丹波川の大物を求めて Part.3
− 丹波川本流 −
4月に入ってからかなり気温が上がるようになった。
最高気温が20℃を越える日も多くなり、週末が待ち遠しくなる。
先週やる予定だった丹波川だが、あいにく土日とも雨で釣りは断念した。
最近の天気は週末になると必ず悪くなる。
これで3週連続で土日の天気が悪かったことになる。
今週も最初のうちは週間予報で土日は天気が悪いとなっていた。(いいかげんにしてほしい!)
ところが金曜日にテレビの天気予報を見たら、数週間ぶりに2日連続で晴れると言っていた。
さすがあてにならない週間予報、状況は変わっていたのである。
これをどれほど待っていたことか、これでようやく丹波川に行ける。
今回は予定通り一番乗りを目指すことにした。
もし納得のいく結果が得られなかった場合、翌日も釣りをやるつもりでいた。
車内ビバークに必要な装備(寝袋等)を準備していくことにする。
最初から釣れなかった時のことを考ているとは少し情けない話なのだが...
狙うのは当然、奥多摩湖のバックウオーターから保之瀬の区間である。
ただし今回の計画は前回までとちょっと違っていた。
この区間はバックウオーターから入渓すると保之瀬まで国道に上がれない。
国道のある左岸側はずっと絶壁でかなりの高さになっているからである。
しかし、私は前回の釣行で国道から降りられそうな場所を見つけていた。
ここから入渓していきなり中間地点に降り立とうという計画なのであった。
これなら何があっても一番乗りは確実である。(^^)v
但し、下流部の大淵が続く区間は釣ることができない。
ここは前々回、前回と釣れてないし、残念だがあきらめることにした。
下流部はやらないので時間は余るはずである。
それならば保之瀬の先でもやってみようかと思っていた。
今回は気合が入っている。
先週よりも1時間早くし、家を出発したのは2時20分である。
中央道を八王子ICで降りて順調に走る。
ところが、またもや吉野街道で大型車にはまってしまった。
先週と同じで奥多摩湖の駐車場まで後ろを走るはめになってしまった。(^^;
駐車場で朝飯を食べて出発する頃(4時40分)にはうっすら明るくなりはじめていた。
いつもの水量調査計の入渓点に車は1台も止まっていなかった。
今ならここから入渓しても一番乗りだ...
ちょっと考えたが、やはり予定していた入渓点に向かうことにした。
入渓地点についたのは4時57分だった。
車を降りて準備をしていると、次第に明るくなってくる。
準備が終わった頃にはちょうど明るくなり、理想的な入渓パターンとなった。
最後、川に降りるところが急なのでここはザイルを使用した。
川は多少濁りが入っていて水量はあきらかに増えている。
確かに先週の土日は降ったが、ここ数日はまとまった雨は降っていないはずだが...
とりあえず水況としてはいい感じなので気にしないことにした。
少し下流に戻り、適当な所から竿を出した。
時間はあるのでじっくり釣ることにする。
しばらく釣りながら行くとポツリポツリと釣れはじめた。
と言っても相変わらずあたりは少なく、もうちょっと釣れてくれてもと物足りなさを感じる。
そして、やっと瀬の流芯で良型の手応えがきた。
引き寄せたらニジマスだった。(あたりもニジマスぽかった)
とりあえずキープして更に粘ってみる。
しばらくすると、またもや流芯でクンと引き込むあたりがあった。
とっさに反応するとすばらしい手応えが返ってきた。
「ついにやったか?」と思ったらこれもニジマスだった。
どうやらここはニジマスが意外と多いみたいである。(^^;
更にポイントを変えて釣っていたら、やっとぶっつけからイワナの良型が出た。
やっと出た本命である。思わず「やったぜ!」と言葉が出る。
時間を忘れてやっていたので、始めてから既に3時間が経っていた。
ここで上流から1人釣り下ってきた。
話を聞くと保之瀬からずっと釣ってきたらしい。
何と上流から下ってくるとは...「いろいろ考えるもんだな」と関心する。
この人は多摩川本流専門の釣り師で、たまに丹波川にもくるそうだ。
今日はバラシはあるが、まだ1尾も釣れていないとのことだった。
魚影でいえば、やはり多摩川本流の方が全然いいらしい。
この人は再び保之瀬まで釣り上ると言ってまた引き返していった。
時を前後して、今度は下流から1人釣り上がってきた。
また話をすると水量調査計の所からずっと釣ってきたらしい。
釣果を聞いたらこちらも1尾も釣れてないとのことだった。
このまま保之瀬まで行くというので、先に1人いることを教えてあげる。
すると「そうなんですか...今日はだめかな...」となんとも元気のない答えが返ってきた。
自分だけ釣ってしまい、何だか悪いような気がした。
更にポイントを変えてじっくり釣り、ニジマスを1尾追加した。
朝のうちは気温も低く、水に入っていると足の指がしびれてくる程の寒さだった。
しかし、8時頃から気温がどんどん上昇していくのが分かった。
10時頃にはかなりのポカポカ陽気となった。
辺りは緑が芽吹き始めていて、空の青さと調和して景観が実に美しい。
前回、前々回からは考えられない絶好の釣り日和である。
釣果を求めるなら雨や曇りの方がいいのだが、やはり晴れている方がいいに決まっている。
時間を忘れて釣りに熱中していたら、いつの間にか昼近くなっていた。
私はこのまま保之瀬まで釣っていいものかどうか考えた。
二人の釣り師が先行してからかなり時間が経つというのに1尾しか釣れていないからである。
考えた末に私はもうこの区間は終ったんだと見きりをつけた。
釣った魚を処理してから入渓地点まで戻り、降りてきた所をまた登った。
車に戻ってから昼飯を食べ、保之瀬の先まで移動したのである。
保之瀬の先から入渓すると、降りた所には実にいい淵があった。
早速、竿を出してみるとすぐイワナが釣れた。
更にその直後、餌を流すと淵の流芯で仕掛けが止まった。
魚は餌をくわえ込んだまま流れに乗っているのは明確だった。
余裕で合わせるとなかなかの手応え、釣れたのは良型アマゴだった。
これに気を良くして流芯を何度も流したが、それ以上あたりは出なかった。
そろそろ上流へ行こうかと思った時、左岸側がぶっつけの好ポイントであるのに気が付く。
手前の流れが弱い所から仕掛けを入れるとうまく沈めることができる。
何度かあたりは出たのだが、とっさに合わせてもうまく掛からない。
ここは水圧が強いので、はっきりしたあたり以外はわかりずらい所が難しかった。
しばらくしてやっと掛けると魚は強烈な引きでグイグイ流れに乗っていく。
「今度こそやったか?」と思ったらまたニジマスだった。(^^;
更に粘っているとまたニジマスが釣れる。
結局、この淵に1時間以上を費やしてしまった。
最初のポイントから釣れたので期待しながら釣っていったがどうもあたりが出ない。
途中で足跡も見かけたので、朝一だと思うが人は入っているみたいである。
それにしても相変わらず水量のある流れで徒渉にはかなり気を使う。
この区間も途中に大場所が結構あり、なかなかいい感じの渓相である。
しかし、その後はニジマスが1尾釣れただけであった。
やがて吊り橋が見えきて、左手には甲武キャンプ村がある。
この辺りはこれまでの渓相とは変わり、広い流れで瀬が中心になっている。
これ以上期待できそうもないので、ここで切り上げることにした。
キャンプ村の横まで歩いて行くと5〜6人の釣り人が竿を出していた。
中には釣れてる人もいるみたいである。
これだけ人が集まっているのだから、放流が行われているのかもしれない。
ここで釣ってみようかとも思ったが、人も多いしなんか雰囲気もいまひとつである。
やはり釣りはやめて帰ることにした。
国道へ登るにはキャンプ村の中を歩いて吊り橋を渡る。
そのまま道を登っていくと国道に出ることができる。
たいした距離ではなかったので、すぐ車に戻ることができた。
車に泊まる準備までしてきたが、その必要は無かった。
青空のもとで一日たっぷり釣りをやり、気分は十分満たされていたからである。
あまり歩かなかったというのに何だか疲労感があった。
川への登り降りもあったし、ずっとあたりに神経を集中させていたからだろう。
「疲れた...とりあえず丹波川はもう終わりだ...」そう思った。
帰りは気分を変えて上野原経由で帰った。
雲ひとつ無い晴天だったので、今川峠には天体望遠鏡をセットして夜を待っている人がいた。
勝手知ったる鶴川沿いの県道をハイペースで上野原まで走り抜ける。
帰りの中央道は渋滞表示だったが、思ったよりスムーズに帰ることができた。
疲れていたせいか、その日は12時間以上も寝てしまった。
結局、今回の釣果は13尾(イワナ4尾、アマゴ3尾、ニジマス6尾)であった。
なぜかニジマスが一番良く釣れ、流れの速い瀬の流芯やぶっつけから出ている。
ニジマスは1尾だけ22cmだったが、後は25〜27cmと型がそろった。
27cmのニジマスを刺し身にしてみたら、思ったよりうまかった。
また、他のニジマスは素焼きにして醤油をかけて食べたら、これまた意外とうまかった。
本命の良型は2尾でイワナが25cm、アマゴは26cmである。
これぐらいの型になると、普通の渓流では簡単にお目にかかれない。
しかし、ニジマスを除くと7尾だけなのでやはりきびしい結果なのである。
でも今回は型がそろったのでいい気分であった。
3回連続で通ってみたが、残念ながら大物と出会うことはできなかった。
しかし、丹波川には良型がいることも分かったし、それなりに成果はあったのではないかと思う。
私が釣ったのはほんの一部の区間だけで、まだ釣ってみたい所はたくさん残っている。
でも陽気の方もだいぶ安定してきたし、そろそろ沢に出かけたくなった。
丹波川はしばらく休憩にするが、またそのうち思い出したら行ってみようと思う。
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