奥日光道中記第壱話

■Nature Walk

5/12の試合に向けて減量中だったわし。コンビニでなけなしの食糧を物色していると、一冊のムックが飛び込んできた。「Nature Walk」。おすすめの「ウォーキングスポット」を紹介しているムックだった。パラパラめくると、実に美しい川や湖の写真が目に飛び込んできた。わしは「試合が終わったら、絶対に水辺に行って、ぐうたらするぞ!」そう心に誓った。

それから数日後、試合は敗戦に終わった。

家に帰りボーっとしていると、再び「Nature Walk」が目に飛び込んできた。渇きからは既に解放されているわしは、もうそれほど過剰に水辺には惹かれなかった。代わりに山に登りたい!」そう思った。なぜか、そう思った。

いくつかある山の中で選んだのは「日光白根山」というところだ。決め手となったのは「上級者向け」というキャプションだった。「関東以北最高峰」という触れ込みにも惹かれた。そして、そのなかでも一番難しそうなコースにチャレンジしてみることにした。

山をなめてはいけない。それはきちんと頭に入れていたつもりだった。しかし、その後、山の恐ろしさを思い知ることになる。

■餃子
5月24日、会社を早めに脱出して御茶ノ水駅へ向かったそのとき、急に夕立が降ってきた。かなり強い雨だ。天気予報では週末は晴れマークの連続。登山用にレインコートは持っていたが、傘は持っていない。濡れながら近くのコンビニに飛び込み、傘を購入。なんとか駅までたどり着いたが、幸先の悪いスタートだ。

わしが目指すのは日光白根山、そしてその麓の湯元温泉というところだ。時間的に湯元温泉まで行くのは無理なので、日光での宿泊を考えていた。しかし、、、、日光には素泊まりできるようなホテルはない。旅館の類ばかりである。1泊2食つき、露天風呂あり、といった旅館である。だが、いくら本日給料日だからといって、初日から無駄金使うわけにはいかない。別に温泉入りに来たわけではないのだ。

結局、日光の手前、宇都宮で一泊することにした。

宇都宮といえば餃子である。他に何も思い浮かばない。浮かぶはずもない。ということで、晩飯は餃子である。他に選択肢はない。いわゆる有名店というところに、期待と共に侵入した。

だが、、、

はっきり言って、「餃子の王将」のほうがうまかった。もともと宇都宮は餃子の名産地などではない。「何か名物になるものはないか?」と探していたら、たまたま餃子の消費量が日本一だったというだけのことだ。期待した俺のほうが馬鹿だった。

後悔とともに、さっさと眠りについた。明日は早いのだ。

宇都宮駅
何も無かった

■孤独との闘い

朝5時に起床した。こんなに早く目覚めたのはいつ以来だろう。だが、わしの計画していた登山コースは、予定だと8時間ほどかかる。5時までに旅館に入らなくてはいけないことを考えると、9時前には登り始めなくてはいけない。一刻の猶予もないのだ。

午前6時1分初、日光行きの始発電車に乗り込んだ。そして、7時前、日光駅へ到着した。ここからバスで1時間20分かけて、湯元温泉まで向かう。実は、このバスに乗れるかどうか心配していた。シーズンには無茶苦茶混むらしいのだ。このバスに乗れないと、1時間近くバスは来ない。そうしたら計画丸潰れだ。タクシーという選択肢もあったが、ここで1万円弱使うわけにはいかない。

だから、わしは走った。電車を降りて、改札を出て、バス停まで走った。

だが、、、、、そこには人っ子一人いなかった。見回しても駅員くらいしか人類はいない。開いている店もない。「シーズンは混むんじゃなかったのか!」、怒りと共に、不安が胸をよぎる。

定刻になり、湯元温泉行きのバスが来た。発車した。相変わらず、わしは一人きりだった。

日光駅
人っ子一人いない駅前


バスの中独りきり

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