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社会寄生とは? |
スズメバチ科のハチは,巣を単位とした集団生活をしており,(1) メスに繁殖をする個体(女王バチ)と繁殖をしない個体(働きバチ)の区分が存在する,(2) 世代の重なりがある,(3) 協同で子育てをするという共通性がみられます.アリも含めて膜翅目の中では最も進化したグループだと考えられており,社会性のハチ類(social wasps)と言われます. 通常は,越冬を終えた女王バチが単独で巣作りを開始しますが,チャイロスズメバチは,自ら巣を創設することをせず,働きバチが羽化後のキイロスズメバチやモンスズメバチの巣に女王バチが単独で入り込み,相手の女王バチを殺して,巣を乗っ取ることが知られています. これを”社会寄生”と言い,このような性質を持ったスズメバチを”社会寄生性のスズメバチ”と呼んでいます. チャイロスズメバチの場合は,最初は乗っ取った巣の働きバチが子育てをしますが,チャイロスズメバチの女王バチ自身も働きバチを生むため,巣内にモンスズメバチやキイロスズメバチの働きバチとチャイロスズメバチの働きバチが同時に存在する時期を経て,最終的にはチャイロスズメバチの働きバチと入れ替わっていきます. この他にもヤドリスズメバチとヤドリホオナガスズメバチの2種が,それぞれツヤクロスズメバチとシロオビホオナガスズメバチの巣を乗っ取ることが知られています.この2種の女王バチは全く働きバチを産まず,オスバチと新女王バチだけを産みます.そのため,子育ては全て乗っ取った巣の働きバチが行います. |