椎茸の発生方法
 

1.椎茸を発生させる
 キノコが発生するには温度条件と湿度条件が満たされる必要がある。10〜20度(芽だし温度は品種により異なりもう少し高い物もある)、湿度が高い春や秋に多くのキノコが発生することから理解される。
 国産の生椎茸が年間を通して売られている。年間を通して生椎茸を生産するため、比較的低温で生育・発生する品種、比較的高温で発生する品種が作られている。これだけではカバーできず、他の農作物と同様に屋内やビニールハウスで温度管理をして栽培している。
 ここでは、趣味で小規模の栽培をする方法に限定して説明することにする。

 私が庭で栽培している椎茸は中高温性の品種(秋山種菌 A−580 春と秋に発生し易い)である。芽出し温度は10〜22℃、肥大成長温度10〜30℃である。
 芽出し、すなわち椎茸が発生し始める温度が10〜22℃である。十分に菌糸が回った榾木が適度の水分を含み、芽出し温度の環境に曝されると椎茸が発生し始める。

 昨年の冬に植菌した榾木から、8月28日に走り茸が1本見つかった。9月4日に他の榾木を点検したところ2本の榾木に樹皮が割れ発生する兆候が見られた。早速半日ほど榾木を水に浸してポリエチレンの袋を掛け、風に当たり乾燥しないようにした。
  最低気温が芽出し温度まで下がってきたのである。更に温度が下がる9月中旬から、榾木の浸水作業をしようと考えている。


 

2.自然発生
 芽出し温度の気温が続くようになったら乾燥が続いたらジョウロなどで1日に1回ほど水をかけ、日や風の当たらない場所に立て掛けておくとぽつぽつと発生し始める。

 室内や風通しの良い場所に置く場合は、やや大きめのポリエチレンの袋(包装に使われている袋を利用し、長さは榾木の長さ程度、幅は椎茸が伸びる空間を確保出来る大きさ)で覆って置けば良い椎茸が取れる。密閉すると酸素不足や過湿になるので注意すること。


3.浸水
 椎茸を採取したい日に一斉に収穫出来ることと、確実に発生させるために行う。浸水作業は水分の補給と同時に急激な吸水、低温に逢わせるなどの刺激によりキノコの発生を促す目的で行う。水温は出来るだけ低くかつ弱酸性が(ph4程度)が良い。
 私は水温の上昇を防ぐため日陰の平らな場所にシートでプールを作り榾木を浸している。2昼夜(48時間)ほどで十分吸水するので引き上げる。
 風呂に漬けるという人が居るが、水分を含ませるには良いが低温刺激が得られない。十分分温度が下がってから浸水させ、その後に外気に触れさせ発芽温度に曝す必要があると思う。
 榾木が1、2本の場合はプラスチック製の深いごみ箱又は、ポリエチレンの袋などを利用するのが簡便である。


4.芽出しから採取
 私は浸水の終わったホダ木を日陰でレンガや軽石ブロックを並べた台にならべ(椎茸の伸びる空間を確保する必要がある)、透明なビニールシートで覆い80%前後の湿度を保つ。この時の湿度が椎茸の姿に大きく影響する、過湿だと濃い褐色でベタッとした感じの椎茸になり、適度の湿度であるとリン皮が立ち黄金色の良質の椎茸となる。乾燥しすぎると笠にひび割れが出来、成長が止まってしまうことになる。覆ったシートの隙で調整する。
 3〜5日ほどで椎茸が樹皮を破って一斉に発生してくる。

 芽出ししてからの成長の早さは気温に大きく影響され25度を越える環境では水から引き上げて5日間ほどで収穫出来るが、20℃を下回っていると倍以上の時間がかかる。



我が家の庭で発生した椎茸

5.採取後の榾木管理
 プロ用の説明書には次のように書かれている。採取の終わった榾木は湿り気が多いので樹皮を傷つけないように大切に取り扱う。日陰に40日ほど置き休ませた後にもう一度浸水、採取が出来る。

 趣味の栽培では榾木の管理が十分でなく、私の経験では2回目は余り出ない。春、秋の各一回発生させる事で良しとしたい。1回の発生だけにすると菌糸の力を温存でき、次のシーズンの発生が多いように思う。


6.椎茸の保存方法
(1)干し椎茸
 複数の榾木を持っていると一斉に椎茸が発生して生食だけでは食べきれない。親しい友人や近所に分けても余ってしまう。この様な時には干し椎茸にして保存しておくのが良い。
足を紐に縛り数珠繋ぎにして日の当たるところに吊しておけば、3〜4日でからからに乾燥する。途中は夜露に当てないように夕方室内に取り込み、翌朝朝、屋外に出す。
 干し上がると重さは十分の一ほどになってしまう。からからになったら密閉出来る容器に乾燥剤と入れて保存したい。

(2)冷凍保存
 生のまま冷凍しても保存できる。1日ほど日に当て、生乾きの状態にすると嵩も減り冷凍庫の場所も少なくて済む。

 太陽に当てることにより風味も味も一段と良くなり、栄養価も高まるとのことである。
 これで長い期間自宅で取れた椎茸を味わうことが出来る。



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