「若き獅子の凱歌」ネタバレ感想
※一部色を変えて伏せてあります。

ジュブナイル調の訳、というのが読みはじめの第一印象。地の文の言葉がかなり口語っぽくても、そういうものかと思うことにする。
1章の「プロテクター」に爆笑。スポーツや格闘技で使うプロテクターを思い出して、任官試験に挑むマーチンがもこもこに着ぶくれした完全防備の姿で現れる図が浮かぶ。おかげでとてもリラックスして読み進む。
そして9章。最初の5,6ページ、意味のとりづらい文章が続く。それまでは少なめだった単純な誤字がいきなり増える(その後また減った)。
さらに、原書では"Best leave him, sir. He's gone, I'm afraid."と書かれていた場面。
邦訳では、マーティン(名前の表記が変わってしまったのは時代の波か)が某カナダ人パイロットになってしまった気がする。どうして「気を失ったみたいだ」とぼかしてしまったのだろう。百戦錬磨の水兵であるティンカーの発言ということもあって、「ああ、気を失ったのか」と素直に信じてしまう。それとも"He's gone, I'm afraid."は、この場面では本当にこの程度の意味しかないのか。
どうもすっきりしない。

2006.1.30 サマキ
2006.1.31 誤字脱字・表記揺れなど追記

ついでに、短い話で数も少なかったので、気のついた誤字脱字など。
(対照する際に使った原書はBand of Brothers Alexander Kent Heinemann Books 2005)
P26L1 海の神ポセンドンポセイドン
P26L10 目と目が会った合った
P39L15 イプ粘土→イプ粘土
P49L4 もし大砲が利用できるらばできるならば
P49L7 眉を潜めたひそめた顰めた
P81L4 便乗のお客さま一人もいないんだ→お客さま一人も
P92L6 海尉(サー)!→候補生(サー)!※この場面は海尉不在
P115L10 それは まるで→読点が落ちているか、余分な空白
P118L6 気持ち落着いた→気持ち
P132L4 濡れそびて→濡れそぼちて・濡れそぼって
P141L13 ない。 ただ→行末に余分な空白。あるいは、L14の行頭一字下げ忘れ
原書では、この空白のところで改行されて段落が分かれている
P154L8 くずぐずしてはいられない→ぐずぐず
P162L2 つきそうだ…… 彼は→妙な空白
原書では、この空白のところで改行されて段落が分かれている
P162L6 それだのことでね→それだけの
P162L7 ことででさあ!→ことさあ!
P162L12 ケネスはかなり→ケベス ここで川柳を1つ。「キーボード、Bの隣はNだった」
P163L12 ことだが…… 栄光は→妙な空白
原書では、この空白のところで改行されて段落が分かれている
P180L9 奴らに物見せてやったぞ!→目に物見せて
P181L3 笑いで顔が裂けている→怖い、怖いよ!
すみません、最後のはひとりごとです。

続いて、表記揺れで、できれば揃えてほしかったものなど。
P20L12 マーティン・ダンサー→他の巻では「マーチン・ダンサー」
P53 L11 得るところがある→P52L12などでは「えられるものだ」とひらがな
P54L10 顔を逸(そ)らし→P31L4では「顔をそらした」とひらがな
P68L10 ラミリー号(Ramillies)→P104L1、同L4では「ラミリーズ号」(原書は同じRamillies)
P74L3 ボストン大虐殺事件(the Boston Massacre)→P161L3では「ボストン大量虐殺事件」(原書は同じthe Boston Massacre)
P108L14 高みへ昇って→P103L8では「高みへ登る
P139L8 ボートの測鉛索(the boat's lead-and-line)→P133L16では測深索(line)
P141L9 仄めき→P93L10では「ほのめき」とひらがな
P141L11 駆けあがってゆき→P143L1では「踏んでいき」「進んでいく」など
P155L15 どうにかうまくやっていく→P63L16などでは「旨く
P162L2 押し退けて→P115L9では「突きのけろ」、P116L10では「突きのけようと」など

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