を出すという釣り方になります。
 通常、魚は流れてくる餌を食べる為に上流を見て泳いでいるので、 背後(下流側)から近づいた方が気づかれません。
よって場所を移動する際は下流から上流へ移動していくのが普通です。

 渓流は自然の姿そのままなので道などはありません。
ですから移動は川の中を歩いて行く事になります。
水深があって進めないような場所や登れない滝などがあれば、 山の斜面などを登ってそこをかわしながら上流へ向かいます。
時には危険な場所もあるので、少なくとも安全な釣りとは言えません。
 しかし、このように川を遡行しながら 竿を出していく事こそ渓流釣りの基本スタイルです。


3.いろいろな釣り方

 そして実際に釣る場合、その釣り方にはいくつかの方法があります。
渓流魚はその美しさに反してエサにはかなり貪欲です。
主に水生昆虫(陸生昆虫の幼虫など)を食べていますが、 他に陸生昆虫類、小魚、ミミズ、クモ、カエルなど 生きている物なら何でも食べます。

 実際に魚達がいつも食べているエサ、または食べれるエサを ハリにつけて釣るのが餌釣りです。
これがもっともシンプルで釣りやすいと言えます。
昔ながらの釣り方ですが、今でも最も多くやられています。

 また、普段魚が食べている昆虫類そっくりに作った毛バリで釣るのが毛バリ釣りです。
毛バリは人間が作ったもので実際には食べられないのですが、 魚に本物と勘違いさせて釣るわけです。
毛バリ釣りには日本古来からあるテンカラ釣りと 外国から入ってきたフライフィッシングという方法に分けられます。
フライフィッシングでは毛バリのことをフライと呼びます。

 他にはルアーフィッシングという方法もあります。
これも外国から入ってきた釣り方で、普段、小魚などを食べている魚の習性を利用し、 小魚などに似せて作られたルアーを使用して釣ります。

 フライフィッシングとルアーフィッシングは専用のリールを 使用するので、餌釣りやテンカラ釣りと違って、遠くから、 そして広範囲にポイントを狙えるのが特徴で、両方とも最近人気のある釣り方です。
 ルアーフィッシングに関してはどちらかというと渓流よりも、 ブラックバスなどを対象としたダム湖などでの釣りが有名です。


4.最近の渓流釣り事情

 これで渓流釣りがどういう物か少しはわかっていただけたのではないかと思います。
しかし、最近の渓流釣りの事情は昔とずい分かわってきています。

 まず、冒頭に述べたような自然のあふれた渓流は最近、少なくなってきている事があげられます。
木を伐採する為、源流近くまでどんどん林道が延長されています。
道を作った時に掘り返した土砂は川に捨てられます。
木が切られたことで雨が降るたび山が崩壊し、崩れた土砂は川に流れ込んでしまいます。
この土砂を下流に流さないように次々に砂防ダムが作られています。
川底は砂に埋まり、砂防ダムによって川は分断されてしまいました。
 また、発電用の取水堰堤が作られる場合もあります。
川の水を大幅に取ってしまう為、それより下流の水が無くなってしまった所も数多くあります。
このように荒れ果てた川に魚は生きていけません。

 それに加えて、最近の釣りブームで釣り人が増えたのも原因です。
魚はここ数年ですっかり釣られてしまいました。
本当に昔から生きていた天然の魚は急激に減ってしまったのです。

 以上のような事情により、釣りに出かけても最近は魚の姿を見る事すらまれで、 なかなか釣れなくなっているのが現状です。
それでは「渓流釣りをやる価値はないのか?」という事になりますが、そんな事はありません。


5.放流魚の存在

 それぞれの川は漁協組合という所が管理をしています。
漁協組合は自分達が管理している川に魚を放流する事を義務づけられています。
従って、確かに天然の魚は少なくなってしまいましたが、漁協組合が川に養殖した魚を放流してくれるおかげで、
魚は今でも釣る事ができるのです。
要するにこの放流があるかぎり、渓流釣りもなくなりはしないのです。
切り替えの早い釣り人は釣れない天然の魚よりも、 放流情報に耳を傾け、確実に魚のいる所で釣っています。
 放流が行われる場所は川沿いに道のある所がほとんどで、 比較的安全に渓流釣りが行えるようになっています。
今の渓流釣りはこの放流無しには実現しないと言っていいでしょう。
 といっても、この放流だけではとても魚が足りません。
渓流魚を釣りたいという人は次から次へと後をたたないからです。
ここで出現してきたのが管理釣り場で、最近増えています。
 これは川の一部分の区間を区切って、そこに魚を集中して放流し、 特別料金を取って釣らせるという物です。
放流量が多いので、誰でもいい型の魚をたくさん釣る事ができます。
 魚が少なくなってきたので、釣った魚はなるべく放してやる事が 呼びかけられて久しくなります。
しかしながら、自分が釣った魚だからみんな食べたいはずです。
そういった意味でも管理釣り場は必要だと私は思います。


6.いろいろな渓流釣り場

渓流釣り場を以下にまとめてみたので参考にして下さい。
釣り場説明
源流 川の上流部でいわゆる天然の魚が残っているような場所をいいます。
対象となる魚はイワナが多く、これに夢を求める釣り人が入り込みます。
釣り場は遠いだけでなく、危険な場所もあります。
奥まで入るには野営の準備が必要になり、15〜20Kgのザックを背負って行きます。
それなりの技術、経験、体力があり、
加えて魚を釣りたいという情熱がある人でなければなかなかできません。
釣り方は餌かテンカラで釣る人がほとんどです。
渓流 いわゆる普通に渓流釣りをする場所をいいます。
自然のままの渓流もあれば、林道などが川沿いにある所もあります。
魚さえいれば集落があるような所でもここに含まれます。
天然の魚もいますが、大部分は放流の魚を釣る事が中心になります。
魚はイワナやヤマメだけでなく、集落の近くだとニジマスやハヤがいる場所もあります。
釣り人もベテランから初心者までいろんな人がいます。
釣り方も餌、テンカラ、フライ、ルアーとさまざまです。
本流 渓流よりさらに下流でハヤやアユが中心になるような所をいいます。
基本的に集落の中を流れる場所で、人が川を渡ったりできないほど川幅も水深もある場所です。
ここは完全に放流の魚によってなりたっています。
川の規模が大きいので魚に警戒される心配はあまりありません。
餌が豊富なので魚は通常より大型に育ちます。
この大物を釣る為に8mとか9mといった長竿を使用し、
釣技にも徹底的にだわる人が多いようです。
管理釣り場 場所の多くは渓流にあり、主にキャンプ場の近くなどで営業されています。
放流量が多ので必ず釣れるし、年間を通していつでも釣っていいので人気があります。
安全だし竿などの道具も貸してくれるという事で、
他にキャンパーやレジャーの人達もやってきます。
魚はイワナやヤマメを放している所もありますが、主にニジマスが中心です。
釣った魚をその場で食べる事ができる所もあります。
ダム湖 これは渓流釣りの分野に入るかどうかわかりません。
しかし、ダム湖にはイワナやヤマメがいるのは確かで、
渓流魚であれば渓流釣りの中に含まれるような気がします。
ダム湖で大型に育った魚を目的にルアーを引く人を良く見かけます。
ボートを車に積んでやってくる人もいます。
ダム湖は見た通り広大な場所なので、餌釣りやテンカラ釣りには向いていません。




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