水車小屋の作り方


 洗剤に付いている計量カップ、洗剤は毎日の洗濯に使うもの、「もったいない」と捨てないでいると、沢山溜ってしまいます。
孫の水遊びのおもちゃとして風呂場や庭に置いていますが、単純な構造と軟らかいプラスチック製ですので丈夫で長持ちです。

 そこで、洗剤の計量カップを使って何かを作ろうと思い立ちました。
窓から二組の臼の動いている様子が見えます
計量カップを眺めていて、水車の水受けの部分に使うアイデアが浮かび、夏休みで遊びに来ていた孫達に話しました。

 電気がなかった頃、水車の力で米をついたり粉を挽いていたのだよ。
今度作る水車は臼も作り杵が動く様にすると話がエスカレートしてしまいました。

 構想が大きくなりすぎ、具体的な構造・使用する材料などがまとまらず、何度も孫から「もう出来た?」と催促の電話があり、彼らが忘れた11月になってようやく完成しました。

 右の写真が完成した水車小屋です。

 完成するのに時間がかかりましたが、気に入った出来栄えとなり孫達も大変興味を示してくれ、
久しぶりに達成感を味わいました。

 小学生が作るには難しいと思いますが、中学生以上ならば挑戦可能と思います。
製作過程をお子さんに見せることで「お父さん・お祖父ちゃんはすごい」と存在感を示すことで、尊敬の念を持ってくれると思います。
これで「お小遣いをねだられるだけのお祖父ちゃん」を卒業です。

 作り方の概要を紹介しますので挑戦してください。

水車を作る
☆ 水受けと腕木
 ・腕木は厚さ3ミリ、幅20ミリの板材使用
 ・水性ニスを塗布
 ・2ミリのボルト、ナットで計量カップを取り付け
 ・必要数 … 8個

☆ 枠を作る
 ・材料は厚さ6ミリ
 ・大きい枠の外形寸法 …150ミリ
 ・小さい枠の内径 …シャフトの丸棒の直径
 ・水性ニスを塗布
 ・必要数 …各2個

 ・円形は糸鋸を使用して切り出す
 ・作業台にクランプで固定すると作業しやすい
 ・板厚が薄く割れやすいので注意して作業

☆ 水車を組み立てる
 
・大きな枠と小さな枠が同心になる様に
・45度の角度で中心から放射状に正確に
 360÷8=45度
・耐水性を考慮してエポキシ系の接着剤を
 使用
 ・もう一組の枠を上から重ねる
・接着剤が固まるまでクランプで押さえる
 または、上に重しを置き固定する

杵(きね)を動かす仕組み
☆ 仕掛けの全体像
 ・二組の杵・臼をセット
 ・二つの臼が交互に働く 軸の「杵押し上げレバー」を180度異なる位置に付けた
  下の写真は右の杵が上がっている状態
 ・二つの臼の大きさを変えると音の高さが異なり楽しめる

杵を動かす仕組み全体

☆ 杵が上下に動く仕組み
 ・杵は水車回転で軸に付けられた「杵押し上げレバー」で押し上げられる
 ・軸が回転し突起が上にまで来ると外れて臼に向かって落下する

☆ 杵の形
 ・杵には軸の突起で押し上げられる様に溝を作る
 ・溝の上部は杵の名が手方向に直角に
 ・下部は軸の突起の回転を邪魔しないように斜めに削る
 ・杵が回転して溝が軸の「杵押し上げレバー」とずれない様に回転止めをつける

 ・下の写真を参考にして下さい 

杵はこの様に加工する

 

 

 

 

☆ 仕掛けの構造
 ・二枚の「杵ガイド板」で杵を垂直に支えている
 ・杵ガイド板の間(手前)に水車の軸がある    [写真右を参照] 
 ・軸のレバーが杵の溝を押し上げて、杵は上に上がった状態
  もう少し軸が回転すると杵は落下する
 ・杵の下には臼が取り付けられている

 

  右の写真は仕組みを上から撮影したもの
  右上の写真と異なり杵が下りた状態
 ・水車の軸の「杵押し上げレバー」(竹ひご)が見える
 ・杵ガイド板の穴には杵の回転止めが通る小さな溝がある


杵を動かす部品の加工
☆ 軸受け
 ・板の厚さ6ミリ
 ・軸を通す穴は軸がスムーズに回る様に軸より僅か大きな穴を空け、蝋をぬる
 ・穴の位置は水車の半径より15ミリ程上に空ける
 ・長さは柱より5ミリほど短くする(屋根をはめ込む溝を作るため)
  組み立ての項を参照

☆ 臼
 ・動作音を軽快にするために堅い材質の広葉樹を選んだ
  庭の椿の剪定枝が保存してあったので利用(これもリサイクル?)
 ・上部を掘り床板に接着

☆ 杵
 ・杵の直径15ミリ …水車の軸と同一材料を使用
 ・杵を動かす仕組み「杵の形」を参照

☆ 杵のガイド板
 長さは床材と同じにする
 ・上下2枚
 ・臼の位置を決め、杵が臼の中央に落ちる位置に穴をあけ
  穴は杵の直径よりも僅か大きくあけ、蝋を塗る
 ・杵の回転を防ぐため杵に付けた「回転止め」の通る溝を空ける
  前記した杵を動かす仕組み「杵の形」、「仕掛けの構造」を参照

☆ 軸の加工
 ・軸の材料は直径15ミリの丸材
 ・杵の位置に併せて、杵を押し上げるレバー(竹ひご)の取り付け穴を空ける
 ・軸受け板の内側に軸を止めるストッパーの取り付け穴を空ける
  詳細はストッパーは組み立ての項で説明

☆ 軸のストッパー加工
 ・軸受けと接触して回転するので摩擦を減らすため
  ローラー構造とした
 ・心棒として竹ひご、心棒の周りを回るローラーを篠竹
 ・ローラーが外れない様に心棒の端に銅線を巻く

水車小屋の構造
☆ 着脱式の屋根
 ・杵を動かす仕組みの改良、修理のために屋根が取り外せる構造とした

☆ ログハウスをイメージした壁

☆ 仕掛けの動きが見える窓

☆ 入り口の引き戸

☆ 神社に似せた屋根 

水車小屋の骨組み
☆ 骨組みを組み立てる
 ・床は15ミリのパイン集製材を使用
  …小屋の安定のため重さが必要
 ・柱は8〜10ミリ角材
 ・軸受けは(ペイントしてある)厚さ6ミリ
  柱だけでは強度がないので軸受けもここで
  取り付けています。
  作り方の説明は後の項にあります。

 ・軸受けの左右には壁材を取り付ける板を内側から
  貼り付けます。
  写真のペイントしていない部材

 ・各部材の寸法は正確に
 ・各部材は直角に組み立てる
  小屋のベースとなるため慎重に組み立てます。

 写真は杵ガイドも組んだ状態になっています。
 後ほど説明しますのでここでは無視してください。

☆ 軸受け
 ・長さは柱より5ミリほど短くする
  屋根をはめ込む溝を作るため

杵を動かす仕掛けの組み立て
☆ 軸受け板の取り付け
 ・床の中央に直角に組み付け
 ・反対側の軸受け板を組み付ける時、
  水車の軸を通してスムースに回るかを確認してから固定する

☆ 杵ガイド板の組み立て
 ・水車の軸の中心と杵の中心の距離は20ミリ空ける
 ・二枚目のガイドの組み立ての時、杵を組み込んでみてスムースに上下するかを確認

☆ 杵の組み立て

☆ 水車を組み込む
 ・水車に軸を組み込み、エポキシ系の接着剤で接着する
  水車と軸の直角度に注意
 ・組み立てた水車を組み込む

☆ 臼の取り付け
 ・杵が臼の中央に当たる位置に接着する

☆ 杵を持ち上げるレバーの取り付け
 ・水車の軸に「杵押し上げレバー」を付ける、竹ひご(竹串)を使いレバーの長さ10ミリ
 ・取り付け穴に押し込むだけで接着しない

☆ 動作確認
 ・水車を軽く回して動作確認をする
 ・スムーズに動かない場合は修正する

 

 

☆ ストッパーの組み込み
 ・最後にストッパーを組み込み仕掛けは完成
 ・軸受け板の周辺の写真を参照 

壁を作る
☆ 杵を動かす仕組みを取り外す
 ・水車(軸ごと)
 ・杵

☆ 壁板を貼る
 ・幅20ミリ、板厚3ミリ
 ・交互に10ミリずつ出っ張らせてログハウスの
  イメージとした
 ・窓と入り口は板張りの過程で作る

☆ 窓枠を作る
 ・

☆ 入り口の引き戸を作る
 ・戸には開閉のため取っ手を付ける
 ・引き戸の上下のガイドを作る
  上のガイドはL字型、引き戸がスムースに動ける
  隙間を作る
  下の写真を参照 

屋根を作る
☆ 取りはずせる構造の屋根
 ・屋根の材料はシナベニア
 ・45度の勾配
 ・小屋に固定する出っ張りを作る
 ・小屋とピッタリの寸法に仕上げる
  のがポイント

  右の写真は斜め下から撮影した
  屋根の木組み 

☆ 屋根材を探す
 ・最も目立つ場所、古いイメージと
  風格を醸し出す屋根材を検討
 ・牛乳パックを短冊に切り、板葺きの屋根風な雰囲気を狙った …リサイクルの牛乳パック

☆ 屋根材を加工する
 ・牛乳パックを30ミリ幅、長さは牛乳パックの高さ(95ミリほど)の短冊に切る
 ・表裏ともサンドペーパーを当て、コーティングを剥がす
  屋根の風合いを出し、接着し易くする
 ・10ミリ幅、長さ15ミリの切込みを入れる
 ・チョコレート色のつや消しタイプの塗料を塗る

☆ 屋根材を貼る
 ・屋根材に塗った塗料が完全に乾いてから、貼り付ける作業を開始
 ・屋根の下部から屋根材を10ミリずつづらし(20ミリ重ねる)貼り付ける
  屋根材が三重に重なって屋根の風格が出る

  貼り付けの状況は下の写真を参照 

☆ 棟木と幅木を接着して完成

水道の水を動力にクルクル、カタカタコットン 軽快に稼動中



  

記事の無断転載お断り、初版掲載 2006年11月

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