ナ イ フ




バーテンダーがよく使用するのはペティー・ナイフといわれる小型の洋包丁です。

私は調理師学校出身で、料理人をしていた経験がありますので、ナイフを置く時

には刃を外向きに置く癖があります。

ところが、バーテンダーの世界では、刃を内側にむけておくようなのです。

理由は、カウンターの向こう側にはお客さまがいるので、お客さまの方に刃を

向けるのは危険だという事のようです。

しかし、私の考えでは、カウンターの上にナイフを置くということはありえないし、

作業台にナイフを置けば、向こう側は仕切りがあるので、向こうに刃を置いても

危険はないと思います。

それよりも、何かのはずみで作業台に手を付いた時に、刃が自分の方を向いていたら

危険が大きいと考えますので、私は調理師学校で教えられた通りに、刃を向こう向きに

置くようにしています。

調理師学校では、入学してからの数ヶ月は包丁研ぎばっかりさせられました。

おかげで、ペティはもとより、西洋料理の牛刀、日本料理の薄刃、出刃、柳刃、から

中国料理の菜刀に至るまで、ひととおりの研ぎ方を覚えました。

でも、自分で納得できるくらいまで研げるようになったのは、卒業後、何年も修行を

重ねてからです。

切れない包丁ほど危険でイライラするものはありませんからね。

弘法は筆を選びませんが、職人は包丁を選びます。