2001.3.31 

第10回グローブ空手



千島克彦、山崎賢児出場

 グローブ空手。

 おい! 空手なのかキックなのかはっきりせい! ってな感じだが、まあ、短期決戦のキックってとこか。道着・スネパット着用、14オンスグローブ、本戦2分、勝負がつかないと2分の延長がある。首相撲は禁止。ローキックは、ダメージのみをポイントとする。高い蹴りは、クリーンヒットすれば、ポイントとなるという。

 そんなグローブ空手に、東京北星ジムから2名が参戦した。オリャー千島こと千島克彦と、山崎一番こと山崎賢児である。

 オリャー千島。日本現代武道会館という謎の団体に所属(構成員2名らしい)。Mー1グランプリ王者(武蔵野美術大学格闘技世界一決定戦?)という華々しい?肩書きを持っているが、オーエンジャイでは今イチパッとしない。おまけにプロテストも不合格。気合いを入れて「オリャー」と吠えるのはいいのだが、何かが決定的に足らない。まあ、グローブ空手がいい経験になればいいだろう。

 山崎一番。31歳。二児のパパ。オーエンジャイで顔を腫らしては、女房に怒られている恐妻家。左フックの切れ味はなかなかのものがあるものの、プロの世界に飛び込む決心は未だにできない。会長に無理矢理「出ろ!」と言われ、なんとなくグローブ空手出場が決定した。

 さて、この日は、季節はずれの寒波襲来。粉雪の舞う屋外の様子を見て、セコンドする気は失せる。でもなあ、行かんわけにはいかんよなぁ。まあ、今日は、そんなに勝ち進むことはねえだろうから、3時くらいには帰れるだろう、と自宅を出た。

 さて、一回戦。

 若手の気迫溢れる、だがむちゃくちゃな試合を目にして、一番「いやあ、こんな若くて元気な子たちとやるのイヤだなぁ」と早くも親父発言。一回戦の相手は、●畑旭(岩瀬ジム)。20歳。試合は、年輪の差が出たか。序盤から、抑えに抑えて、前蹴りとミドルを打つ一番。そのまま本戦は終了。延長戦へ。「そろそろ攻めるか」と一番、出したパンチが「当たっちゃった」で、見事KO。しかし、延長戦を行いヘトヘト。

 さて、続いてオリャー。オリャーには、いろいろアドバイスした。オーエンジャイには何度も出場しているから、まあビビッタりはしないだろうが、やっぱグローブ空手は、キックとは勝手が違う。短期決戦だから、「パンチでガンガン行け!」と言いたいところだが、敏腕セコンドの意見はちょいと違う。打ち合う2分は結構長い。そして、それに耐えられるスタミナを持ってる選手はそんなにいない。しかも、パンチの距離でしか闘えない選手がほとんどだ。ミドルのポイント高いのに。。。

 そんなことから、前半はうまく前蹴り&ミドルで行って、後半勝負!! ってのが得策だろう。オリャー千島には、その辺口酸っぱく言った。そして、オリャー。忠実に実行。相手の清水隼人選手(フリー)の攻撃を冷静に見切り、ミドル、前蹴りを放つ。そのまま試合を支配して終了。なんかオリャー、こんなにうまかったのだろうか? ってな感じの試合。

 一回戦が終わり、楠本勝也・重役出勤。「あれ、千島クン勝ったの? 俺千島クン勝ったの観たことないんだよなぁ。オーエンジャイでいっつも負けてるし」。苦笑いするオリャー。立場が苦しくなったか、ひろみとどこかに逃亡。

 一方の一番。一回戦の延長戦のおかげでヘロヘロ。2回戦はアップゼロで挑むことになる。相手は、吉田裕(大和ジム)。またも20歳。この試合も親父臭い試合で、また延長。勝負所でうまくポイント取って鼻差勝利。

 そしてオリャー2回戦。相手は川味聡(岩瀬ジム)。一回戦で楽の仕方を覚えたか、オリャー。うまく距離をとる。相手がパンチを打ってきても、ナジームハメドばりのノーガードダッキングで、相手に攻撃をさせない。しかし、自分も攻撃しない。。。。そのまま延長。相手が勝手にバテテ自滅。距離を取るのはいいんだけどさ、攻めるとき攻めろよ!! まあ、楠本先輩に初めての勝利をプレゼントしましたね。

 二人とも2回戦勝っちまった。まだ帰れない。

 一番、ついに3回戦。すでにスタミナ欠乏。相手は皆川義彦(松栄会館=PITジム)。プロで2戦くらいやってる選手だ。これまた20歳。1回戦2回戦と20歳を連覇し、「20歳キラー」を襲名した一番。なぜかこの試合はアグレッシブ。ただ延長戦をしたくないだけだったという噂もあるが、なかなか優勢。しかし、無情にも判定は引き分け。またも延長戦へ。だが、もうエネルギーの枯渇した一番。もみ合って倒れても、スタミナ切れですぐ立てず、レフェリーから注意をもらう始末。判定負けで、一番31歳の挑戦は幕を閉じた。

 オリャーの3回戦。相手は、深沢英男(小国ジム)。1回戦、2回戦不戦勝で勝ち上がってきた謎の強豪。風貌は、まるでグライガンワーン。強そうに見えないが、もしかしたら怒濤のミドルを蹴ってくるかもしれん‥‥と思ったら杞憂だった。ダウンを奪って快勝。いやあ、オリャー君、勢いに乗ってきました。

 さあ、来ちゃいました準決勝。相手は、吉田直人(空真塾=名古屋JKF)。プロの試合も何度か見たことがある、良い選手だ。わしがギャンブラーなら、ぜってえ吉田選手にかけたはずだという対戦。しかし、オリャー驚異のオリャー劇場を見せる。これまでの相手と勝手が違い、じゃっかん押され気味のオリャー。いいパンチをもらい足下がふらつく。しかし、そこは巧みなクリンチで時間を稼ぐ。そのイヤラシさ良し。だが、ブレイクしても足がふらつき、ダウン(技あり)をとられてしまう。「もう、ダメだな」と誰もが思ったそのとき、オリャー渾身のバックハンドブローがヒット。吉田ダウン! 立った後も足がふらつき、試合終了。あらら、また勝っちまったよ。いやあ、燃えました。

 そしてそして、決勝。相手は、永井清道(留魂塾=上州松井ジム)。タフなファイターだが、今のオリャーは誰にも止められない。さんざんのバックブローは当たらないが、本戦後半のラッシュが聞いて、2−1のスプリットで見事優勝!!

 いやあ、お見事。日本一っすよ、日本一!! これからは、千島先輩と呼ばせていただきます。押忍!

 さて、さっさと帰るつもりだった一同だが、優勝されちゃあそういうわけにもいかない。綾瀬駅前白木屋にて祝勝会。すっかり疲れ果て、脇役になってしまった山崎一番。ひろみとLOVELOVE、人生の絶頂を味わうオリャーとのコントラストがくっきり。おまけに、「いやあ、かみさんに結果報告しようと思って電話したんすよ。でも、『ああ、そう。今仕事中で忙しいの。ガチャン』だったんすよぉ」。野崎&楠本、「いやあ、やっぱ最後は愛なんすよねえ」と意見の一致。そうかあ、オリャーのパワーは、愛だったんすね。見習わせていただきます。押忍。

 ところで、この日の祝勝会の席上で、オリャーの知り合いが提案したという新リングネーム「ガッツちしまつ」が、満場一致で採択された。みなさん、これからガッツちしまつです。よろしく。日本一のちしまつさん。今度スパーリングしてください。胸を貸してください。必死で倒しに行きたいと思います。押忍!!


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