基本型竹とんぼの仕上げと組立
最終更新日 2003年 8月

  『竹とんぼの素材作り』に続いて、“基本型ひねり竹とんぼ”の仕上げまでを説明します。

 

軸の仕上げ加工

☆ 軸の太さは3〜3.5o
 ・素材が太かったならば削り、3〜3.5oの四角い棒を作る

☆ 四角のまま使う
 ・普通の竹とんぼの軸は丸いが、ひねり竹とんぼは四角の軸を使う
   四角に加工することで、滑りを防ぎ手の力が回転力として効率良く伝わる。
 ・竹は皮の部分がしなやかで強度があるので、皮を残して削る
 ・軸材料の三つの面がざらざらしていたら、ざらざらを取るように少し削る

☆ 翼の穴に合わせて削る
 ・軸の加工でここが一番大切
   羽根にキッチリ入らないと、接着しても飛ばす時に簡単にはがれてしまう。
 ・目の錯覚で穴は小さく、軸は太く見える
   この錯覚で多くの人が軸を細く削りすぎてしまいます。
   少し削ったら羽根の穴に当てて見ましょう。
 ・羽根の穴に入れる部分は丸く削る
 ・傾斜をつけて少しずつ細くする
   軸の素材の一端から4〜5pの部分から傾斜をつけて少しずつ細くします。
   鉛筆の様に急な角度に削ってはいけません
 ・少し力を入れて羽根に押し込む程度の太さにする

☆ これで軸は完成
 ・軸を羽根から外して羽根の加工に移る


図1・軸の仕上がり
左は円形の断面               右側は四角い断面

 

羽根の形を作る

☆ 羽根の形の基本
 ・軸の穴を中心にして対称形にする(点対称)
   対称でないと飛びません。
 ・中心に近いところの幅を狭くする
   良く飛ぶために無駄なところを削って軽くする。
   幅を狭くして「ひねり加工」を容易にします。
   シャープなシルエットとなります。

☆ デザイン例
 ・強度を保つために最も狭い所で6o以下にしない
 ・デザイン例


図2・羽根のデザイン例

 ・私の作品例も参考に

☆ デザインをもとに型紙を作る
 ・直接羽根材に書くと書き直しが出来ない
 ・型紙を羽根材に当てて削り線を写す
 ・細いフェルトペンで削り線を書くと見やすい

☆ 中央部を削り取る
 ・竹材は繊維の方向に割れやすいので注意する
   削る方向が悪いと残す部分も割れてしまう
   この工程で失敗することが多く、今までの工程が無駄になってしまう。
 ・削り方のこつ
  * 最も幅が狭い部分をノコギリかナイフで削り線まで切り込む
  * 切り込みに向かって左右から少しずつ削る

☆ 羽根の四隅を丸く削る
 ・サンドペーパー(#100)で竹の繊維に沿って削れば美しく仕上がる

 ・羽根の縁の角を取る
   素材のエッジは鋭く肌にこすれると切れて怪我をします。
 ・ナイフかサンドペーパーで削り丸みを付ける
 ・飛行性能も良くなる

 

バランスを調整する

☆ 羽根の左右のバランスを調整します
 ・羽根が軸を中心としてスムーズに回転しなければ飛びません。

☆ バランスをチェックする方法
 ・千枚通し、針金などを軸を通す穴に差込み支えます
 ・羽根が水平になればバランスが取れています
 ・水平でない場合、下になった方が重い


バランスが取れた状態

☆ バランスをとる方法
 ・軸穴が真ん中に開いているかを確認…長い方を削って穴が真ん中になるようにします
 ・軸穴が真ん中に開いているならば
  ・左右の幅は同じか
  ・エッジの角の丸みは4箇所とも同じか
  ・左右の厚みは同じか
   バランスの取れていない原因を削って修正します。

 

ひねりを加える

☆ 羽根の加工の最も大切な工程
 ・羽根の加工の最も大切な工程
   説明を良く読んでから、ひねりに失敗したり火傷をしないように注意しよう。

☆ 竹は熱すると柔らかくなる
 ・硬い竹が熱するとグニャリ
  摂氏150度ほどに熱すると硬い竹が柔らかくなる。
  冷めると元の様に硬くなります。

☆ 右利きと左利き用のひねり
 ・右利き用の竹とんぼと左利き用の竹とんぼはひねりの方向が異なる
   利き手の力で飛ばすので右利きは左回転、左利きは右回転する。
   反対にすると揚力でなく下向きの力が発生してしまいます。
 ・右利き用は
   両手で羽根を持って『右手の指』を上、手首を下げる方向にひねる
 ・左利き用は
   両手で羽根を持って『左手の指』を上、手首を下げる方向にひねる


右利き用の羽根のひねり方

横から見たひねりの状態

☆ ひねる角度は25度ほど
 ・水平に対して各々20〜25度ほどひねる
   両方合わせて40〜50度。
   25度といえば僅かな角度と感じられると思うが、
   かなり大きな角度、
   大抵の人はこの半分以下しかひねらない。
   ひねった後、分度器で確認して下さい。
 ・ひねりが小さいと揚力が小さく飛ばない
 ・大きすぎると失速状態になり姿勢が崩れ、これも飛ばない
   30度が限度か?

 

☆ 小型ローソクで熱してひねる
 ・煤けたり焦げないようにアルミフォイルを巻く
   料理に使うアルミフォイルを3p×4pの短冊に切り、羽根の中心部に2廻り巻き付ける。
 ・小型のローソクに点火し、作業台に立てる
   ローソクは誕生ケーキに使う、小さなものがよい。
 ・皮のある側を上に左右の手で羽根の両端を水平に持つ
 ・羽根の中央部を火を近づけ、炎の先端から3〜4pほど離して5〜6秒加熱する
   炎の先端から少し離れたところが温度が高い
   炎が羽根に直接当たると煤が付きます。
   少し離すことにより、熱が一部に集中せず熱の均一化が図れます。
 ・火から遠ざけ、直ぐにひねる
   加熱で柔らかくなっているので、わずかな力で竹は曲がる
   ひねりだけで他の方向に力を加えて曲げないようにします、
   左右に軽く引っ張りながらひねると上手く出来ます。
 ・ひねったまま10秒ほど待つ
   竹は冷え硬くなり、ひねりが固定します。

☆ ひねりの出来具合を確認する
 ・アルミフォイルを外して確認する。
   ひねりの方向、ひねりの角度は良いか、割れていないか、曲がりがないかなど。

一 口 アドバイス “竹の加熱”

☆ 小さい火ですが紙などの可燃物を遠ざけましょう

☆ ローソクの火は5〜10人に1つ
 火傷などの危険がありますので、目が届く場所に置きます。

☆ アルコールランプは火力が強すぎ
 学校では理科教材としてアルコールランプが備わっているが、火力が強すぎ適当でない。

☆ マッチを使ってローソクに点火しよう
 着火器やライターでの点火が手軽で便利であるが、家庭でのマッチを使うことが少なくなったので、マッチを用意して点火してみよう。
 これで新しい体験が一つ増える。

☆ ローソクを立てる
 点火したローソクを水平に持つと蝋が溶けてしたたり落ちます。溶けた蝋をローソクを立てる場所に落とし、その上に素早くローソクを置くと溶けた蝋が固まってローソクが立ちます。
 こんな体験をしてない子供にとってまるで“手品”、ビックリ 「ハイ、拍手と促す」 と拍手が起こります。
これも体験、種々な盛り上げ方を工夫すると一層楽しくなります。

 

組  立

☆ 浸みだした油分を取り除く
 ・加熱によって浸みだした油
   軸穴の周辺の皮の付いている側に油分が付い光沢がある。
   接着剤が効きにくいのでサンドペーパーで取り除く。

☆ 軸と羽根を組み立てる
   軸の先は羽根の穴より少し太い状態に仕上がっているので少し力を入れて押し込む。
   強引にやると羽根が割れてしまう。
   押し込んだ状態で軸が羽根の反対側に1o程出るまで入れる。
   上手に加工すると押し込んだままで竹とんぼを軽く回しても羽根が取れない。

☆ 軸は直角に付ける
 ・直角でないと、スムーズに回転せず飛ばない

☆ 瞬間接着剤で接着する
 ・木工用の瞬間接着剤で液体のものを使う
   ゼリー状のものは使えません
 ・軸と羽根の接合点に接着剤を少し付ける
   一部は竹に吸い込まれます。
   瞬間接着剤は空気中の水分を吸収して化学反応を起こして直ぐに固まります。
   沢山付けると水分が不足して固まりません。
 ・10分ほど待とう
   十分な強度が出るまで待ちましょう。
   直ぐに回転させたくなりますが、接着剤が飛び散って危険(目に入ったら大変)です。

☆ 軸が真っ直ぐか確認する
 ・今までの作業で軸が曲がってしまっている可能性があります
   真っ直ぐでなければ飛びません。
   曲がりが見つかったら、反対方向に曲げて修正します。

 

名前を付けよう

☆ 製作者の名前を書こう
 ・羽根に作った人の名前をフェルトペンで書く
   名前がないと飛ばしたときに誰のものか分からなくなります。
   愛着が増します。

☆ ペイントしたり愛称を付けよう
 ・更に愛着が増し、宝物に

 

これで完成、広場で飛ばして遊ぼう

 

良い竹とんぼとは

☆ 軸がぶれずに飛ぶ
 ・飛ばしたとき軸をがぶれずに、正しい姿勢を保って飛び続ける
   軸がぶれないで飛ぶ姿は美しく、気持ちがいい。
   とても高くまで飛びます。
   軸がぶれたり姿勢が崩れると良く飛びません

 

飛ばない竹とんぼの例

☆ 軸が取れてしまう
 ・軸の削り方が悪い
   急に細くなっている ・・・・・・ 鉛筆を削るような角度
 ・軸のはめ込む部分が丸くない
 ・細く削りすぎ
 ・接着剤を付けすぎ

☆ ひねりが少ない

☆ 軸が大きくぶれる
 ・羽根のバランスが取れていない
 ・軸が直角に取り付いていない
 ・軸が曲がっている
 ・軸が短すぎ、基本型では15pにします
 ・ひねりの大きさが左右で異なる
 ・ひねりが大きすぎ(ひねりの角度は30度以下にします)

☆ 重すぎる
 ・小学校低学年用には2.5グラム以下にしたい

☆ 飛ばし方の問題
 ・上手な人を真似して、練習しましょう

 

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