丹波川の大物を求めて Part.1

− 丹波川本流 −



 土曜日は雨だったので釣りには行かなかった。
日曜日の予報を見ると関東地方は曇りで気温は低く2月なみとのことだった。
天候に不安もあるし寒いし...ということで、上流部はあきらめて下流の方で釣ることにした。
解禁から3週間もたてば当然ながら魚もスレてくるので釣りずらくなってくる。
前回の早戸川で痛い目にあったのがいい例である。
そろそろ釣り場選びも考えなければならない。
「どこか行くところは?」と雑誌を見ていたら丹波川の特集を見つけた。

 実は去年の6月に丹波川へ行っている。
釣果はアマゴの小型がほとんどで、型はイワナの20cmが1尾だけだった。
数は2桁出ているが、特に魚影が濃いという印象は受けなかった。
しかし、水がきれいで人もわりと少ない所が気に入っていた。
そして何よりあの圧倒的な水量を見ると、大物が釣れそうな気がしてくるのである。
その時はたまたま釣れなかっただけかもしれないので、何度かやってみないと分からない。
そのうちにまた行ってみようと思っていたのを雑誌の記事で思い出したのである。
「いっちょ丹波川の大物を釣ってやるか!」と意気込んでしまった。
狙う場所は去年と同じで奥多摩湖のバックウオーターから保之瀬の区間である。

 今回は中央道を上野原で降り、鶴峠を抜けるルートをとった。
これは八王子からR411を使う通常のルートより早いからという訳ではない。
単に時間を計って比べてみたかっただけである。(^^;
 中央道を走っていると小仏トンネルの手前からいきなり雨が降り出した。
こりゃまいったなと思いつつもそのまま車を走らせる。
上野原で高速を降り、鶴峠を越えて入渓点に着いたのは6時だった。
小雨になったとはいえ、雨はまだ降り続いていた。
しばらく、車の中でようすをみたがやむ気配はなさそうである。
あきらめて入渓することにしたのだが既にその時は7時近くになっていた。

丹波川11  入渓は水量調査計へ降りる階段を使った。
川の様子を見ると、多少、濁りが入っていて水況は良さそうである。
大淵が連続し始める手前までさっさと移動し、すぐに釣る準備を始めた。
河原には新しい足跡があり、やはり先行者はいるようだ。
止まっていた車の台数や足跡の残り具合からすると3〜4人ぐらいだと思われる。
しかし、これだけ規模の大きい川なら、多少の先行者がいてもあまり気にならない。

 とりあえず最初の淵からすぐに竿を出していく。
すると2つ目の淵でしばらく釣っているとククンとあたりがあった。アマゴのあたりである。
あわせなかったので釣れなかったが、魚の存在を確認するには十分だった。
「よしいるな!」どんな時でも最初のあたりはうれしいものだ。

 それからじっくり淵を一つずつ釣っていくが、どうもあたりが出ない。(^^;
それより困ったのは、寒さがきびしかったことである。
朝のうちはまだ良かったが、釣っていると気温がどんどん下がっていくのが分かった。
寒い上に雨に濡れる為、特に手は悲惨な状態であった。
そのうち指が動かなくなってしまい、エサも満足につけられなくなってしまった。

 その後もずっとあたりの出ない状態が続いた。
実績のあるポイントや大場所には特に時間をかけたがだめであった。
 雨は降ったり、やんだりで全く安定しない。
釣れないショックと雨と寒さで精神的にもかなりまいってしまった。
それでも昼が近づくにつれて雨のやんでいる時間が長くなってきたので少し気が楽になった。


 そして大淵の続く最後の狭間の淵で粘っていると糸が根がかったような動き。
とっさにあわせてみると小さいけれどやっとアマゴが釣れて安心する。
実は午前中かけて1尾も釣れなかったので、まさかボウズではと心配していたのである。(^^;

 時間は1時を過ぎていたのでそこで昼飯を食べた。
この時、日中だというのに寒さがピークに達していた。
雨は止んでいる状態だというのに、体の芯まで寒さが入ってくる。
ウインドブレーカーとカッパを2重に着ていてもこれなのだから、かなりの寒さである。
気温は1〜2℃くらいではないだろうか。いや、もっと低い感じもする。
もう少し着る物を持ってくれば良かった...
それにしても相変わらず手はいうことをきかない状態である。
ついには足のつま先までしびれだし、歩いてもよろけてしまって自分の足じゃないみたいだ。
こんな状況で岩場を巻いたりしたら川に落ちかねない...

丹波川12  狭間を抜けて川が開けるとアマゴとイワナがぼちぼち釣れてきた。
アマゴは結構難しく、あたりとともにあわせることになるから神経を集中させて釣る。
しかし、イワナもいるのでこの辺の判断が難しい。
手袋をしていると感覚が鈍るので、寒かったがはずしてしまった。
イワナは流れが緩やかで水深のある所に集まっていた。
魚がようやく釣れて嬉しかったが、釣れると川で手を洗うことになるのでこれが辛かった...

 しばらくして釣っていると途中で玉網を無くしたことに気がついた。
流されてしまったのだろうか? かなり探しまわってみたのだが見つからなかった。
まだ買ったばかりで1尾しか取り込んでないのに...(T_T)

 午後もあまり距離が進まず、そろそろ上がるにはいい時間になっていた。
しかし、保之瀬までだいぶ距離が残っている。
天気も悪いので、暗くなるのもいつもより早いはずである。
こんな水量の多い川で暗くなってしまったら、それこそ大変である。
念には念をいれて、少し早めに納竿することにした。

 川通しで保之瀬の手前まで歩いていくと、途中で国道へ登れそうなところが見つかった。
そこを登ってみたのだが、実はとんでもない所で苦労させられることになる。
多少遠回りでも集落まで歩いた方が楽だったと登りながら思いっきり後悔していた。
国道を歩いていると雨足がどんどん強くなってきたので急いて車に戻った。


 帰りも上野原経由で帰ってみることにした。
出発すると待っていたかのように雨は雪に変わった。
おまけに今川峠は濃霧でセンターラインがろくに見えず、まわりは雪が積もってどんどん白くなっていく。
途中で引き返すかどうかも考えたが、強行突破で峠を越えた。
しかし、小菅に着くと雪は小降りになり霧も晴れてきた。
更に鶴峠を越えると、路面が乾いていて雨が降ったような形跡は無かった。
ひょっとして丹波地区だけ雨が降っていたのか?
そうだとしたらとんだ災難だったという事になる...

 上野原に着いからどさん子でラーメンを食べてやっと一息つく。
後は軽快に帰るはずだったが、中央道が予想以上の渋滞でとても疲れた。

 この日は2月上旬〜中旬の陽気だったそうで、なるほど寒いわけである。
寒さで手は真っ赤、唇はカサカサで数日間、後遺症が残ってしまった。
 今回の釣果は10尾(イワナ5尾、アマゴ5尾)である。
意外なことに半分がイワナだった。
型はイワナの21.5cmが1尾だけである。
去年きた時はもっと釣れているので、寒さで魚の活動が鈍ったということにしておく。
今回もこなかったが、やはり大物はいつ出てもおかしくない雰囲気なのである。
とりあえず普通の状態でもう一度やってみないことには何とも言えない。
それに今回は寒さのせいで釣りも全然楽しめなかった。
再挑戦の決意を固め、私は次の土曜日を待っていた。

来週へ続く...



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