キンラン(金 蘭)

ラン科 キンラン属 (Cephalanthera falcata)

   山地や丘陵の林下に生えるラン科の植物。高さ30〜50センチの多年草。茎の先に黄色(金色)の花を数個付ける。狭山丘陵では開花期は4下旬から5月上旬、雑木林コナラなどが芽吹き樹冠が緑に覆われた頃に開花を迎える。花の色が輝くばかりの黄色で林全体の春を迎えた嬉しさを表現しているような花である。
 同じ場所に咲く「ギンラン」と互いを引き立て合って咲いているように感じられる。

 ♪ 金襴緞子(きんらん・どんす)の帯絞めながら、花嫁さんは何故泣くのだろう・・・・ ♪ と唄われた。字は異なるが、豪華な織物の如き花である。

 また、『金襴の契り(ちぎり)』とは、心を許しあった親しい交わりを指す言葉でもある。

 素晴らしい花であるが、「美人薄命」の言葉の通り、心ない人々に盗掘され、狭山緑地には数本しか残っていない。保護の結果、個体は年々大きくなり、1本に咲く花数も増えているが、個体数は増えない。まさに風前のともしびを見守る境地である。

 種が稔るのは秋、この時期まで葉や茎は元気で光合成を続ける。種を結実させ、地下茎にエネルギーを十分蓄えさせるには、周囲の草に覆われないように時々刈ってやるのがよい。

 持ち帰って庭に植えたり、鉢植えにしても育たない。もし見つけても、心に焼き付けるか、少し離れた場所から写真に撮影するにとどめて欲しい。



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