コガタスズメバチ Vespa analis insularis Dalla Torre,1894 |
和名:コガタスズメバチ,学名: Vespa analis Fabricius ,英名:yellow-vented hornet 海外では,インド,東南アジア各国,中国,シベリア南東部,台湾など、アジア各地に広く分布します. 以下の3亜種が北海道から沖縄県八重山諸島まで広範囲に生息しています.我が国では最も広範囲に分布する種で,本州の西南暖地では平地から低山地にかけて普通に見られます.キイロスズメバチと共に都市環境に対する適応能力が高く,都市とその周辺で多発し問題となっています. 日本本土亜種 Vespa analis insularis :北海道から大隅諸島まで広範囲に生息 体長は女王バチ25〜30mm,働きバチ22〜28mm,オスバチ23mm〜27mmで,5種のなかでは中位の大きさです. 営巣場所は樹の枝や家屋の軒下などの開放的な場所です.巣は外皮に覆われたボール状をしていますが,女王バチが単独で巣作りをしている時期にはトックリを逆さにしたような形をしています.これは本種と宮古島以南に生息するツマグロスズメバチのみの特徴で,巣内の保温と外敵の侵入防止のためだと考えられています.最盛期には巣の大きさもタテ30cm×ヨコ25cm位になり,巣盤数は2〜5層,育房数は1,000房位になります. 越冬を終えた女王バチが5月中旬頃に単独で営巣を開始します.働きバチの羽化は6月中旬で,活動が最も活発となる9〜10月には100頭を越えます.オスバチと新女王バチは9〜11月に羽化します.新女王バチの羽化数は営巣規模により異なりますが,50〜200頭です. 幼虫の餌としてハエ,アブ,小型の甲虫類やハチなどあらゆる昆虫を狩ります.攻撃性,威嚇性は5種の中では弱い方で,巣を刺激しないかぎり刺傷被害が発生することはまれです.しかし,ひとたび巣を刺激すると激しく攻撃してくるため,剪定作業中などにしばしば刺傷被害が発生しています. |
営巣初期の巣(トックリ型をしている) | 営巣中期の巣(ウバメガシに営巣) | 営巣中期の巣(ツツジに営巣) | 成熟巣(アラカシに営巣) |
軒下に営巣した成熟巣 | ヤブカラシを訪れた働きバチ | アベマキの樹液を舐める働きバチ | 朽ち木内で越冬する新女王バチ |