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何年にもわたって同じ場所に営巣するモンスズメバチ


名古屋市の東部,千種区にある東山動植物園の周辺はモンスズメバチの営巣が極めて多い地域です.植物園の中にある岐阜県白川村から移築された合掌造りの建物には,毎年といってよいくらい,モンスズメバチが巣を作っています.

営巣場所は東側の妻部分で,いくつもの巣が重なって作られています.2006年はこの巣がチャイロスズメバチに乗っ取られ,巣を観察した9月18日の時点で,飛んでいるのは全てチャイロスズメバチでした.また南西角に立っている小屋の屋根にもモンスズメバチが営巣しています.この場所は4年前にも同じ所に営巣が見られました.

建物は屋根の痛みが激しいため,2007年1〜6月にかけて屋根の葺き替えが予定されています.そのため,巣は2007年1月19日に撤去され,植物園で保管中です.屋根の葺き替えが,モンスズメバチの営巣にどのような影響を与えるのか,今後の発生状況に注目しています.

また,この他にも同じような場所に何年にもわたって営巣する事例が時々見られます.


合掌造りの建物 東側妻部分の上部に営巣 2000年10月27日
2002年8月13日 2003年の10月23日 2005年8月2日
2006年9月18日 年別の営巣場所 2007年1月19日
取り除かれた巣

何年にもわたって同じ場所に巣作りする事例がキイロスズメバチやモンスズメバチでしばしば見られます.下の画像は名古屋守山区の民家の天井裏で,工事のため天井を取り除いたところです.写真からキイロスズメバチの巣が6個とモンスズメバチの巣が3個確認できます.


民家の天井裏(守山区) 2003年2月10日 C:モンスズメバチ,S:キイロスズメバチ


下の画像は岐阜県海津市の民家の軒下で,西側に古いキイロスズメバチの巣が4個,北側に2個あり,大きい方の巣は撮影時に活動中でした.