1999.7.4 後楽園ホール

NJKF achievement 5


フェザー級王座決定戦5R

楠本勝也 対 中島稔倫(大和)

5R判定引き分け(49-50、49-49、49-48)
延長ラウンド(10-9、9-10、9-10)中島勝者扱い→新王者に

 楠本の周囲のあちらこちらから「中島が相手か、楽勝だなぁ」なんて声が盛んに聞こえてきた。キックはそんなに甘いものではないということは、本人も重々承知だったろうが、結果的に周囲の予想や期待を裏切る結果となった。

 トリプルメインイベントと銘打たれたこの試合。しかし、ポスターを見れば、鈴木秀明や佐藤孝也との扱いの違いは明らか。その溝を埋めるために最低限必要なのが、この試合の勝利であった。

「一応」メインイベントということで、この試合は後楽園ホール南側最上段からの入場となった。ここからの入場の場合、お互いの選手同士は至近距離で出番を待つことになる。当然、お互いの顔は見える。しかし、中島は楠本の姿を見ると、すかさず死角へ椅子を移動させた。試合前には、佐藤孝也の激励にグローブを合わせて応えていた。気合いが入っている!
 先に主導権を握ったのは楠本。重いローがビシバシ入る。パワーではかなわない中島は手数で対抗。攻められながらも、致命的な展開にはさせない。これがキャリアか。
 必ずどちらかにポイントをつけなくてはいけない「ラウンドマスト方式」であれば、1〜3ラウンドは楠本が取ったであろう。しかし、キックはそうではない。結果的に二人のジャッジは、楠本の攻撃を「ポイント」としなかった。
 そして4R、ヒジで勝負に出てきた中島に楠本もパンチで応じる。打ち合いだ。楠本の土俵…のはずだった。しかし、先に中島のパンチが顎をとらえた。楠本の腰がすこし落ちた。5R中、完全に「効いた」、少なくとも他人にそう見せた攻撃はお互いこれだけ。おそらく3人のジャッジは全員中島につけたラウンドだった。

 そして判定。ちょっと嫌な予感がしていたが、やはりドロー。この試合は王座決定戦ということで、エクストララウンドが行なわれた。
 とにかくどちらかに判定をつけなくてはいけない。ちょっとした印象が勝負を分ける。楠本はガムシャラに攻撃を仕掛けた。中島も同じだ。お互い絡み合って首相撲の展開が多い。そのままゴチャゴチャしたまま試合終了。正直「勝った」と思ったが判定は中島。楠本は礼をして即座にリングを降りた。後は本人のHP向けコメントを紹介するにとどめたい。

「見ての通りです。気持ちで負けた。相手のほうがベルトを獲りたいという気持ちが強かった。ああいう試合をしちゃった以上、何も言えない。もう1回1からやり直す気持ちになったら、ジムに戻ってきたい。いい薬になった」


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