結婚式スナップ撮影必勝法


 写真を撮るのが楽しくなって来た頃によくあるのが,結婚式のスナップ撮影を頼まれること。友人や親類から「スナップ撮ってよ」と言われることがあるはず。殺し文句は「写真上手いんだってね」である。自尊心をくすぐられて「まっかせなさーい」と安請け合いして後で焦ったことはないですか?(え,私σ(^^;)だけ?)
 結婚式は普通は一生に一度。シャッターチャンスは待った無しの一発勝負。しくじると一生恨まれること請け合いですから気を入れて臨みましょう。


ここがポイント10ヶ条

1)やっぱり一眼レフ

 一体型コンパクトカメラでも最近ではかなりいいものが出ていますが,やはり写真の仕上がりを考えると一眼レフを使うべきです(撮影を頼まれるような方ならば当然一眼レフのカメラを持っておられると思いますが)。この時,使うレンズはできるだけ明るい(開放絞りの小さい)レンズを使用すると良いです(ファインダーが明るくて見やすい。レンズ性能が良いのでよく写る)。また,28ミリから80ミリ位の広角〜中望遠系ズームレンズがお勧めです。28ミリから200ミリといった高倍率ズームレンズも便利ですが,描写力が落ちて来る傾向にあるので私は勧めません。

2)フィルムはネガに限る

 そんな人はまずいないと思いますが,一発勝負の結婚式スナップにリバーサルを使うのは止めましょう。確かに発色は綺麗ですが,露出がシビアなので失敗率がぐんと上がります。また,プリント代もネガからプリントするより遥かに高いので金の無駄です。
 ネガフィルムは露光設定がかなりずれてもなんとか救済できる(±2絞り分のラチチュードがある)ので,こういう失敗できない写真には最適です。次に,これがポイントですが,ISO感度が100もしくは200のフィルムを使うことをお勧めします。もっぱらお店ではISO感度400のフィルムが多く売られていますが,100の方が粒子が細かいので引き伸ばしてもザラザラした感じになりにくくて良いです。
 ここからは個人的な趣味が入りますが,私の常用フィルムは富士フイルムの「リアラACE」です。このフィルムは発色が良く,軟調なのでハイライトが飛びにくくストロボ撮影でも綺麗に写ります。特に白無垢やウエディングドレスの生地には蛍光剤が入っているのでストロボを焚くと紫外線が反射して来ます。そんな場合でもリアラで撮ると白一色のドレスの刺繍や飾り模様がしっかり描写されてくるので喜ばれます。リアラは普通のフィルムよりも高額ですが,それに見合った仕上がりが期待できます(私は試したことはありませんが,コダックの「ベリカラー」,コニカの「ママ撮って」も軟調特性を高めてあるフィルムと聞いています)。

(注:現行のフジカラー製品ではプロ用のNew PRO400がかなり良さそうです。一般用のSUPERIA Venus 400も描写が硬いですが粒状性は相当良いので,選択肢に入れても良いかも知れません。03/07/18)

3)準備は抜かり無く

 器材は前日に一度組立ててみて確認するとよい。当日その場で器材が足りないなんて事になると大変。特にブラケット型外付けストロボの場合,ブラケットやシンクロケーブルなどが揃っていることを確認すること(以前,ブラケットを忘れたことがあった。その時は2台で撮っていたので片方のストロボ(クリップオン型)を使い回ししてしのいだが,あれは焦った)。
 重要なことですが最近のカメラは電池が切れるとうんともすんとも言わなくなるので,予備電池は必ず持って行くこと。これはかなり重要なポイントです。
 また,よほどの事がない限りカメラは1台で十分ですが,もしもの時の保険と云うことを考えるとカメラは2台あった方がいいです。最悪,コンパクトカメラでもいいのでバックアップ用にカメラを用意すると安心です(私は以前これで助かったことが多々あります)。確実なのは常に2台持ち歩いて同じ場面を2台で撮っておくこと。こうすればどちらかのカメラがトラブっても大事な場面がすっぽ抜けることはありません(ただし,器材が増えて重労働になりますが)。
 私も初期の頃はマニュアルのキヤノンA−1を2台,広角ズームと望遠大口径ズームレンズ,ブラケット型とクリップオン型の大型ストロボ,外部電源2つという,何者だか分からない格好でウロチョロしておりました。しかしこんな重装備では疲れてかなわないので,最近ではオートフォーカスのEOSに切り換えて楽してます(その代わり保険が無いので,フィルム装填とか電池残量を十分気を付ける必要がありますが)。

4)フィルムは惜しまない

 新郎側と新婦側の出席者をすべて押さえ,出し物を全部押さえようとすると36枚撮りフィルムで最低5〜6本は使うことになるはず。私は必ず10本は持って行くことにしています。結婚式と披露宴を続けて撮れば8本は必要になりますし,2次会まで頑張るのならばなおのこと必要です。
 結婚式や披露宴は一度動き出したら待ってくれないので,いい場面はすかさず撮りましょう。ここでのポイントは同じ場面を2,3コマは撮っておくこと。新郎と新婦のどちらかが目を瞑っていたり,表情が崩れていたりすると折角の写真もちょっと興醒め。しっかり「保険」を掛けましょう。
 また,怖いのは一番いい場面でのフィルム切れです。事前に披露宴の段取りを聞いておいて,早め早めのフィルムチャージが肝心。5枚ぐらいの無駄は惜しまないで交換する事。

5)段取りは前もって把握する

 撮影時で慌てないコツは進行の段取りを把握すること。まれに変則的な展開をする披露宴もありますので,司会者用の進行表の写しを貰っているとかなり助かります。私が撮影した経験からみた標準的な段取りはこんな感じ

6)カメラマンは前へ行け

 プロカメラマンはカメラを持つと怖いものなしになるという。一番いい写真は一番いいアングルを確保しないと撮れません。「カメラを持った方は前へどうぞ」とアナウンスが入る前に「ずうずうしく」最前列に行きましょう。写真を撮る人がうろちょろしたからと言ってお客はあまり文句を言いません。ただしマナーは守りましょう。一言「失礼します」は必須。そして撮ったらすぐに移動しましょう。他にも写真を撮りたい人は居ますし,ビデオ撮影している人も居ますからね。

7)ストロボは大きい方がいい

 披露宴の会場では照明を落として演出効果を狙うものが多いので,ストロボは大光量の(ガイドナンバー30以上)ものが望ましいですが,反面で連写性が落ちて来るので外部電源(単2乾電池6本とか積層電池とか)があると助かります(重くて疲れるのも難点ですが,2秒間隔くらいでフル発光できるのは有利です)。
 少なくともアルカリ乾電池で新品のものを使いましょう。途中で交換できればなおベターです。

8)主要人物の動向に注意

 宴もたけなわとなれば,新郎の父母や客がお酌をしに席を回り始めます。主賓と父母とか親類同士の集まり具合などに気を付けておいて,すかさずスナップしておきましょう。

9)プリント仕上りに妥協するな

 巷では「プリント代0円」なんていう格安仕上げの店がありますが,結婚式の写真はちゃんとしたラボ(フィルムと同じ系列の純正ラボなど)で仕上げましょう。先に挙げたフジのリアラだと,純正プリントに「リアラ仕上げ」という品質保証が付きますので確実な仕上りが期待できます。
 さてここで気になるのが発色の具合です。照明の色をかぶって妙に赤い,妙に青い,露出が狂ってやけに暗い,明る過ぎて飛んでる,とかいろいろな不具合が出て来たりします。「こんな色じゃなかった」という場合,その写真を添えてお店に持って行って好みの色調に焼き直させましょう。よほどひどくない限り補正は可能なはずです。不良品の修正ですから再プリントは無料です(私はフィルム6本分を丸ごと再プリントさせたことがあります。ただし「プリント0円」な所では無理かも知れない)。

10)できればアルバムにしてあげよう

 普通のL版でも喜ばれますが,出来の良い写真は2L位に引き伸ばして,さらにアルバムなんかにしてあげるとさらに喜ばれます。婚礼用のアルバムに張って贈るのがベストですね。見栄えからすると八切サイズを入れるとインパクトが違います(いい写真を選ばないとアラが見えるけど)。この辺は懐具合と相談して下さい。


実践編

通常の結婚式&披露宴の段取りはこんな感じ

結婚式(神前)

 カメラマンは式場の前,祭壇に向かって左隅(巫女側)か右隅(神主側)に立ちます。できれば巫女側が撮りやすいのですが,そこには業者のビデオカメラが入っていることが多いので,その時は神主側に立ちます。式が始まってからでは動けないので,親族が入場する前に式場に入って待ちます。注意点ですが,神主が祝詞を奏上している時には写真を撮ってはいけません。祭壇を撮るのも嫌がられます。神主より前に出て行くのも駄目です。神主の機嫌を損ねないように大人しくしてましょう(時には追い出されることもあるそうです)。  撮影ポイント(ストロボを焚いても怒られない時)は三三九度,指輪交換,誓詞奏上ぐらいです。ビデオ業者がライトを付けている時は撮ってもいい時なのでそれを目安にするといいでしょう。大抵の式場では式の直前に新郎新婦に練習をさせるので,練習風景を撮っておくのも一風変わったスナップが出来てよいです(新郎新婦がVサインを出してるとか)。
 1回しか撮ったことはありませんが,チャペル形式の場合は比較的自由で,神父さんがお祈りしている時に大人しくしていればその他はウロチョロしても文句を言われませんでした(本物の教会だとどうだか分かりませんが)。


披露宴

 開宴前には新郎新婦,媒酌人,両家の父母が並んで「お出迎え」があります。新婦の白無垢姿はここでしか見られませんので,客が来る前に全員が並んだ写真,新郎新婦と媒酌人,新郎新婦のアップといったショットを撮っておきましょう。
 新婦色打掛での入場の後,媒酌人挨拶があります。媒酌人を撮ると同時に,新郎新婦や両家の父母が立っていますので,それぞれ撮影しておきます。この後は主賓挨拶が続きますが,この時は出席者が席を動きませんので,全テーブルを回ると出席者全員を写真に収めることができます。なお,主賓,恩師,友人といった祝辞は全員写しておきます。(実はこれが式辞が退屈な時のいい暇潰しになるんですよ。)
 乾杯があった後,新婦がお色直しで退席します。できれば外まで追って行って色打掛の姿を撮っておくと良いでしょう。お色直しの回数が多い場合,次は振袖ウエディングドレスカクテルドレスといった感じで変わります。お色直しで退場した後,あるいは再入場の前に宴席の外でスナップを撮っておくとリラックスした表情が押さえられます。
 ウエディングドレスでの入場の後はケーキ入刀の場合が多いのでいち早くケーキの前に陣取りましょう(親類の子供が花束贈呈をする場合は子供もしっかり取っておくと喜ばれる)。カクテルドレスの時はキャンドルサービスになるでしょうから事前のフィルムチャージを忘れずに(各テーブルを回って行くのでフィルム残数をよく計算すること)。
 両親への花束贈呈から新郎の挨拶までを撮ったら外へ。今度はお見送りの前に開宴前と同様に一連のショットを押さえておきます。そして全員を送り出した後は,お約束(新郎側友人に若手が5〜8人ぐらい居れば必ず)で新郎胴上げがあるはずなので待ってましょう(3回ぐらい上げますが2回目ぐらいが一番高くなって絵になるかな)。


余談

 さて,これだけの撮影してると座って料理を食べてる暇が無いと思うでしょう。でも上手くやれば結構ちゃんと飲み食いできるものです。祝辞や余興は始めだけ撮れば十分なので,その間はお食事タイムになる訳です。新郎新婦の友人の出し物だと意表を突いた展開(シャッターチャーンス!)があったりするのでちょっと注意が必要ですが。



あっ,しまった編 (*_*;;

(こうならないために)


フィルムが巻き上げられてなかった!

 バリバリ撮りまくって,ふとフィルムカウンターを見ると38枚目。げ!まだ巻上がるっ!!ザワザワザワ(血の気が引く音)。
 マニュアル式のカメラにはこの事故が多いのですが,フィルムのリーダーが巻き上げシャフトに上手く噛んでなかったためにフィルムが空回りしていたのでした。これはアウトです。どうにもならない。幸い,私はこの時はカメラを2台(広角系と望遠系のレンズを付けていた)持って撮影しており,両方のカメラで同じ場面を撮っていたので写真がすっぽり無くなることだけは避けられました。しかし,あの瞬間は冷や汗が出ました。


あ,ブラケットが無い!

 ブラケット型の外付けストロボの場合,ブラケットという部品でカメラにストロボを装着します。このブラケットがそれぞれのメーカーで専用なので取り違えて持って来たり,忘れたりすると大変なことになります(ストロボ撮影ができないと,まずスナップは不可能)。この時も私は2セットの撮影道具を持ち歩いていたので,クリップオン型(カメラのアクセサリーシューという部分に装着する)のストロボを付け替えながら撮影して事無きを得たことがあります。


ストロボ間違った!

 クリップオン型ストロボで気を付けるべき点は,カメラによって取り付け部(アクセサリーシュー)の電気接点の形状が微妙に異なることです。最近のカメラではTTL測光という方式でストロボの発光をカメラ側から制御する方式が主流です。しかし,ちょっと旧いカメラだと,X接点というシャッターを切った信号だけが届く電極しかないものもあります。で,各メーカーのカメラに対応したコネクタを交換して使えるタイプのストロボ(サンパックDXシリーズ)があるんですが,最近このコネクタを間違って付けて行ったことがあります。実際にはストロボ側にオート露光機能が付いていたので,TTL露光型のカメラをマニュアルモードにして,ストロボが指定する絞り値をカメラに設定して撮影して,何とか無事に収めましたが(現像が上がって来るまでヒヤヒヤものでした)。
 最新型のストロボを旧式のカメラにつけても,ストロボの光量補正の仕方さえ分かれば全く問題なく撮影できます。ガイドナンバー=絞り×距離という公式があるので,大抵の撮影はこれでまかなえます。ストロボにオート機能があればもっと簡単で,カメラの設定をストロボシンクロのシャッタースピードにし,ストロボ側の指定する絞り値にレンズを絞り込むだけでバッチリです。


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