TOPメニュー都市のハチ問題 > 都市で多発するスズメバチ

都市で多発するスズメバチ

都市で多発するスズメバチ自治体のスズメバチ対策

1980年頃から,周囲に丘陵地や山地をもつ全国各地の都市やその周辺で,大型のスズメバチの仲間(スズメバチ属 Vespa )が多発するようになりました.全国的な発生動向は地域や年次により様々ですが,各地とも2〜3年周期で不規則な変動を繰り返しながらも増加傾向にあります.

本州西南暖地の都市部において増加傾向が著しいのは,キイロスズメバチとコガタスズメバチの2種です.この2種は営巣場所や採餌習性に柔軟性があり,都市環境に対して高い適応能力を持っています.そのためこの2種のいずれかが各地で優占種となっていますが,この2種以外のスズメバチも少なからず発生がみられ,そのしたたかな適応能力に感心させられます.

都市の環境は,スズメバチにとって餌や営巣場所が十分に確保され,天敵も少なくて意外と住みやすいのかもしれません.人間の手による駆除の影響も,もともと”昆虫は多産多死”であることを考えれば,それ程大きくはないと思われます.

なぜ都市部でスズメバチが多発しているのでしょう? その原因としては次のような理由が挙げられていますが,おそらくはこうしたことが複雑に関係し合って,現在のような都市部におけるスズメバチの多発状況を作り出していると考えられます.



(1)

丘陵地の宅地化によりスズメバチの生息域と人間の生活圏が重なった.

(2)

雑木林の荒廃や,植林により山林における生息適地が減少し,市街地に進出した.

(3)

都市緑化の推進により多種多様な樹木が植樹された結果,市街地で餌資源が増加した.

(4)

衛生害虫に対する住民の意識が変化し,不快感や恐怖感を抱く人が増加した.

(5)

有機塩素系殺虫剤(BHCなど)の使用が禁止されたり,散布量が減少するなど,殺虫剤の使用形態の変化が餌資源の増加につながった.

(6)

ジュースなど空き缶の放置され,成虫の良い炭水化物源となっている.

(7)

天敵のオオスズメバチが減り,他のスズメバチにとって巣を襲われる機会が減少した.


一番大きな理由としては,宅地開発によりスズメバチの生息域と人間の生活圏が重なったことだと考えられます.農山村地域のように十分な空間があれば,人とハチの生活場所が重なることも少なく,十分共存が可能ですが,人口が多く住宅が密集した都市環境下ではお互いに接触が避けられず,ハチは人を刺す恐ろしい虫として駆除の対象となってしまいます.

都市部におけるスズメバチの多発状況は今後も続いていくでしょう.都市生態系の一員として,スズメバチとも上手に共存していく必要がありそうです.そのためには,スズメバチの生態を正しく知り,”正しく怖がる(必要以上に怖がらない)”ことが大切です.