I LOVE 丹沢

− 最終釣行 −



 セットしていた目覚ましで目が覚めた。もちろん車の中である。(^^;
すぐに耳に入ってきたのは車体を叩く雨の音であった。ガ〜ン、予報では晴れだったのに...
実は昨日も天気予報に裏切られ、天気が悪かった。
さすがに2日続けて雨の中で釣りをするのはキツイ(?)と感じたので、
今日も雨なら釣りは中止だと決めこみ、すぐ二度寝に入った。(笑) ←寝るなよ (^^;

 しばらくしてから再び目が覚めると外はすっかり明るくなっていた。
雨の様子をチェックすると弱い霧雨に変わっていて小康状態(?)といった感じである。
三度寝するかどうか迷ったのだが(←迷うなよ(^^;)、とりあえず起きることにした。
ゆっくり朝飯を食べた後、ゲート前に車で移動する。
しばらく車の中で様子をうかがっていたが、相変わらず空はぐずっていて晴れる様子はない。
でも車の中にいても特にやることもないし、それよりも釣りができるのは今日が最後なのである。
だんだん気が変わってきて、結局、行くしかないと決断したのだった。
まぁ、なるべくしてなったというべきだろうか。(^^;

 時間の方は既に7時を過ぎていて、ゲート前には車が3台ほど止まっていた。
完全に出遅れてしまっているわけだが、まぁ、これはいつものことだ。(^^;
でも私は「そんなに先を争ったっていい釣りはできませんよ」と何故か余裕綽々なのであった。(笑)

丹沢1  実は一昨日に関東を台風22号が直撃した。
昨日は台風が通過した翌日とあって川はどこも大増水だった。(^^;
もちろん、それでも釣りはしっかりやったのだが。(笑)
後日の話しではあるが「流されなかった?」と心配してくれた人がなぜかたくさんいた。
でも私ってそんなイメージしかないのかなぁ。(^^;
ちなみに私は最初から増水している渓に挑むほど無謀ではありませんって。(^^;

 林道を歩きながら本流を覗き込むと昨日に比べれば確かに水は少なくなったが
まだ増水が続いていて水も濁っている。だめだこりゃ。(^^;
しばらく行くと雨が強くなってきたのでカッパをはおって更に歩いていく。
所々で台風の痕跡がひどかったが歩く分には特に問題なかった。
それにしても霧で周りは何も見えない。
途中、本流で釣りをしている人達を見つけた。
このコンディションでよくやるよ。せめて支流でやればいいのに...
とはいってもこの水量じゃ遡行できないと思うけどね。(^^;


丹沢2  歩いてきた所を振り返ると遠くにちょっとだけ晴れ間が見えていた。
早く晴れてくれないかなぁ...
でも、もうビショビショだからどうでもいいか。(^^; ←半分あきらめ


丹沢3  さて、ボチボチと目的の沢に向かって降りますかね。
さすがにこの水量だと川通しで遡行するのは無理だから、
今回は下流部をスキップしていきなり上流に入るという作戦なのである。(^^)v
頭いいでしょ? えっ、そんなの誰でも考えるって?(^^;

 写真は沢までもうちょっとのところ。
実は増水のおかげで昨日は目的の沢に入れなかった。
もちろんここも予定を変えて急遽、入ろうと決めた沢なのである。
それでもここに来るのは久しぶりなので流れが見えたらちょっと気が逸った。


丹沢4  ということで無事に沢へ到着!(^^)
水量は多めではあったが遡行には何ら問題ないレベルで安心する。
天気の方は相変わらず霧雨が降ったり止んだりで気分的にはイマイチ。
でもここまで来たらもうノルしかないでしょう。(笑)
ちょっと休憩してから準備を行い、さっそく竿を出していくことにする。


丹沢5  すると一投目からすぐにいい型が釣れた。
しかも二投目でいきなり尺上が出る。これにはちょっと驚いた。(^^;
続けて釣っていくと各ポイントでたて続けに釣れてくる。
「まいった。こりゃ、すげぇ。」
昨日入った所も確かに良かったが、今日はそれ以上の感じである。
もちろん水が出てるのが大きいとは思うが、
どうやら最近は誰も入っていないみたいみたいである。(^^)v


丹沢6  アベレージは7寸ぐらいだが8寸も良く出る。たまに9寸も混じる。
快調に釣っていくと何でもないポイントでまたアタリが出る。
おっ、またきたぞ。(^^) ゆっくり合わせるとなんと強烈にひくではないか。
そいつはなかなか浮いてこず、ぐるぐるとポイントを回っている。


丹沢7  いつまでもぐるぐるやっていても仕方ない。(笑)
糸も1号だし強引に寄せようとしたら流れに乗ってしまい、
5つぐらい下のポイントが浅瀬になっていてやっと岸に寄せることができた。
おっ、こりゃデカイ!
そこでようやく姿を拝むことができたのである。(^^)


丹沢8  丹沢にもこんなに立派な魚がいましたぁ。(^^)/
さすがにこれにはちょっと感動した。
とりあえず今日の釣果はこいつがメインかな?
でもこの調子ならまだ出そうだ。ウフフ... ←実は完全にトリップしていた(爆)

こいつは写真をとってから元いたポイントに戻してやった。


丹沢9  更に続けて釣っていくと途中でおもしろい魚が釣れた。
白点が無く、まるでヤマトイワナのようだった。
なんだか気になったので写真を撮っておいたのである。
あっ、別に丹沢でヤマトの混血が釣れたなどとは言いませんので。(笑)


丹沢10  その後、なんでもないポイントで尺2寸ぐらいのが釣れた。
これもなかなか立派だったのだが、さっきのよりも小さかったので写真はとらなかった。
ちょっともったいなかったかな?(^^;

 その代わりにこの写真でも入れときましょうかね。
ちなみにこの写真は昼飯を食べている時に薄日が差してきたので撮ってみたもの。
もちろん、なんの意味もありません。(笑) ←遊ぶなよ(^^;


丹沢11  それにしてもイワナの反応は相変わらずである。
私は釣りながら「よかった丹沢はまだ生きている」そう感じていた。

 最近、私は山梨ばかりで丹沢に訪れる機会はなくなってしまった。(^^;
山梨が禁漁になったのでこうして久しぶりに丹沢の様子を見に来ているわけなのだが、 予想以上に魚達が健在だったのでとてもうれしかった。
丹沢は東京に一番近い。魚よりも釣り人の方が多いとまで言われている。
さすがにちょっとオーバーな表現だとは思うが、
でもこうして釣りを楽しめるところもちゃんと残っているのである。(^^)


丹沢12  人は私が丹沢に行かなくなったのは
釣れなくなったから愛想をつかしたと思われているようだ。(^^;
でも、それはちょっと違うのである。
今は一人身だし金も自由に使えるから好き勝手にやってはいるが、
さすがにいつまでもこんな生活をずっと続けられると思っているわけではない。
まぁ、続けられるのが理想なんだけど。(笑)


丹沢13  でも今の仕事がこれからどうなるかわからない。会社は大丈夫かな?(汗)
もしかしたらこの先、家庭を持つことになるかもしれない。別に予定は無いけど。(笑)
もちろん怪我や病気で体を悪くして今のように自由に歩くことができなくなるかもしれない。
考えたくはないが、どこかの渓で人知れずのたれ死んでしまうかも...
ようするに先のことは何もわからないのである。

 毎週のように南アルプス方面に行ったりするのは金も時間もかかるのだが、
自由に釣りができるうちに行きたいところへ行っておこうと思ってやっているだけなのである。
ということで別に私は丹沢を見捨てたわけではありませんよ。(^^;


丹沢14  丹沢、奥多摩、大菩薩、奥秩父...etc
東京周辺はみな私が昔から歩いてきた馴染み深いフィールドばかりだ。
どこもすっかりご無沙汰してしまっているが、でもみないい釣り場なのである。
そんな中でも丹沢はより多くの奇跡を私に見せてくれたように思う。
結局、私は丹沢が一番好きだったのではないかと今は感じているのである。
各地を転々と釣り歩いていた頃はそんなことを考えたこともなかったが、
でも今になったからこそ、そんなことを考えるようになったのかもしれない。
もし、今のような釣り生活ができなくなってしまった時、
私が最後に戻ってくるホームは丹沢しかないと最近になって思うようになった。


丹沢15  そういえば以前は丹沢の沢を夢中になって順番に歩いたこともあった。
でも丹沢は狭いようで実は広かった。
無数の沢があちこちにあり、とても歩ききれないと思ったものである。(^^;
丹沢は近いし、いつでも行けるから...
いつしか私は次第に丹沢を離れ他のフィールドに釣り場を求めることになった。
それなりに歩いたとはいえ、途中で中断してしまったわけだから
まだ丹沢には私が歩いていない沢は多く残っている。
もちろん、その沢の中には良い釣り場もたくさんあるはずである。
もし、また丹沢に戻ってきたらまたあの時のように沢を歩いてみよう。
あの時の続きをやるのだ。きっと楽しいぞ。
それが今の私の気持ちなのである。


丹沢16  さて、話しを戻すが、水量が少なくなり沢も藪っぽくなってくる。
さすがにもう尺は出ない。でも、まだ9寸クラスは出てくれる。

暗い写真ばかりだとなんなのでちょっとフラッシュを使ってみた。(正解?)


丹沢17  そしていよいよ終わりが近づいてくる。
この辺は水が少ないと伏流してしまうこともある所だ。
でもまだ魚はちゃんといるのである。(^^)
さすがにもう流れも細くなりポイントもない。
魚も少なくなり型が出たとしてもいいとこ8寸止まりであった。


丹沢18  最後のポイントで釣れたのは7寸クラスだった。(8寸あったかな?)
なんかピンぼけっぽい感じの写真になっちゃいましたね。(^^;


丹沢19  ここが最後のポイント。
いつもここを最後に水は完全にガレに埋もれてしまう。
でも今日は水量が多いので水が流れていた。
もしかしたら登っているのがいるかもしれないと思い、
この先を少しやってみたのだがもう魚が出ることはなかった。
やはりここが最後みたいだ。
そうこの沢の魚止めは水源なのである。


丹沢20  さぁ〜て、そろそろ帰ろう。面白かった。(^^)
本当は昼過ぎには終わって余裕で帰る予定だったのが、
予想以上に魚が釣れたのですっかり帰りが遅くなってしまった。
沢を下っていくと今頃になってようやくさわやかな青空が広がってきた。
遅いよ(^^; とは思ったが、それでも歩いていて気分は良かった。


丹沢21  日がかたむいてきたせいで日の陰る場所が多くなってきた。
時計を気にしつつ「ぎりぎりかな?」と思いながら、
ちょっと足早に私は来たルートを戻っていった。


丹沢22  来るときは天気が悪かったので気がまわらなかったが、
途中で見事に赤く染まった葉を見つけ、おもわずカメラを取り出しシャッターを切った。
丹沢もそろそろ紅葉が始まろうとしていた。
これから急速に山は鮮やかな色にその姿を変える。
静かに耳をすませば聞こえてきたもの...それは秋の足音であった。
渓流釣りは紅葉の訪れと共に終わりを迎えるのである。


 車に戻った時はまだ明るかったが、着替えているうちにすぐ暗くなってきた。
私は着替えを終えて車に乗り込みクーラーから飲み物を取り出した。
それを開けて一気に半分ほど飲んだ。うまい。最高だね。(^^)
さて、そろそろ帰るかな...しばらくゆっくりして落ち着いたところで私は出発しようと思って車のルームライトを消した。
すると室内はいきなり真っ暗になった。外も暗くて何も見えない。本当に暗闇の中だ。
長かったようで短かったシーズンもついに今日で終わってしまった。
それにしても今年も本当によく歩き、よく釣ったものである。
楽しかったことも、大変だったことも、素晴しかったことも、騙された(?)ことも...
その全てが暗闇の中に消えていく感じがしてちょっと寂しくなった。
丹沢よ最後にありがとう。そう感謝してから私は車止めを出発したのであった。

 丹沢は崩壊が激しくガレている沢が多い。でも水は綺麗だと思う。
山には登山道が張り巡らされており、どこを登っても必ず登山道にぶつかる感じである。
そして山は本当に植林が多い。でもまだ自然林だって残っている。 熊だって生息しているのである。幸い見たことはないけど。(^^;
東京から一番近いから訪れる釣り人は多いし、他の山域に比べたらきっと魚は少ないだろう。
でも標高が低く温暖で雪も少ないから、そのぶん沢の奥にまで魚は生息している...
そんな丹沢が昔から私の身近な遊び場だった。
私は今でもこの丹沢を愛してやまない。いつかまた必ずここに戻ってくる。
だから丹沢の自然と魚達よそれまで変わらないでいておくれ...そう願っているのである。

 最後になるが丹沢は人の手によって放流が繰り返されてきた場所でもある。
今では原種の魚だけがいる沢なんて丹沢にはもう残っていないかもしれないと私は感じている。
これは非常に残念なことだが、でもそれが現状なのだ。今となってはもうどうすることもできないのである。
もちろん、そんな場所で釣りをやりたくないという向きの人も中にはいると思う。
でも私はそんなことで丹沢やそこにいる魚達を嫌いになったりはしない。
いや、むしろ今までたくさん私を楽しませてくれたことに感謝しているのだ。
だからこそ私はこれまで丹沢で釣りをしてきたし、これからもやろうと思っているのである。
もし、興味がある人がいたらとことん丹沢を歩いてみるといい。
きっと多くの発見があるはずである。だって丹沢にはまだまだ楽しい場所がたくさん残っているのだから...



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