椎茸を自宅の庭で育てる
 

1.プロローグ
 狭山緑地の萌芽更新で伐採したコナラ、クヌギやクリは昨年は炭焼きの材料として利用し、残りは林に積み重ね腐るに任せた。
 かって雑木林から切り出したこれらの材は薪炭に利用すると共に椎茸栽培の原木として使われていた。我々もこれに習って椎茸を栽培しようと考えた。しかしながら方法を知らずに会の行事として実行するのは気が進まなかった。
 そこで少人数で椎茸栽培について勉強しながら、実験的に自宅の庭で栽培する事として会員から希望者を募った。3名がこれに応じ、私が世話役を務め4名で始めることにした。
 幸いWさんは「東京農大」の学生、大学で椎茸栽培に詳しい教授がら栽培法を教わったり資料を頂き、おおよその知識を得ることが出来た。また、種菌を育成・販売している会社も紹介いただいた。

得られた知識は
 @椎茸にも多くの種類があること
 Aコマ菌(木のコマに種菌を培養したもの)とオガ菌(オガクズ状のチップに種菌を培養したもの)
 B椎茸が出るのは冬植えて早くてその秋、普通は翌春であること
 C家庭の庭で少量栽培したのでは乾燥しすぎること 等

2.いよいよ植菌
 Hさんと私は20本の原木、Nさんは7本ほどを自宅に持ち帰った。Wさんは忙しくなったとのことで今年は見送ることにした。比較的育てやすい中高温タイプの「よさぶろう」と名付けられた品種のコマ菌を1,000個、2,800円で購入した。
 98年2月中旬、各家を巡回してコマ打ちを終了した。

 今回購入した種菌製造会社とは別の「秋山種菌研究所」から詳しい栽培方法が書かれた説明書と数種類ある品種ごとの特徴と育て方のパンフレットを入手した。この資料は大変に参考になり、次回の椎茸栽培には秋山種菌研究所から種菌を購入したいと思う。

3.榾寄せ
  私は榾木を南側のブロック塀に立て掛けておくことにし、土からの雑菌の感染を防ぐためにスギ、ヒノキなど針葉樹の葉を敷き、乾燥を防ぐ目的で上にもこれらの葉を被せた。  乾燥が続く日は、(1週間に1度ほど)ヒノキの葉の上から散水をした。

4.置き場所の移動
 98年4月下旬、榾木に直射日光が当たるようになったので、建物の北側の塀に立て掛けることにした。
 ホダ木を持ち上げ、下側の木口を見てびっくりした。木口に椎茸の菌糸と思われる白いものが出ていた。今まで何も変化が見えず少々飽き気味であったが、冬の間も椎茸菌はホダ木の中で着実に成長していたのだ。
 今までと同様、地面にはヒノキの葉を敷き、上にも覆いとして被せた。乾燥が続いたときは榾木が乾燥し過ぎないよう、週に1、2度ジョウロで水をかけた。

北側のブロック塀に立て掛ける

        

木口まで菌糸が伸びてきた

 98年8月も過ぎる頃になると被せたヒノキやスギの葉はすっかり枯れボロボロになってしまつた。下に敷いた葉も枯れ腐り始めてた。あまりに汚いので取り除こうとホダ木を持ち上げたが、椎茸菌の菌糸がヒノキの葉とその下の土の中まで伸び厚さ3ミリほども榾木にこびりつき簡単には取れないほどになっていた。
 これはそのままにして置くことにし、周囲を掃除し天地返しをした。

5.走り茸が出た
 98年10月中旬、Hさんからの電話で椎茸が出たとの知らせがあった。原さんの原木にはクリが数本混じっていたのだが、クリのホダ木から出ていた。クリはコナラに比べ材が柔らかなので椎茸菌の廻りが早い様だ。Hさんの榾木から続いて何個かの椎茸が出た。
 その後1ヶ月98年11月の中旬になっても私の所は何の変化もない。今出なければ寒くなってしまう。そこで水に漬けて芽出しを試みることにした。1メートルもある榾木を漬ける容器など無い。2×2メートルのシートを購入し、四方を軽石ブロックで囲みプールを作り水を張った。
 ここに榾木を48時間漬けた。この時期は気温はかなり低くなり、乾燥した風が強いので漬け終わった榾木は、ブロックの上に井桁積みにし、シートを掛けて椎茸の発生を待つことにした。
 10日ほどでぽつぽつと出始め、98年12月4日に最初の一個を収穫した。寒い時期のためか、それとも1本の榾木に1、2個と発生数が少ないためか、いずれもジャンボ級の大きさ。80グラムから最大150グラムまで、平均100グラムの椎茸が15個ほど収穫出来た。

ジャンボ級の椎茸に育ちました
重さ150グラム、この大きさでも傘は開ききっていない

 おすましの具、煮物、網焼き、バター焼き等として味わい、残りは冷凍保存し正月料理の食材にもなった。寒さが深まり98年12月中旬で椎茸の発生は止まり、冬の休みに入った。初めての椎茸栽培、それも思い立ってから1年間、手探りの管理をしてきたが予想以上の成果が得られた。この結果に満足すると共に会の行事として取り入れる自信がついた。早速、幹事会に提案し急遽、行事に組み入れることに決まった。

6.冬越し
 寒さや乾燥には強いというものの、家の廻りを吹き抜ける風は椎茸菌が本来の生活の場としていた雑木林と比べ遙かに強い。保護してやった方が来春の収穫量が多いのではないかと考え、プールを作るために使ったシートを掛けて置くことにした。
 シートを掛けたといっても、塀に立て掛けた上から覆うのである。塀との隙間があり、ある程度の通気が保てた。点検を兼ねて天気予報で雨が予想される時シートをはずし、雨に当てるようにした。この作業で雑木林に置かれた環境に近い条件が得られたのではないかと思われる。

7.再び春が巡ってきた
 Hさんは99年3月20日オープンする「郷土博物館」主催の『雑木林展』に榾木に生えた椎茸を展示するのだと張り切って、99年2月末から日の当たる場所に小さなビニールハウスを造りその中に一部の榾木を移した。
 この努力の甲斐あって、オープニングに椎茸が間に合い、入り口のゲート横を飾ることが出来た。私は1年間の記録写真を展示した。
 私は特に加速せず自然に任せることにした。本には4月中旬が椎茸の出やすい季節と書いてあったので、3月末にシートをはずし予備発生作業として、6時間ずつ水に浸し塀に立て掛けておくことにした。
 99年4月10日6本の榾木の皮を持ち上げ椎茸の芽が発生し始めているのを見つけた。春の嵐が毎日吹き荒れていて乾燥するので、発生し始めた榾木を井桁に組み、透明なビニールでテントを作り覆った。
 そのご順調に発育した、大きさは秋に比べ40グラムから100グラム小振りであるが、4月17日5個、18日2個、19日2個と順調に収穫出来るようになった。いよいよ本格的に発生する条件が整ったと判断し芽だし作業をすることにした。

プールに漬ける
 99年4月19日シートで作ったプールに4本の榾木を漬け、48時間後の21日引き上げた。あまり一時に沢山取れても処置に困るので、少し間隔を開けて芽出し、収穫をして行く予定である。
 Nさんは3月下旬に芽出し作業を行い、ホダ木の皮を割って椎茸が出始めたが、途中で成長か止まってしまった。椎茸の芽を風に当てた事が原因しているのではないかと思われる。
 数回に分けて芽だし作業し、2回目の芽出し作業した榾木は小さなビニールテントに入れたが、後の半分は塀に立て掛けシートで覆った(かなり通気はある)。

 ビニールのテントに入れた榾木からは順調に収穫出来たが、シートを掛けて置いた榾木からはあまり収穫出来なかった。
収穫出来なかった榾木を調べると、榾木の皮を持ち上げ発生始めたまま止まっている芽が多数見つかった。直ぐにビニールテントを作り、榾木をぬらして入れたが、一旦成長が止まった芽は成長せず、その榾木から新たに発生する芽も無かった。
 Nさんの体験と私の体験から、浸水したホダ木は、高湿度を保った環境に置く必要があったと思われる。また、湿度が低いと芽が成長しても小さく、笠に複数のひび割れが出来てしまう。


ビニールテントの中で発生した椎茸
笠の下の榾木の皮は落ちた胞子が
伸び白色になっている
   
風に当たる環境で育った椎茸
小さく、笠に多くのひび割れが
出来ている

 雑木林に行きキノコの発生する地表近くの環境を調べた。風が強く風速10メートルを超える強風がコナラの梢でビューと音を立てて吹き抜けていても、地面近くではほとんど風は感じられず、湿度が高いマイルドな環境がそこにあった。
 この環境が椎茸の発生に最適なのであろう。一方、私の庭では建物と塀との僅かの空間を加速された風が吹き抜けていた。良い椎茸を沢山収穫するにはこの環境の差をいかに少なくするかにある。次のトライアルへの貴重な体験となった。
この様な失敗があったが4月末までに20本の榾木から2キロを超える椎茸が収穫できた。この失敗がなければ倍・・・・・・・これは何とかの皮算用ではあるが、素人の第一回目の挑戦、良しとしたい。収穫した椎茸の多くは乾し椎茸にした。

8.椎茸は早くも夏休み?
 99年5月26日に収穫したのを最後に椎茸は休みに入ってしまった。今年、新たに菌を植えた榾木の木口には昨年植えたものと同様、菌糸が伸びてきて白い紋を作っている。梅雨に入り雨が降り続き、湿度が高いので木口の菌糸はどんどん増えていく。しかし、昨年から育てている榾木は何の変化もない。「おーい、だいじょうぶかい!」と声を掛けたい衝動に駆られるこの頃である。

 6月下旬になるとナメクジが発生、木口に伸びた菌糸を食べている。4日程ですっかり食べてしまった。菌糸が食べられて害があるか否かは分からないが、ナメクジの歩いた後につく粘液が気持ち悪く光っている。榾木を一本いっぽん点検し、ナメクジ退治をした。

9.いよいよ2年目の秋
 今年は8月28日に走り茸が1本見つかった。9月4日に他の榾木を点検したところ2本の榾木に樹皮を持ち上げて出てきそうな兆候が見られた。早速半日ほど榾木を水に浸してビニールの袋で包み、風に当たり乾燥しないようにして榾木の置き場に戻した。
 9月8日、その後の様子を見た。最初に見つけたものは2pほどの椎茸に成長、他の部分からも数個発生が見られた。過去の気温の変化を見ると最高温度は30度を上回っているが、最低気温が25度を下回っている日が多くなった時期である。ちなみに私の住んでいる東大和市の夏の気温は、気象庁の発表する東京都心部より最高温度は1〜2度高く最低温度は1度ほど低い。
 この経験から最低気温が23〜24度を下回る日が続くようになったら椎茸が発生すると思われる。9月12日には半数の榾木の浸水作業をしようと考えている。

 9月10日、2本収穫できた。25g程で小振り、その上色も薄い。気温が高いためと思われる。早速料理して賞味した。昨年秋からエノキダケやシメジなどの茸は買うが、椎茸は買わないようにしている。こうすることによって椎茸栽培への関心を高め、収穫出来たときの喜びを大きくしている。とても新鮮で美味しく感じられた。

  走り茸の収穫記録
   9月10日    2個  25g×2
   9月12日    1個  35g
   9月15日    2個  20g、15g
   9月17日    1個  30g
 その後、気温が高い日(最高気温と最低気温の双方)が続き、後続の椎茸の成長が止まってしまい、収穫は出来ず。水に漬ける作業は暫く先に延ばすことにした。9月20日も相変わらず暑い日が続いている。

 99年10月に入ると記録的な暑さがが去り、秋が到来した。最低気温が20℃を下回る日が続き、天気予報も同様な気象状態が続くことを確認した。榾木を3つのグループに分けて水に漬けることにした。99年10月4日に第一グループ、7本の榾木を水に漬けた。
 ほぼ48時間後の10月6日、水から引き上げ日陰に井桁積みにして透明なビニールシートを掛けた。加湿にならない様にシートの下側に少し隙間を作るようにレンガで押さえた。 プールには続いて第2グループとして5本の榾木を入れた。
 第一グループの榾木から水から引き上げて2日後の10月8日、シートの上から「ぞくぞく」と椎茸が発生し始めているのを確認した。外出の予定があり第2グループは明日引き上げることにした。翌日9日、水に漬けてから60時間ほどで引き上げ、今度はブロック塀に立て掛け、レジャーシートで覆った。この日、第3グループの榾木7本を水に漬けた。

 10月11日朝、最初のグループの椎茸は7〜8pほどに育っている。今日は写真に撮ってから収穫することにした。
10月11日からまた夏に戻り、最高気温29℃の日が13日気で続いた。椎茸の発生、成長に悪影響が出たのではないかと思われる。

収 穫 記 録

第一グループ
水に漬けた日引き上げた日 10月11日・夕 10月12日・朝 10月12日・夕   合   計   
10月 4日10月 6日 1,290g 46個 3,540g 147個 790g 42個5,620g 235個

第二グループ
水に漬けた日引き上げた日 10月15日朝 10月16日朝 10月17日朝   合   計   
10月 6日10月 9日 1,000g 34個 1,250g 61個 460g 50個2,710g 145個

第三グループ
水に漬けた日 10月13日 10月14日 10月15日 10月16日 10月17日   合   計   
10月 9日 85g 1個 350g 7個 370g 13個 1,400g 94個 790g 54個2,995g 169個

その後の自然発生
10月28日 10月30日 11月 4日 11月 7日 11月14日 11月15日 11月16日   合   計   
115g 2個 240g 5個 65g 2個 160g 1個 320g 4個 100g 2個 80g 2個1,080g 18個


 合計で 12,403g 563個とビックリするほどの量の椎茸が収穫できた。
植菌してから2年目の秋から本格的な収穫が出来ると本で学んでいた通りになった。しかしながら、第2グループ、第3グループとも第一グループより収穫量が少ない。同じ場所で同じように管理してきた榾木、途中で3日間真夏のような気温が続いた事が悪影響したのではないかと思っている。
 また、第三グループが第二グループより早く収穫出来始めたのは、一部の榾木を第一グルーブの榾木を水に連れた時、重石の代わりにしていた。このため、3本ほどの榾木には水がしみ込み、この刺激で水に漬ける時には椎茸が数本発生し始めていた。これが原因で早くから収穫出来た。
 その後の自然発生は浸水して発生させた後、ポツポツと発生した物である。一斉に発生させた時発生量の少ない榾木に多かった。また、太い榾木の方がトータルの発生量が少ない。未だ十分に菌が回っていないのかもしれない。次シーズン以後の発生量を見ていきたい。
 それにしても、これほど一度に収穫出来ると処理に困ってしまった。近所や知人に分けたが、大半は干し椎茸にした。
 次回からは少しずつ水に浸して、分散して発生させたい。


我が家の庭で見事に発生した椎茸

10.暖冬の影響か ?
 1月の中旬、暖冬の影響で真冬にしては暖かい日が続いた。12月は殆ど降雨が無く乾ききっていた。・・・・・・・・これも観測史上になかったと気象庁は発表している。1月中旬になって雨が降った。この環境のためか9本の榾木からポツポツと椎茸が発生し始めてしまった。
 自然と生き物相手ではこの程度の異変は当たり前のことであろうが、「さてどうしようか」と考え込んでしまった。温度も低く、乾燥が続いているので放置すれば成長が止まってしまう事が予測される。中国の故事に親孝行の息子が母親に食べさせるために冬に筍を求めたとある。今の世は季節を問わず殆どの食べ物が入手できる、椎茸も同様であ。
 いま椎茸が発生したのは“自然が趣味の椎茸作りとして、冬でも椎茸を収穫する方法を工夫するチャンスを私に与えてくれたのだ”と解釈して『冬の椎茸作り』に挑戦してみようと考えた。

 9本中7本を1日水に漬けて十分吸水させてから、庭(我が家の庭は冬は日が射さない)にビニールシートで作ったテントに入れた。・・・・秋や春椎茸を発生させるときと同じに・・・・・・。残りの2本はそのままにしておくことにした。
 そのままにした榾木の椎茸は1センチほどに成長し、その後乾燥椎茸の様にカラカラに乾燥してしまった。ビニールテントの榾木から新たに椎茸が発生し始めたが、2週間経っても僅かしか成長しなかった。やっぱり温度が低すぎるのが原因であろう。
 温度を加えてやらなければ物になりそうもない。趣味の椎茸作りで温室まで作るつもりはない。そこで1月下旬から自分の部屋に入れることにした。私の部屋は朝の温度が4〜8℃、朝食が終わって8時頃からストーブを付け20℃まで加温、2時間ほど焚いていれば後は窓から入る日差しで午後4時頃まではこの温度を保っている。5時頃になると部屋の温度が下がるので、居間に移動する。後はだんだん温度は下がり朝方は前記の温度になっている。
 狭い部屋なので先ず、2本の榾木を大きなごみ収集用のポリエチレンの袋を被せ、鉢受けの上に立てて置くことにした。収穫が終わった榾木はもとの置き場に戻し、代わりにビニールテントの中の榾木を取り込んで7本の榾木全部から収穫した。

冬期の栽培結果
2月 8日 2月10日 2月12日 2月17日 2月19日 2月21日 2月23日 2月26日
200g 4個 420g 8個 190g 10個 300g 7個 320g 11個 130g 7個 320g 10個 250g 9個

2月28日 2月29日 3月 3日 3月 5日 3月 6日    合   計   
260g 11個 180g 9個 125g 5個 190g 6個 210g 10個 2,845g 88個

 最後は庭で作るのでなく屋内で作る事になったが、冬に椎茸を収穫する一つの方法は確立できた。

 寒さの中で育てた椎茸は笠の肉厚が2倍ほどもあり。軸も二廻りほども太い。焼いても鍋に入れても最高である。椎茸は冬に限ると言えそうである。

11.2000年秋
☆インベーダーの進入 ?  カワラタケが発生し、シロアリが付いた!
 今年(2000年)は4月上旬から9月末に掛けて“オンボロ”になった家の建て替えをした。この話は別のコーナー『我が家の建て替え物語』として別のコーナーに掲載を予定。
 椎茸の話しに戻ると、この間は仮住まいに住んでいて全く世話が出来なかった。また、工事のため置き場所が限られてしまい、あまりいい環境にあったとは言えない。家が完成し、引っ越し、家の中の整理が終わったのは10月中旬となってしまった。

 そろそろ椎茸の時期と榾木の点検をした。そこで2本の榾木にカワラタケが発生しているのを発見、“大変!インベーダーが進入してきた”がとっさに頭をよぎった言葉であった。榾木の中で椎茸菌と侵入者のカワラタケが熾烈な争いをしていることが想像された。
 侵入者のカワラタケの方が強くこのまま放置しておけば、榾木全体がカワラタケに占領されることになり、やがては他の榾木にも移ることが予想された。
 取り敢えず、カワラタケの出ている場所から20センチほどの所で榾木を切断して、他の榾木とは隔離して様子を見ることにした。

 もう一つの侵入者は“シロアリ”、榾木を水に浸して翌日、水面に白いものが沢山浮かんでいるものが目に留まった。よく見ると沢山のシロアリの死骸、榾木を点検したところ1本にシロアリが巣くっていることが分かった。
 この榾木を別の容器の中で水に浸し続けた、その後2日間は1匹の死骸も浮いてこなかった。水が巣の隅々まで入りシロアリは死んでしまったと判断した。他の榾木と区別できるマークをして様子を見ることにした。

☆ 異常な高温気象のためか発生が少ない、真夏の水分補給などの手入れが出来なかった
 椎茸の発生が昨年の秋に比して三分の一の3.5Kgと少なかった。原因は夏期の異常な高温が続いたこと、ほとんど手入れが出来なかったことなどが原因して榾木が乾燥しすぎたように思われる。

12.2001年 春
 長期予報は暖冬となっていたが、積雪も多く寒い冬となった。原因は「北極振動」とか、また新しい言葉と気象現象を知ることとなった。
 我が家の椎茸君、寒さのためか発生の兆候も遅く2月の中旬から。兆候のあるものは少ないので発見次第ゴミ袋の中で浸水を行い屋内に持ち込んだ。新築した家は太陽熱での床暖房と高断熱仕様のため晴れた日は室温20度を越え、冷え込んだ朝でも15度前後。
 こんな環境から室内に持ち込んで4日ほどで取り入れ、毎日食卓に椎茸の入った料理が登場することとなった。

 3月上旬から気温が上がり始めシートのプールでの浸水を行い、ビニールのテントの中で発生を行った。昨年の夏の高温と手入れをしなかった影響は感じられない発生状況。
 キノコはご近所へのお裾分けと残りは1日天日に当てて冷凍保存と干し椎茸を作っている。

 秋、シロアリの発生した榾木には再びシロアリが発生。浸水では奥にいる女王は死ななかったようである。椎茸を発生させてから殺虫剤をしみ込ませようと思う。

13.2003年 秋
 ・・・・・・ いよいよ引退の時期が来た
  毎年春と秋には庭で取れる椎茸を楽しんできた。シーズンごとに発生量が少なくなり、発生しないホダ木が多くなり、発生しても1〜2個となってしまった。
 コナラの養分をすっかり吸い尽くした様子で、すっかり軽くなってしまった。引退させることにし、少し大きめの金槌で砕き(柔らかく簡単に砕ける)、菜園の秋の収穫が終わった後に堆肥の替わりに入れた。
 畑の土の中でゆっくり分解し続け、美味しい野菜が育つであろう。雑木林からの恵みのコナラを最後まで活用したことになる。

  毎年、新しいホダ木を追加しているので、椎茸の収穫はこれからも続いていく。最初に手掛けたホダ木が引退したので、この記事もここで終了することにします。


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