縄をなってみよう
小学校5年生の授業で縄をないました

☆ バケツで稲作
    都心の小学校5年生のクラスでは春からバケツで稲を育ててきました。一人ひとつずつバケツを用意して種を蒔き、苗を作り成長の良いものを選び植えました。夏休みも交替で世話をした結果、よく実り刈り取りと脱穀を済ませました。収穫したお米は給食のご飯としていただきました。
 JAが作ったマニュアルに従って栽培しました。とても良くできたマニュアルです。

☆ 残った藁で何かを作ろう

☆ 先ずは藁打ち
   (1)ようしょう(葉鞘)や藁屑などを取り除く
  葉っぱの基のところがさやになっていて茎を包んでいます。鞘葉はイネ科の植物の特徴です。この部分は柔らかく弱く、作品がきれいに出来ませんので取り除きます。

(2)湿り気を与える
  乾燥しているとわらは硬く加工しにくいので、霧吹きで湿り気を与えます

(3)たたいて柔らかくする ・・・・・・ 藁打ち
  加工しやすくなると同時に出来た縄などの作品がしなやかで強くなり、使いやすくなります。

(4)作業の状況
  前日の放課後、残ってくれた子供達20名と応援に来てくれた10名ほどのお母さんで手分けして実施しました。藁を打つ小槌は本年2月に「狭山緑地」で間伐した木材から3個り、作って持っていきました。
  予想より時間が掛かり、最後は学校に備えてある「木ハンマー」を取り出しみんなで“トントン(木ハンマーで藁を打つ音)・ダンダン(小槌で藁を打つ音)”と学校中に聞こえるほど賑やかに。意外にもこの作業が子供達にうけ、前日から意外な盛り上がりを見せました。
  当然校長室にも聞こえ校長先生と教頭先生も顔を出し、「これが藁打ち仕事ですか、歌や本で読んでいたが初めての体験」等と話され、ますます元気にトントン・ダンダン。

 
藁屑取り藁打ち

☆ みんなで縄に挑戦
     縄を作ることを“なう”と言います。編むのでもなく、組むのでもありません。縄をないながら違いを見つけましょう。

(1)縄のない方
 ①4本ずつ2組とります。(太い縄を作るには本数を増やす)
 ②2組の藁を手のひらで挟み
 ③手のひらをこすり合わせるように(利き腕の手を前方に出す)して2組のわらを同じ方向に撚ります。
 ④そのまま前方に出した手で外側のわらを内側に移動させます。
 ⑤ ③と④を繰り返すと縄が出来てきます。言葉で説明は難しいので写真を参照して下さい。

(2)長い縄をなう
  上の方法では、縄はわらの長さのものしかできません。
  最初の藁をない終わらない内に、途中でわらを1本ずつ追加していくと長い縄が出来ます。
  追加するわらが多すぎると縄が太くなってしまいます。同じ太さにするように適量を加えます。
  以上が縄をなう普通の方法です。この方法でなえない人は次の方法でやりましょう。

(3)簡単な方法
  ①3人で一組になります
  ②一人が元を持ち、他の2人が一組ずつのわらを持ちます
  ③2人が同じ方向にわらを撚ります
  ④少し撚れたらそのままでわらを交換し合います(交換して撚り合わせる方向は③と反対方向に)。
  これで一目だけ縄が出来ました。
  ⑤ ③と④を繰り返すとだんだん縄が長くなります。

縄のない方3人一組で校庭でないました

☆ 縄でリースや正月飾り
 

  正月飾りはわらの長さだけの縄をない、輪にします。
  穂の部分をはみ出させ『Q』の字の形にすると格好いい。

  松の枝、松ぼっくり、ナンテンの実などを飾るとすてきな飾りになります。
  1、2本脱穀せずにお米の付いた藁を使うと来年の豊作を祈る飾りとなります。

  リースは縄を少し長くして、輪(二重、三重にも)を作り、
  好みのもので飾り付けをします。

  

☆ 大縄跳びで盛り上がりました
   ①一人飛び
 2.5メートルほどの縄を使って縄跳びをして遊びます。

②大縄跳び
 更に長く、10メートルほどにしますと大縄跳びが出来ます。
 回し易くするために少し太めになって下さい。


大縄跳び、2人の子が飛び損ねたがおおいに盛り上がった
 

☆ 授業で使った補助資料
    春からバケツで育てたお米が収穫が出来ました。努力が実りよかったですね。
 皆さんが食べているお米は農家の人が田んぼで苦労をして育てているのです。日本中の人が毎日食べるのですから、沢山のお米が必要になります。郊外にでかけたとき、畑や田でどのように稲や野菜などの作物が作られているかを見てみましょう。
 農家の人が仕事をしていたら、作物をふんだり仕事の邪魔をしないように気を付けながら、見学したり質問してみましょう。親切に教えてくれると思います。
 刈り取ったわらで皆さんといっしょに“縄をなう”ことになり楽しみにしています。まず稲やその仲間の植物のことやわらでどんなものが作られるか調べてみました。  すこし難しいかと思いますが読んで下さい。

1.稲とその仲間 ・・・・・ イネ科の植物
  稲はイネ科というグループの植物です。イネ科には沢山の種類の植物があり6,000種ほどが知られています。この中で作物に適したもの選び、品種改良をしながら作り続けてきました。

(1)イネ科の作物
 ①稲
  うるち ・・・・・ ご飯に炊く。   もち ・・・・・ 赤飯や餅にする。
  と含まれるでんぷんのが異なる種があり、お煎餅やだんごの原料にもなります。
  東南アジア原産で暖かいところで栽培され、春に種をまいて秋に収穫します。

 ②ムギ  ムギにも種類があり、小麦・大麦・燕麦などがあります。
  小麦 ・・・・・ パンやうどん、お菓子、スパゲティなどの原料となる。
  大麦 ・・・・・ 主として家畜の飼料。ムギご飯としてご飯に炊き込んだり、麦茶にしたりする。
  ムギは西南アジア、コーカサス地方が原産。
   比較的涼しい地方で栽培され、秋に種をまいて初夏に収穫する。

 ③トウモロコシ、キビ、ヒエ、アワ

 ④サトウキビ 穀物としては利用されないが、砂糖の原料になる。
  このように穀類の食糧や飼料の大部分はイネ科の植物です。
  人間はイネ科の植物を食べて生きているとさえ言えます。
  また、小鳥や小動物の食べ物の多くも野原に生えるイネ科の植物の種です。
  ・・・・・ イネ科の植物に感謝!

  イネ科以外の穀物としてはソバ(タデ科)とマメ科の大豆、小豆、ピーナツがある。
  また、竹や笹も稲の仲間でイネ科の植物です。・・・・・ えっ!信じられない。
  イネ科の植物には似ているところが沢山あります。花はシベだけできれいな花びらはありません。
  花粉は風に運ばれるので虫を呼ぶ必要がないからです。
  また、茎に節があり、中空(ストロー状)になっているものが多い。
  ジュースを飲むときに使うストロー(straw)とは麦わらという英語です。

2.わら(藁)から作られるもの
(1)わらって何だろう ・・・・・ 稲やムギの茎を干したものをわらと言います。
 稲のわらを稲わら、ムギのわらを麦わらと区別しています。少し性質が違います。

(2)稲わら
 ①昔から生活に必要なものをわらで作ってきました
 ・縄   ・・・・・ ものをしばったり、縄跳びで遊んだり、泥棒をつかまえるのにも使いました。
 ・履き物 ・・・・・ ぞうり、わらぐつ、わらじ
 ・入れ物 ・・・・・ 俵、かます
   お相撲の土俵は土を入れた俵で作るので土俵と名前が付いたようです。
 ・ものを包む ・・・・・ こも(こもかぶり:こもで包んだ酒樽)、わらづと(納豆などを包むもの)
 ・敷物 ・・・・・ 畳、むしろ、わらぶとん
 ・お祭りや儀式に使う ・・・・・ しめかざり、横綱がつける綱、わら人形
 ・紙  ・・・・・ わら半紙
  わらで色々なものを作りますが先ず縄をなって、縄とわらを編んだり、織ったり、綴じたりします。
 ②家畜の飼料 ・・・・・ 干し草と同じように馬、牛、羊などのエサにします。
 ③堆肥にする ・・・・・ わら細工に使ったものも含めて最後は堆肥にします。
  土の中にいる“ミミズ"などの虫が食べたり、菌類が分解して肥料となり作物を育て土に帰ります。
  これを自然循環と言います。

(3)麦わら
 中空で軽くすべすべしているのが特徴です。麦わら帽子、虫かご、ストロー、そしてわらぶき屋根の
  材料になりました。

3.きれいで丈夫な縄にする
  色々な用途に使うには、きれいで丈夫に作りたいですね。次の点に注意すると良い縄がなえます。

(1)準備段階の作業をしっかりする
  ①鞘葉や葉をきれいに取り除く
  ②入念にわらを打つ

(2)二本のバランスをとって撚る
  ①太さ
  ②撚りの強さ

(3)強く撚る

(4)なった後ではみ出したわら屑をハサミで切り取る

4.縄の応用
 古代から縄を種々に応用してきました。縄文式土器では飾りに縄模様を付けていました。セーターなどの編み物にも縄の模様を付けたものを見かけます。応用として古着の布を裂いて藁の代わりに使って縄をなうこともできます。
  色々な色や模様を組み合わせてなうと、とてもすてきな作品が出来ます。是非試み て下さい。

5.環境(地球)に優しい自然材料
  30年ほど前まではしばったり、包んだりするものをわらや麻など自然の材料で作りました。最近では化学繊維やプラスチックに代わってしまいました。
 プラスチックは軽く丈夫で美しくしかも、安く作ることが出来るからです。でも大きな問題があります。
 プラスチックには体に悪いものを含んでいたり、ゴミとして土に埋めても、いつまでも腐らずにそのままで、ゴミ処分場が直ぐにいっぱいになってしまいます。プラスチックは虫が食べず、菌類も分解できません。自然循環で土に帰らないのです。これでは地球はどこもごみ捨て場になってしまいます。
  また、焼却場で燃やすとダイオキシンなどの猛毒の物質が出るものもあります。
 ものを直ぐに捨てないで大切に使い、リサイクルしたり、少しばかり使いにくくても  自然の材料で出来たものを使いましょう。
 自然の材料で作られたものは使う人の体によく、環境にも優しいのです。


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