す じ ぽ ん
長崎の人間は、チャンポンを良く食べます。
出前を取るのも、ラーメンよりチャンポンの方が
圧倒的に多いのです。
ところが不思議な事に飲みに出ると、
食べたくなるのはチャンポンでなくてラーメンに
なってしまうようです。
考えてみるに、チャンポンは、麺も太いし具も
野菜や魚介類など盛りだくさんで
しっかりとした食事になってしまうため、
飲んだ後ちょっと小腹がすいた時には、
重たいからかもしれません。
そんな時には、麺も細く、具もあっさりの
ラーメンが良いのでしょう。
ですから飲み屋街には、ラーメンやさんが結構あります。
そして、そんなラーメン屋さんにはオデンが置いてある事が
良くあります。
中でも銅座地区と呼ばれる夜の繁華街一帯で、
ひそかに流行しているのは
「すじぽん」と言う食べ物です。
これは、私の知る限りでは思案橋にある
「なりすえ」と言うラーメン屋さんが
元祖のようなのですが、どういうものかと言うと、おでんの「スジ」を
5〜6本分串からはずし、皿にのせて「ポン酢」をかけ、
小ネギのみじん切りをたっぷりかけて出してくれるのです。
これに七味をかけて食べるとすごく美味しいんですよ、これがまた。
私は仕事が終わった後、時々この店で
「すじぽん」と冷や酒をヤリます。
この時の酒は「吟醸」とか「純米」などと言う
上等な物ではなく、ごく普通の安酒を、
ビール会社の名前の入ったコップ(グラスと言うようなものではなく
まさにコップと言う名前がぴったり)になみなみと注いでもらいます。
この「すじぽん」、今では「なりすえ」以外でも
数軒の店で出しているようです。
ただし、たいてい品書きには書いていないので、これを注文するのは、
結構通人かも知れません。
あるお店では、カタカナで「スジポン」と
書いて貼っていたら、OL風の女の子が
「スポンジって何ですか?」と聞いたそうです。
皆さんも長崎にお越しの節は、「すじぽん」を
出してくれる店を探して試してみましょう。