スズメバチによる刺傷被害刺傷被害発生情報 > 刺傷被害発生情報2009

新聞記事で見る全国の刺傷被害発生情報 2009


【スズメバチに2人が刺される  岐阜県】
 7月12日午後3時頃,多治見市の笠原運動公園にある展望台のあずまやで,小学生2人がキイロスズメバチに刺され,救急車で病院に搬送され手当てを受けたがいずれも軽症.

【オーナーのコメント】
 キイロスズメバチによる刺傷被害だと思われる.昨年も7月19日に新潟県で22人が刺される被害が発生している.
 キイロスズメバチは最初の営巣場所が狭くなると,広い場所へ引っ越しをする習性がある.今はちょうどこの時期に当たっており,しばしば刺傷被害が発生する.また,駆除に際しては,元の巣を見つけ出して一緒に駆除しないと,元の巣からやってきた働きバチにより何度も再営巣する可能性があるので注意が必要である.引っ越しについて詳しく知りたい時は,「引っ越しをするスズメバチ」を参照して下さい.


【ハチに刺され男性死亡  青森県】
 7月17日午前11時10分頃,弘前市内の山林へ山菜採りに来ていた69歳の男性が,右手甲をハチに刺され,救急車で病院に搬送されたが死亡が確認された.

【オーナーのコメント】
 おそらくはスズメバチ(キイロスズメバチかオオスズメバチ)であろうが,時期的にはアシナガバチの可能性もある.
 近くに病院のない場所での刺傷は,時として死亡につながることがある.こうしたケースは毎年のように発生しており,秋のキノコ狩りのシーズンにもこうした事故が起こりやすい.山林内で行動する時は周囲の状況に常に注意を払う必要がある.また,単独行動は厳に慎むべきである.


【スズメバチに5人が刺される  山形県】
 7月22日夜,新庄市で登山者が5人がハチに刺され,病院に搬送されたがいずれも軽症.登山者や消防署員の話によると,刺したハチは黒っぽい小さなハチで,クロスズメバチの可能性があるとのこと.

【オーナーのコメント】
 この時期にクロスズメバチの集団刺傷被害は考えにくい.おそらくはキイロスズメバチではないかと思われるが?


【スズメバチに11人が刺される  兵庫県】
 8月21日午後0時頃,宝塚市のゴルフ場で,男子ゴルフの関西オープン選手権を観戦中のギャラリー11人がハチに刺され,2人が救急車で病院に搬送されたがいずれも軽症.林の中にあったスズメバチの巣に触れるなどして襲われたらしい.

【オーナーのコメント】
 コガタスズメバチかキイロスズメバチのいずれかと考えられるが,発生場所や被害の規模から考えるとキイロスズメバチの可能性が高い.
 少人数では何ともない場合でも,多人数で行動した際に被害が発生することが多い.被害防止のためには事前の十分な注意が必要である.


【スズメバチに6人が刺される  北海道】
 8月24日午前10時45分頃,虻田郡洞爺湖町で,保育所の子供6人がスズメバチに刺され,病院に運ばれたがいずれも軽症.巣は階段下に作られており,7月までは異常がなかったという.

【オーナーのコメント】
 キイロスズメバチの引っ越し後の巣による刺傷被害だと思われる.7月に行われた点検以降に,この場所に引っ越ししてきたものであろう.7・8月のキイロスズメバチによる刺傷被害は,引っ越しが原因となって発生することが多い.


【スズメバチに50人が刺される  京都府】
 8月25日午前8時20分頃,京都市左京区南禅寺福地町内で,通学中の中学生・高校生と教員,通行人ら計48人がキイロスズメバチに刺され,17人が病院に搬送されたがいずれも軽症.現場に駆けつけた警察官1人も刺された.巣は付近の石垣の中に作られていた.

【オーナーのコメント】
 なぜ突然このように多人数が刺されたかは不明であるが,巣にいたずらされた可能性も考えられる.一度人を刺すとハチは興奮状態になっているため,次から次へと刺傷被害が発生する.2次被害も時々発生するので,被害の拡大防止のためには不用意に現場に近づかないことが大切である.


【ハチに刺され男性死亡  福島県】
 9月10日午前9時55分頃,田村市内の畑で草刈りをしていた51歳の男性が,頭部をハチに刺され,病院に搬送されたが2時間後に死亡.

【オーナーのコメント】
 キイロスズメバチかオオスズメバチであろう.
 草刈り中に刺傷被害発生する事例は少なくないので,作業を開始する前に周辺の様子をシッカリ観察する必要がある.


【スズメバチに2人が刺される  福島県】
 9月13日午前10時頃、双葉郡浪江町の山林で,切り株の脇にあった巣を駆除しようとして2人がキイロスズメバチに刺され、このうち1人がショック状態で一時意識を失い病院に搬送されたが命に別条はない.

【オーナーのコメント】
 キイロスズメバチは攻撃性が強く駆除が難しい.「スプレーで駆除しようとした」とあるが,防護服を着用した上でないと極めて危険である.くれぐれも安易に自分で駆除しようとしないこと.


【スズメバチに30人が刺される  京都府】
 9月20日正午頃,与謝郡与謝野町の大江山中腹(標高約450メートル)の山道で,登山マラソン参加した男女約30人がハチに刺され,5人が病院に搬送されたがいずれも軽症.刺したのはキイロスズメバチ.

【オーナーのコメント】
 マラソン大会時の刺傷被害はしばしば発生している.巣は6mの高さにあったということで,必ずしも危険な場所ではないが,単独で行動している時は大丈夫でも,このように集団で走ったりすると被害が発生することがある.
 以前にも滋賀県でクロスカントリー中の大学生が,同じように高い木の上に作られたキイロスズメバチ巣が原因で被害に遭った事例がある.コースの下調べに際しては,十分に巣の所在を確認する必要がある.


【スズメバチに7人が刺される  大阪府】
 9月20日午後2時20分頃,吹田市の万博記念公園内に遊びに来ていた大人3人と,子ども4人の合計7人がクロスズメバチに刺され,病院に搬送されたがいずれも軽症.

【オーナーのコメント】
 クロスズメバチによる集団被害はそれ程多くはない.地中に巣を作ることや,成虫も小さなため巣に気付かない場合が多い.


【ハチに刺され男性死亡  福島県】
 9月22日午前10時頃,伊達郡川俣町の山林で,キノコ採りに来ていた男性(61)が,オオスズメバチに数ヶ所を刺され,意識不明の重体となった.ドクターヘリで病院に搬送されたが,同日深夜に死亡した.

【オーナーのコメント】
 秋のキノコ狩りなど,山林内で行動する時は,くれぐれも周囲の状況に常に注意を払う必要がある.また,不測の事態に備えて,単独行動は厳に慎むべきである.


【ハチに3人が刺される  福島県】
 9月24日午後4時半頃,いわき市内にある県立ろう学近くの草地で,校外行事の下見中に,教諭3人(男性1人,女性2人)がハチに刺され,病院に搬送されたがいずれも軽症.ハチの種類は不明.

【オーナーのコメント】
 不運な下見中の刺傷被害である.スズメバチは思わぬところに巣を作ることがあり,十分な注意が必要である.おそらくは地中に営巣するオオスズメバチかクロスズメバチと思われる.


【スズメバチに3人が刺される  山形県】
 10月4日午前11時半頃,東村山郡山辺町の町道で,オリエンテーリング大会に参加していた男性が,ハチに頭や腕など十数カ所を刺され,救急車で病院に搬送された.他にも大会に参加していた男性1人と女性1人も腕を刺され病院で治療を受けたが,3人とも命に別条はなく,いずれも軽症.刺したのはスズメバチとみられる.

【オーナーのコメント】
 若い頃オリエンテーリングをやっていたが,当時はハチの知識もあまりなく平気で山野を走り回っていた.参加者が自由に山野を駆けめぐるこのスポーツでは,常にこうした危険がつきまとう.むしろ今まで被害があまり目立たなかったのが不思議な気がする.開催時期等も含めて,刺傷被害防止に十分配慮する必要がある.


【スズメバチに2人が刺される  福島県】
 10月5日午後2時20分頃,田村郡三春町で,草刈り作業中の男性(81)がハチに刺され,ドクターヘリで病院に搬送された.また,約1時間後,取材中のテレビ局カメラマンの男性(37)も頭を1カ所刺され,病院に搬送されたがいずれも軽症.

【オーナーのコメント】
 草刈り作業中にはしばしば刺傷被害が発生する.おそらくはオオスズメバチかと思われるが,作業に際しては周囲の状況に十分注意する必要がある.また,刺傷被害が発生した巣では,ハチが興奮状態になっているため,二次被害も発生しやすい.不用意に巣に近づかないようにする必要がある.


【スズメバチに3人が刺される  愛知県】
 10月10日午後1時25分〜2時半にかけて,名古屋市天白区の天白公園で,20歳前後の女性と公園内の雑木林で遊んでいた小学5年生と,1年生の児童2人の合計3人がオオスズメバチに刺され病院に搬送されたがいずれも軽症.女性は一時フィラキシー症状となり,経過観察のため入院した.

【オーナーのコメント】
 時間と場所を異にして被害が発生している.福島県の事例と同様に,一度刺傷被害が発生した巣では,ハチが興奮状態になっているため,二次被害も発生しやすい.不用意に巣に近づかないようにする必要がある.小学生は翌日駆除された巣の近くで被害にあっているが,女性は少し離れた別の場所で被害にあっており,この巣との関連は不明である.
 12日にTV局の取材で現地を訪れたが,休日のため公園は多くの親子連れなどで賑わっていた.巣は道路から30m位入った雑木林の地中に作られており,駆除後ではあったが,巣の周辺には多数のハチが飛び回っていた.警察により立ち入り禁止の措置が取られていたが,しばらくの間は現場付近に近づかない方が賢明である.
 その後,10月22日にも,この現場から直線で約300m離れた場所でオオスズメバチの巣が見つかり,翌23日に駆除された.現場は遊歩道から10m程離れており,普通に通行するには特に問題はなく,被害も発生していないが,多人数で通行したり,不用意に林内に入りこむと,刺傷被害が発生する可能性が高い.


【スズメバチに4人が刺される  京都府】
 10月14日正午頃,宇治市の府山城総合運動公園(太陽が丘)内の散策路で,遠足に来ていた小学生4人がオオスズメバチに胸や肩などを刺され,病院に搬送されたがいずれも軽傷.

【オーナーのコメント】
 ハチは地面から出入りしており,大きさも3〜4cmとのことであるから,間違いなくオオスズメバチである.本種はこの時期活発に活動しており,攻撃性も強いので注意が必要である.
 13日に市街地の公園内で,本種を調査のため駆除する機会があったが,外役から戻ってくる多数のハチを処理するのに1時間を要した.


【ハチに刺され男性死亡  熊本県】
 10月19日午後1時50分頃,水俣市内の山林で草刈り作業をしていた男性(62)が,ハチに顔面を数カ所刺され,病院に搬送されたが1時間30分後に死亡した.刺したハチの種類は不明.

【オーナーのコメント】
 おそらくはオオスズメバチによる刺傷被害と思われる.9月〜10月にかけて,山林での作業中にしばしば被害が発生するので,作業に当たっては細心の注意と,防護用具の着用が望ましい.


【スズメバチに8人が刺される  静岡県】
 10月25日午後2時10分頃,掛川市内のレジャー施設で,雑木林を散策していた保育園児3人と保育士ら5人の合計8人が,オオスズメバチに頭や背中を刺され,病院に搬送されたがいずれも軽傷.

【オーナーのコメント】
 遊歩道の近くに巣がある場合,少人数で通行した際には大丈夫でも,多人数で通行して被害が発生することが多い.そのため,事前の下見などは,相当慎重に行わないと巣を見つけるのは難しい.
 オオスズメバチの被害は10月に最も多く,11月にも発生することがあるので,山野でのレクリエーションに際しては十分な注意が必要である.