雪の日 1999年2月6日


数日前、長崎に雪が降りました。

昔は年に数回は長崎でも雪が積もっていたのですが、

最近はちらほらと雪が舞う事はあっても、ほとんど積もることはありません。

今回も、積もったと言ってもうっすらとなんですが、

何しろ、雪になれていない南国人の事、すぐに交通がパニックに陥ります。

高速や、バイパスなどの自動車道は、動けない車でうずまり、

ひどいドライバーは、乗り捨てて帰ったりするものですから、通行止めになり、

そこから、他の幹線道路まで大渋滞となります。

日が昇ると、一応道路は通れるのですが、渋滞は、しばらく続きます。

全く、雪国の人には信じられないでしょうね。

そんな日の話です。

私がバスに乗っていると、五十がらみの作業服姿のおじさんが乗ってきました。

なんだか、バイクで仕事場に行く途中で、路面凍結のため、

あきらめてバスに乗ったようで、時間をしきりに気にしています。

そして、後ろに座っているおばさんが携帯電話を持っているのを発見すると、

「その携帯は使えるんですか?ちょっと貸してください。」と言って、

「使い方がわからないんでダイヤルしてください。」と、電話番号を言い始めました。

職場のようです。

おばさんは言われるままにダイヤルしておじさんに渡すと、おじさんは電話を耳に当て、

しばらくして「話し中だ・・・」と言っておばさんに電話を返し、

しばらくたって、またダイヤルしてもらいましたが、また話し中。

3度目に電話が通じたと思ったら、車内中に鳴り響くような大声で、

「もしもし!ああ、○○だけど、雪でバイクに乗れないから、バスで行くよ。

すごい渋滞で、遅れるから!」と言って、電話をおばさんに返しました。

そして、いくつ目かのバス停で降りて行きました。

このやり取りを 私はすぐそばの席で見ていたのですが、

この間、おじさんから、おばさんに対して、一言も

「ありがとう」という言葉が発せられる事はありませんでした。

私は心の中で、

「おいおい、小学生だって、ありがとうって言うよ。」

とつぶやいたのでした。

テレビの前のチビッコは決して真似をしないように!