雑木林(狭山緑地)で椎茸を育てる
最終更新日 2005年2月16

1.昔ながなの方法で育てる
 自宅の庭や家の中で育てる事に挑戦しているが、本来は自然の中で育てるのが最も楽で確実であろう。狭山緑地に榾木を置き、自然の恵みを利用するのである。

 但し、次のような問題が残されている
@途中で榾木が盗難に遭う。
 軽い気持ちで1,2本持ち帰る。持ち帰った人は少しばかりならとの気持ちでも、大勢の人がこれをやれば短期間に無くなってしまうであろう。珍しい野草、タラの芽、タケノコの盗掘の状況から心配である。
 それ以上に、夜中車を乗り付けゴッソリ持って行かれるのではないか。
A発生した椎茸が盗られる
 幹事会でこの様な意見が出たが、盗られる事を覚悟してやることにした。

 危険を出来るだけ減らす為、道路から遠い場所を選ぶ、園路からも離れた目に付きにくい場所を選び、数カ所に分散して置くこととした。

2.植菌をする

賑やかなコマ打ち作業
 当然の事ながら、伐採して原木の置いてある場所、榾木を伏せる場所とも電源はなく、電動ドリルが使えない。少ない予算の中から充電式のドリルとバッテリーを購入した。 しかしながら2個のバッテリーのエネルギーでは300個弱の穴しか空けられず、榾木にして10本程度しか植菌出来ない。その上、充電には2時間ほどかかってしまう。

 仕方なく電源の引いてある管理小屋まで運び、植菌の終わった榾木を伏せ場まで運ぶこととなった。

3.仮伏せ
 椎茸に適した環境、盗難に遭い難いなどの条件を満たす3ヶ所の場所を選定し、ヒノキを枕に薪積みにした。上にはヒノキやスギの葉を載せ、その上からシートで覆った。

気温が上がってきたので4月12日シートを取り除いた。


マキ積みにしてヒノキの葉で覆った榾木
4.椎茸栽培学習会
 4月10日椎茸栽培の基本を学ぼうと学習会が開かれた。使用した資料は椎茸栽培法のコーナーにアップしていので参照されたい。


5.管理作業と観察記録
 5月13日観察のため巡回した。数本の榾木の木口にまで菌糸が伸び白い斑点を作っている。榾木の中で菌が成長しているサイン。上に掛けたヒノキの葉は枯れ始め、かなり黄変している。下に敷いた葉は、まだ生き生きとしている。

 このところ温かい日が続いて最高気温は24度前後、椎茸菌の生育には最も適した温度である。五月晴れが続いて乾燥気味、出来るだけ頻繁に訪れ水を掛けてやろうと思う。
本日はキンラン、ギンラン、シュンランの廻りの草が茂ったので草刈りに時間が費やされて、
榾木への水かけまでは手が回らず。キンランの花が終わり、ギンランの花は未だ咲いている。フタリシズカが咲き始めていた。
 その後時間がとれず1回水を掛けたのみ。水のある場所から遠く斜面を水を提げて歩くのは想像していたよりも重労働である。
雑木林の環境ならば放って置いても育つ、そうでなければ自然に生える椎茸はないはず・・・・・・との理由をつけて水かけはやらないことにした。何と意志が弱いと少々反省しながら。他の2ヶ所のものは、乾燥が強く木口に菌糸は見えていない。

 6月下旬、雨の合間に観察に行く。95Tの横のものは木口が真っ白になるほど菌糸が伸びてきている。しかしながら上部と下部のものは良く伸びているが、中程に積まれた榾木はあまり伸びていない。雨は上部の榾木を濡らすが下まで浸みていかない、地表からの水分も中間に積まれた榾木まで湿り気を与えないようだ。近々積み替えをしようと思う。
 管理小屋の近くのものにも菌糸が見られる。「お前達も頑張ったな!」とつぶやく。ここの場所のものが遅れているのは、尾根筋に近く乾燥しやすい事が原因のようだ。
 97Tの横に置いたものは2本ほどしか菌糸が見えない。ここの条件が最も悪い。最大の原因はスギの大木の根本に積んである事にありそうである。
雨の日に調べてみたが、雨が降っても何層ものスギの葉に遮られて殆ど水滴は落ちてこない。水滴は枝先から落ちたり、幹を伝わって落ちる事が分かった。時間がとれたら良い条件の場所を移したい。
 3ヶ所に分けて置いて種々なことが分かった。これからも条件の異なる場所、方法を試みていきたい。

6.積み替えと場所の移動
 8月下旬に95Tに置いた榾木を近くの木の幹に地上50センチ程の高さで水平に棒を固定し、この棒に立て掛けた。両側から互い違いに(90センチと長い榾木は谷側から、比較的短い榾木は山側から)立て掛ける。こうすれば椎茸の成長を妨げる障害が無くなり、椎茸の収穫も容易になる。
 93Kと97Tの物は10月になって積み替えをした。

7.一年目の秋、椎茸が発生し始めた
 99年10月28日に椎茸が発生し始めていることを見つけた。庭で管理している榾木より発生が早い。やっぱり椎茸の古里である林の中が榾木の置き場所として良いことが証明された。
 その他の場所で育てるには、如何に林の地表近くの環境を再現するかに有ると思う。

収 穫 の 状 況
 10月28日 10月30日 10月31日 11月 2日 合 計 
取れた個数36個 34個 6個 10個86個
重 さ800g 365g 110g 190g1,465g

 昨年の経験通り、栗の榾木からの発生が早く、コナラでは細目の榾木から発生し始めている。コナラに比べて栗は材が軽く柔らかいため椎茸菌の廻りが早いのだと思う。細目の榾木は表面積に比べて材が多く(植菌の数が体積でなく表面積に比例していることも関連)菌の回るのが遅いのだろう。
 この表にはその後の収穫の状況を継続して追加します。

8.ナメクジの襲撃 ・・・・・ 強敵が現れた
 ナメクジの襲撃と大袈裟な表現をしたが、ナメクジが集まってきて食い荒らしてしまう。何処に口があるか分からないが食べる量は相当の量である。椎茸の足に取り付いて食べ始めると笠の部分は下に落ち、別のナメクジに食べられてしまう。笠を食べ始めれば大きな穴を空けてしまう。などなど。
 まるまる太り、長さ6、7センチにも達する大きさである。殺虫剤を使えば自然破壊に繋がるので、割り箸で1匹ずつ捕まえ、空き缶に入れて200メートルほど離れたところに移住させることにした。
 10月28、30、31の3日間で50匹ほど移住させた。椎茸を取る何倍かの時間が掛かってしまう。これも『自然との共生』かな!と思いつつ。


 栽培は現在進行形、その後の経過をこのページに載せていきます。興味のある方は時々お寄り下さい。


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