11月キック秋の陣

11月はNJKFを中心に、興味深い興行が続く。
見どころなどを勝手にまとめてみた。


まず、2日はディファ有明にてウィラサクレックジム主催興行

http://www.boutreview.com/data/news/031102njkf.html

何と言っても注目は、ルンピニーJrフライ・フライ級2階級王者タォパッスックに、前フライ級王者・川津真一が挑む一戦。これまで国内外において、安定度抜群の実績を残してきた川津。「軽ければ軽いほど壁は高い」と言われる打倒ムエタイへの道だが、川津はランカーではないレベルのタイ人なら問題なく倒せる次元にまであがってきた。雑誌上で「モチベーション不足」を告白していたが、その影響かNKBフライ級王座は返上。防衛戦をこなすよりも、この世界の頂点へ挑むことを選んだ。おそらく、この試合が一般マスコミで大きく報じられることはない。専門誌ですら怪しい。しかし、フライ級で、ムエタイのチャンピオンと試合が組まれること自体が凄いことなのだ。しかも、この興行の主催者は、ウィラサクレック氏。タイ人会長がマッチメークした試合だ。「試合になる」と判断してのことだろう。身の程知らずの無謀な挑戦とは訳が違うのだ。快挙に期待したい。

もう一方のメインは、NKBバンタム級王者・藤原国崇が、ワンロップにリベンジを挑む。センス溢れる攻撃で期待を集める藤原だが、対ムエタイは未だ勝ち星を上げていない。新空手・グローブ空手出身者が必ずぶち当たるムエタイの壁に、もがき苦しんでいる最中だ。ワンロップは決して一流ムエタイ戦士ではない。ここを超えなくては、その先の道は開けない。拳之会小川会長も、この世界にいる以上、「ムエタイから逃げるわけにはいかない」と考えているはず。内容よりも結果に注目したい。


9日は後楽園ホールでNJKF興行

http://www.boutreview.com/data/news/031109njkf.html

この日も打倒ムエタイ。川津と並ぶNJKFの至宝・桜井洋平が、現役ラジャダムナン・ライト級王者マンコンに挑む一戦だ。フェザー級2位アナンデートをTKOに下すという快挙を成し遂げた桜井が、NKBフェザー級タイトルを返上。一階級上の現役王者に挑むという前代未聞の展開。タイ人のほうが数階級下という試合はよくあるが、逆はほとんど聞かない。「小野瀬の引退試合の相手」として知られるマンコンだが、たしかそのときは70kg契約。70kgでも小野瀬邦英を退けたライト級(61.23kg)のタイ人に、つい最近までフェザー級(57.25kg)で闘っていた桜井が挑むのだ。勝ったら「偉いこっちゃ!」な一戦だということがわかるだろう。川津同様、桜井も「モチベーション」に問題があることを雑誌上で告白している。そして同じように、NKBベルトを返上。今キック界でもっとも熱いライト級に階級を上げ、ちまたで噂される「K-1ライト級」実現を待つのだろうか? 確約の無いものに希望を託さなくてはいけない選手は不憫である。NJKFとして選手を囲っている以上、桜井洋平のような選手をメジャーにすることは、団体としての義務だ。全日本ライト級のスター軍団や、新日本の石井選手などと比較しても、桜井はまったく見劣りしないだけの選手である。それを証明する一夜になることを期待したい。


16日小国ジム主催興行

http://www.boutreview.com/data/news/031116njkf.html

NJKF3連ちゃんのお祭り月間だ! などとはしゃいでいる場合ではない。同じ団体で興行戦争やってどうするんだ? この3興行、全部観にいく人がいたら、それは関係者か物好きだけだろう。

そんな事態に危機感を持っているのが、この日のメインイベンター渡辺秀策改め秀策。「宣伝してくれ!」と嘆願メールを送りつけてくるなど、メインイベンターの自覚十分。自身のHPもリニューアルするなど、この一戦に燃えている。

http://www.geocities.jp/shusa9393

この秀策。ハードパンチの持ち主だが、ホームページもなかなかのハードコア。「現役選手No.1サイトを狙う!」と息巻いている。キックボクサーにセルフプロデュース能力が必要なことを、秀策は理解している。すでにコンテンツは「ネットキック界新人王」の資格は十分に備えている。後は、どう実力を証明するかだ。その試金石となるのが、この一戦。注目だ。


18日K-1 MAX

http://www.boutreview.com/data/news/031118k1max.html

キック界注目は、松本哉朗の初参戦。俗に「K-1ミドル級」などと言われるMAXだが、体重設定は70kg。本来のミドル級(72.57kg)より軽く、ウエルター級(66.68kg)よりも重い体重設定だ。現在MAXで中心となって活躍しているのはウエルター級で活躍した選手たち。身体を作り直して、70kgに挑んでいるのだ。そんななか、松本は本来のミドル級から落としてMAXに殴り込む。もし、うまく体重調整ができれば、これは大きなアドバンテージ。しかも松本は、いまだ無敗という日本キック界ミドル級のエース。期待するなというほうが無理だろう。

おそらく今回の参加メンバーで、日本のキックボクシング団体に所属している選手は、松本ただ一人。ほかはみな「元キックボクサー」だ。しかも松本は、参戦にあたって「K-1が目標ではない」と発言。キックファンのハートをがっちりつかんだ。期待しないわけにはいかない。

そして同じく新日本キックからロッパゲオ・チュワタナが出場……って誰???と思っていたら、どうやら元ラジャダムナンJrウエルター級王者ノッパデーソン・チュワタナのことのようだ。ノッパデーソンといえば、新妻聡戦で、日本のキックファンの度肝を抜いた選手。

http://www.boutreview.com/report/kick/00/0729new/07.html

実績は申し分ない選手だが、Jrウエルターの選手ということで体格的ハンデは否めない。ゴング格闘技最新号によると、ルンピニーではライト級3位にランクされている。なおさら、きついだろう。ただサゲッタオーの惨敗は当然知っているだろうから、無策では来ないだろう。アホなテレビ解説陣に「ムエタイは弱くなった」と訳わからんことを言わせないためにも、がんばって欲しい。で、今度はTV局はどんなキャッチフレーズをつけるのだろう? また「ムエタイ界の英雄」「ムエタイの生ける伝説」「ムエタイの至宝」とかのたまうのだろうか? そこらあたりにも注目!(笑)


23日全日本キック

http://www.aj-kick.com/index2.html

小林聡さん電撃復帰で注目を集めそうだが、それ以上に今後に影響してきそうなのが「全日本タイトルのオープン化」。全日本キックはこのほど規約を改正。連盟に所属していない選手でも、全日本キックのチャンピオンになれるようになった。もともと交流戦やフリーの参戦に積極的だった全日本キック。「フリーの参戦は認めない」方針のNKBの姿勢とは一線を画す。

たとえば、NJKFが立嶋篤史選手を受け入れるときも、「ASSHI-PROJECT」というジムがNJKFに加盟したという形をとった。HIROSHI選手も前所属の仙台青葉ジムがNJKFを脱退したが、フリーとしてNJKFに残ったのではなく、「サシプラパージャパン」というジムが加盟したという形だ。「各ジムが連盟費を払って連盟を運営しているのに、フリー参戦を認めたら筋が合わない。収拾がつかない」というNKBの方針が、間違っているとは思わない。しかし一方で、「その時点でお客さんが観たいカードを提供する」ということを最優先事項とする全日本キックの姿勢は、資本主義社会的にまったくもって正しい。そして現状では、ファンの支持を集めているのは全日本だ。

10年後20年後を考えると、NKB的なものと全日本的なものと、どちらが正解かはわからない。ただ、キック界に先のことを考えている余裕などないのかもしれない。


あとは……

24日新日本キック [タイ・ラジャダムナン] 日本王者5人出陣
24日 MAキック [ディファ有明] 全階級タイトルマッチ

とあるようですが、情報ないんで書けません。すんません。ただ新日本キック協会のラジャダムナン興行はうらやましい。選手にはとても大きな目標になるだろう。NJKFにこういうシステムがあったら、わしももっとベルトにこだわったかもしれない。

あ、

29日は学生キックがありました。チャンピオン戦というやつで、全階級新チャンピオンを決めるようです。チケットも安いと思うので、ぜひ。

それにしても続きますね〜。