花にも雄と雌がある
 

  花には美しい花びらがあり、雄しべと雌しべがあって・・・・・・・花はこの様に理解されている。
一つの花に雌しべがと雄しべがある花は両性花と言われ、多くがこのタイプです。
しかし、生き物は多様です。単性花といわれ、雄しべだけを持つ雄花、雌しべだけを持つ雌花と
分かれている花も沢山あります。
雄花と雌花が一つの株(木や草)に咲く植物・・・・・・・雌雄異花(しゆういか)と一つの株にはどちらかの花しか付けない植物・・・・・・・雌雄異株(しゆういしゅ)があります。
雌雄異株では雄の植物と雌の植物に分かれています。多くの動物と同じです。

両性花
  一つの花に雌しべがと雄しべがある花が両性花です。
 左はオニユリの花で、真ん中に雌しべが一本とそれを取り囲むように6本の雄しべがあります。
雄しべと雌しべが大きく外に出ていて分かり易いので両性花の例として挙げました。
一つの花に雌と雄の両方の機能が備わっているので両性花と呼ばれます。

  自家受粉(同じ個体の花粉で受精すること)を少なくするため雌しべは雄しべより長くなっていて、雄しべとは少し離れています。
他の個体の花粉を体に付けた昆虫がやってくると先ず雌しべに接触し花粉が付きます。
密を求めて更に花の中心部に近づくと雄しべに触り、花粉が体につき他の花に運ばれます。
雌しべが雄しべより短い植物もあります。
  虫媒花の花粉の表面は虫の体に付きやすいように、ねばねばした性質があります。
ユリは粘りけが強く、衣類に付くと洗濯しても落ち難いほどです。切り花として花屋さんで売られているものは、雄しべが切り取られています。
特にカサブランカの様に白い花では焦げ茶色の花粉が花びらに付くと汚くなるので、汚れを防ぐ意味もあるようです。

雑木林の女王、ヤマユリ

ヤマユリから作り出されたカサブランカ

雌雄異花(しゆういか)
  一つの個体(株)に雌しべだけの雌花と雄しべのみの雄花を咲かせる植物を
雌雄異花(しゆういか)と呼んでいます。
雄花と雌花が同一の株に付ける植物には野菜としてお馴染みのキュウリ、カボチャ、スイカ、
野草ではカラスウリなどがあります。

キュウリの雄花

キュウリの雌花

ドングリがなるブナ科のクリ、コナラ、クヌギ、カシの仲間。
カバノキ科のハンノキ、シラカバ、シデの仲間。
花粉アレルギーの原因になっているマツ科のマツ、スギ、カヤの仲間など身近に雄花と雌花とに
分かれている植物が沢山あります。

クリの雄花と雌花

 


クリの雌花
(左の写真の円内を拡大)
 

マツの雄花と雌花
芽の中央が雄花
付け根に雌花

雌雄異株(しゆういしゅ)
  雌雄異株では雄の植物と雌の植物に分かれています。多くの動物が雄と雌に分かれているのと同じですね。
両性花は一つの花で両方の機能を持ち、もっとも効率が良いように思われます。
しかし、自家受粉を防ぎ異なった遺伝子を持つ他の株の花粉を受精した方が、より強い子孫、より多様な遺伝子を持って多様な環境を生き抜く戦略を取っているのではと思います。
  雌雄異株の植物で身近なものには果物のキューイフルーツと原種であるサルナシ、香辛料に使われる小粒でもぴりっと辛いといわれるサンショ(山椒)、関東地方ではサカキに代わって神事に使われるヒサカキ(非榊)などがあります。
また、神社や街路樹に植えられ、東京都のシンボルマークとなっているイチョウも雌雄異株の植物です。
最近では街路樹にはイチョウの実のギンナンが路上に落ちて臭くて汚いとの理由で、雄の株を選んで植えられています。

  庭に生えたサンショを大切にしているが実が成らないとの相談を受けることがあります。
たぶん雄の株と思いますので雌の木と替えなければ実は期待出てません。また、近くに雄の木がなければ実は期待できません。サンショ、キューイフルーツを植えるときは雄の木も一緒に植える必要があります。


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