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スズメバチQ&A(生態・駆除・調査に関する質問と回答)

駆除に関する質問と回答調査に関する質問と回答

生態に関する質問と回答

 Q1 

女王バチもやはり人を刺すのですか?

スズメバチの毒針は産卵管が変化したものなので,当然女王バチも人を刺す可能性があります.ただし攻撃性はほとんどなく,直接手で握ったりしない限り,決して人を刺すことはありません.人を攻撃することは逆に反撃を受ける可能性があり,これは「子孫を残す」という女王バチの役目からも決して得なことではありません.ですから女王バチはたいてい逃げ去ってしまいます.

 Q2 

 Q3 

最近,午前中から夕方にかけて,ベランダにスズメバチが出没します.毎日3・4匹がやってきて,人によってきます.

スズメバチが部屋に入ってきます.どこから入ってくるのかわかりません. どうしたら、入ってこなくなるか教えてください.もし,巣があるとすればどのような所か教えてください.屋根裏を見ましたが,巣らしいものは見つかりませんでした.これはキイロスズメバチが引っ越しをするために,新しい営巣場所を探しているのだと思います.

キイロスズメバチは最初の営巣場所が手狭になると,新しく広い場所へ引っ越しをする習性があります.その際何匹ものハチが建物の周囲を飛び回り,人に寄ってきたり,家の中に入り込むことがあります.元の巣は比較的近くにあることが多いのですが,閉鎖空間で外からは見えないので,見つけるのは難しいとは思います.新しい営巣場所が決まれば出没は止まります.

いずれにしても,ハチを追い掛け回したりしない限り,巣以外の場所では危険性は少ないので,心配はいりません.室内を暗くすれば自然に明るい方へ出ていきます.

 Q4 

オオスズメバチらしい蜂が軒下や庭を飛んでいて,近くに巣があるのではと不安です.よい方法があったら教えてください.(6月)

周りの環境がよく分からないので断定はできませんが,敷地の中に巣を作る可能性は少ないと思います.オオスズメバチであれば,木が倒れてできた穴やネズミ穴などを利用して地中に巣を作るか,樹洞などに巣を作ります.

名古屋では,一番最後に巣作りを始めるヒメスズメバチの女王バチが,営巣場所を探して建物の周辺を活発に飛び回っている時期に当たり,しばしば相談が寄せられます.大型のハチなのでよくオオスズメバチと間違えられますが,お尻の端が黒いので判別は比較的容易です.いずれの種にしても閉鎖空間に作られた巣を早期に見つけることは困難です.ハチそのものを駆除するのであれば,どんな殺虫剤も非常によく効きます.また,最近はハチ専用のスプレーも何種類か発売されています.

 Q5 

スズメバチが1・2匹,雨戸の戸袋にやってきます.この蜂はなにを目的にやってきているのでしょうか? また,どう対処すればよいでしょうか?

おそらくヒメスズメバチだと思われます.このハチは戸袋によく巣を作ります.多分戸袋の中に巣があったのではないでしょうか?飛んでいるハチのお尻の先端が黒ければ間違いなくヒメスズメバチですが,もう子育ては終了する頃です.体の大きさはオオスズメバチに次いで大きいのですが,巣の規模は極めて小さく,性質も温和ですから特に心配することはありません.そのまま放置しておいてもそのうちに来なくなると思います.

 Q6 

昨日から急に,窓をあけているとスズメバチが入ってきます.どうしたらよいでしょうか?(9月)

可能性が一番高いのはヒメスズメバチだろうと思います.ヒメスズメバチだけがお尻の先端が黒いのでよく見れば区別がつきます.1998年くらいから,9月に入るとヒメスズメバチのオスバチが高層住宅の上の方を集団で飛び回り,建物にも入ってくるという報告やお尋ねがあります.

4階建てとのことですが,建物は丘の上に建っているのでしょうか?これはヒメスズメバチの交尾に伴う行動で,室内に侵入したハチもおそらくはオスバチだと思われます.ヒメスズメバチは最もおとなしい種類ですし,オスバチは毒針が無いので人を刺しません.室内に入ったハチは手で握ったり振り払ったりしない限り,決して人を刺すことはありません.

 Q7 

コガタスズメ蜂らしき蜂が巣を作りはじめていて困っています.場所は家の南側の大きな窓から1m位横ちょうど家の西南の位置. 地上から2m位の軒下(壁)です.巣の大きさは2〜3cmです.蜂は1匹だけのようです.

お尋ねの件ですがコガタスズメバチではないと思われます.コガタスズメバチは5月下旬頃から巣作りを始めます.9月の終わりになって1匹で巣作りをするとはありません.単独性の狩りバチ(いわゆるドロバチの仲間)が泥の巣を作りかけているのではないかと思います.

ドロバチの仲間は泥で巣を作り,中にクモやイモムシなどを狩って閉じこめ,卵からかえった幼虫の餌にします.巣は一種の共同アパートのようなものですが,スズメバチやアシナガバチのように,集団生活をする社会性の狩りバチとは性質が異なり,巣を守るために攻撃してくることはありません.全く危険性はありませんから,そのままに放置されても差し支えないと思います.

 Q8 

スズメバチは,夕方には巣に帰るのですか?洗濯物は何時頃に取り込めば安心なのでしょうか?洗濯物を取り込むときの注意点など,ありましたら教えて頂きたいのですが・・・.

スズメバチは夜間活動しませんので,営巣活動をしている間は,夜間には当然巣に帰ります.こうした時期に洗濯物に止まることは殆どありません.営巣活動(子育て)が終了すると,働きバチは仕事がなくなりますので,自分の餌をとる時以外はあまり活発に活動しません.

10月以降気温が下がってくると,暖かい洗濯物にハチがとまることがあります.これはスズメバチよりもアシナガバチ(特にフタモンアシナガバチ)によく見られる行動で,10月〜11月に巣を離れた新女王バチが洗濯物や布団に潜り込み,室内に取り込んだ際に知らずにハチを圧迫して刺されることがあります.こうした状態では,ハチが積極的に人を攻撃することは決してありません.

手で洗濯物のシワを延ばしたりする時にハチに触れ刺されるケースが大部分です.洗濯物を取り込む時,ハチが止まっていないかよく確認し,室内でも再度確認しながらたたんでください.もしハチが見つかったら,そのまま外へ持っていって振ってやれば飛んでいってしまいます.

 Q9 

庭にスズメバチがやってきて怖い.紅カナメ(レッドロビン)の生け垣にやってきて,虫を採るというよりは樹液を吸っているようです.(10月)

観察されたとおり,スズメバチが樹液を舐めにやってきてきたものです.スズメバチはアベマキ(クヌギ)やコナラ,ヤナギなどの樹液を舐めに良くやってきます.紅カナメも枝先の黒くなった部分から樹液を出すため,スズメバチの他にキタテハやウラギンシジミなどのチョウが口吻を延ばして樹液を舐めているのを観察したことがあります.巣の近く出なければ特に危険はありませんから,そのまま放置しておけば良いと思います.

 Q10 

オオスズメバチの巣を駆除した後も,10匹程生き残っていて怒りまくってます.前より怖くなってます.スズメ蜂の弱点をおしえてください!

オオスズメバチの巣を駆除した後も,外役に出ていたハチが巣に戻ってきて,飛び回っていることがあります.以前,駆除現場を数日後に尋ねたことがありますが,ハチは全く飛んでいませんでした.ですから,まもなくハチもいなくなるのではないでしょうか.また,季節的に見ても営巣活動はほぼ終了する時期です.

もしハチが多数飛んでいるのが午前中だけでしたら,オスバチが巣の近くに来て集団で飛んでいる可能性があります.これはオオスズメバチの交尾行動にともなう現象ですが,駆除後の巣でも起こることがあります.もしオスバチならば毒針が無いので刺しません.スズメバチの弱点は極めて殺虫剤に弱いことです.カやゴキブリよりも弱く,薬がかかれば割合簡単に死にます.しかし,いずれにしても巣には近寄らないのが一番だと思います.

  Q12 

毎年小さいうちに巣を壊していたのですが,今年は少しほっておいたらだんだん大きくなってきました.ハチの数もみるみる増えてきて,どうしたら良いか少々不安なのですが?

何頭かのハチがまだ家の中に入ってきたり,とにかく家から離れようとしません.どうすれば寄りつかなくできるのでしょう?ハチの苦手なものってないのでしょうか?

アシナガバチの子育てもまもなく終わりです.我が家のセグロアシナガバチとフタモンアシナガバチの巣でも,オスバチが見られるようになりました.オスバチが出現するとしばらくして新女王バチが誕生して子育ては終了します.そうなると,働きバチ,オスバチ,新女王バチはもうすることがないので,一日中巣にとまっているようになります.よく人目につくようになるので,急に怖くなって駆除の相談が多くなります.

巣以外の場所で壁などに集団でとまっていることもあります.巣をとってしまっても多分同じ状況になると思います.こうした巣ではハチ達がたまたま同じ場所に集団としているだけで,子育てをしている時のように,組織的に行動している訳ではありませんから,見かけほど怖くはありません.寒くなる頃には次第に数も減ってきます.

先日調査で伺ったお宅では2坪位の2階の物干場に9個の巣がありました.半分以上は手が届くような低い場所にありましたが被害は発生していませんでした.回収した約300頭のハチの内,6割がオスバチで残りが新女王と働きバチでした.ハチを寄せつけなくする方法は,現時点では残念ながらありません.

 Q13 

10月に入ったころから,たぶんアシナガばちだと思われる体長20ミリ程の蜂が暖かい日に,盛んに庭をとびまわっています.

お尋ねのハチはフタモンアシナガバチだと思われます.我が家でも10月下旬頃から急に庭を飛び回るようになりました.これは全てオスバチですので人を刺す心配はありません.しばらくの間,晴天で暖かい日には庭中を飛び回ると思います.寒さがやってくるとオスバチは順次死んでしまいますので,しだいに数は減って姿を見せなくなります.

 Q14 

スズメバチはこれからの季節は交尾をして卵になって冬を超すのですか?その卵は何処に産むのでしょうか?また今年の対策,来年巣を作られるのか,来年の対策などありましたら教えてください.

スズメバチは交尾をすませた新女王バチのみが朽ち木や土の中などで越冬し,翌年一匹で巣作りを開始します.詳しくはHP中のスズメバチの越冬のページを参考にしてください.
 特に有効な予防対策はありませんし,スズメバチを寄せ付けないような方法も残念ながらありません.

 Q15 

大きな蜂が我が家の庭で他の虫を攻撃し,自分の縄張りを守っているようです.どうしたらよいでしょう?

大きなハチというのは黒い丸々としたハチではないでしょうか?これはおそらくクマバチかと思います.クマバチのオスバチ(針がないから刺さない)は,4月から5月にかけて庭や空き地,山道の上空に縄張りを作り,ホバリングしながらメスバチが来るのを待っています.縄張りの中にくるものは,チョウでも他のハチでも何でも追い払おうとします.我が家の庭でコガタスズメバチを追いかけるのを見たことがあります.いずれにしてもこうした行動を取るのはオスバチですから,刺される心配は全くありません.

また,フジの花などにもよくメスバチがやってきますが,手で握ったりしない限り,決して人を刺すことはありません.クマバチは枯枝や,古い住宅の梁などに,囓って丸い穴を開けて巣を作りますが,スズメバチやアシナガバチと違って集団生活をしませんから,巣を守るという性質はありません.



駆除に関する質問と回答

 Q51 

玄関先に作られたコガタスズメバチ巣を取るべきか,このまま育てるべきか,ぜひともアドバイスをお願いいたします.

非常に判断が難しいところです.これが玄関先でなければそのままにしておけば良いと思いますが,いくらコガタスズメバチがおとなしいといっても,玄関先ではお客さんが驚ろかれそうですネ.ですから「駆除もやむを得ないかな」という気がします.巣の形がまだトックリ型であれば,巣には女王バチが一匹しかいません.殺虫剤をかけるのもかわいそうな気がしますので,女王バチの留守をねらって,棒か何かで巣を落としてしまったらいかがでしょう.ハチは巣を放棄して別の場所に行ってしまいます.巣のあった場所には殺虫剤を噴霧しておくと良いでしょう.

 Q52 

スズメバチが平屋屋根と壁の間の小さな穴から出入りしており,屋根裏に巣を作っています.玄関の近くなので朝家を出る時が一番怖いです.自分で何とかできないものでしょうか?

おそらくキイロスズメバチだと思います.キイロスズメバチは比較的攻撃性が強いため刺傷被害がよく発生します.玄関を出入りしていて刺されたケースや庭で草取り中に刺されたケースなど,巣に刺激を加えなくても被害にあうことがありますので,駆除をした方がよいと思います.駆除には危険が伴いとても個人の手には負えませんから,プロに頼まれるのが賢明です.また天井裏を覗くのも危険ですからやめて下さい.駆除が一番やっかいなのがキイロスズメバチです.

 Q53 

7月の下旬頃から,軒下に蜂が巣を作りはじめました.駆除したのですが,また同じ場所に蜂が巣を作り始めるのです.これがどのような種類の蜂で,どのような対策をすれば巣を作らないようになるのか等の情報を教えてください.

お尋ねのハチの巣はキイロスズメバチの引っ越し後の巣だと思われます.キイロスズメバチは開放空間にも,遮閉空間にも巣を作ります.飛んでいるハチに光が当たった時,全体がオレンジ色に見えればキイロスズメバチに間違いありません.巣の表面にも多数の働きバチが止まっていると思います.キイロスズメバチとモンスズメバチは7月から8月にかけて,巣が手狭になると新しい巣へ引っ越しをする習性があります.

元の巣は比較的近く(数十m以内のことが多い)の閉鎖空間(庇の中,壁の間など)に作られていることが多いようです.そして元の巣で最後の働きバチが羽化するまでは両方の巣を行き来し,最終的に新しい巣に合流します.ですからこの巣を除去しても,次々と元の巣から働きバチがやってきて新しく巣を作ります.

キイロスズメバチは大変攻撃性が強く危険ですので,駆除は専門家にまかせる必要があります.お便りのような状況では,巣が大きくなると,下を通行するだけで刺されるケースも考えられますので注意してください.モンスズメバチも同じように引っ越しする性質がありますが,引越後の巣も閉鎖空間に作られることが大半です.

 Q54 

ハチが毎年巣を作るので,できれば初めから巣を作らせないようにしたいのですが, 何か良い方法はないのでしょうか?やはり巣は夏場に駆除したほうが良いのでしょうか.ハチよけスプレーのような物は売っているんですか?

毎年巣が作られるいうことですが,ハチに巣を作らせないような方法は残念ながらありません. 毎年越冬した女王バチが5月頃から一匹で巣作りを始めます.この時に気がつけば棒などで巣を落としてしまえば大丈夫です.女王バチは人を攻撃することがありません.なぜなら,どこか別の所で巣作りをする方が,確実に子孫を残せるからです.攻撃はしばしば人の反撃を受けます(殺虫剤をかけられる・・・).これはハチにとって決して良い選択とは言えません.1回落としてもまた同じ場所にまた巣を作り始めた時は,巣を落とした後へ殺虫剤を吹き付けておけば良いでしょう.スズメバチやアシナガバチ除けになる方法は残念ながらありません.

 Q55 

巣の撤去後に蜂を寄せ付けないためには,どのような処置をすればいいのでしょうか?蜂の種類はわかりません.

いつ頃からなのか?ハチの種類は?どこの地方か?不明な点が多いので明確にお答えすることは難しいですネ. 一般論で言えば、スズメバチにしろアシナガバチにしろ殺虫剤をかけてから巣を落とせばだいじょうぶです.1回落としても同じ場所にまた巣を作り始めた時には、巣を落とした後へ殺虫剤をシッカリ吹き付けておけば良いと思います.我が家のセグロアシナガバチの例では,殺虫剤を噴霧しなかったので合計3回巣を落としました.

 Q56 

ハチがたくさん集まっています.巣から判断するとアシナガバチにも見えるのですが,蜂自体は2〜3センチ位もある大型なのでスズメバチかもと思っています.何か良いアドバイスがあれば教えて下さい.

お尋ねのハチは多分アシナガバチだと思います.アシナガバチの仲間は既に子育てが終わり,ハチ達は特にやることもないので一日中巣にとどまっています.この時期に巣を作るとは考えられませんので,ハチが集まっているだけか,最初からそこに巣があったのではないでしょうか.

この集団にはオスバチ(針がないので刺しません),働きバチ,新女王バチ(攻撃性はほとんどない)が含まれており,子育ての最盛期に比べて組織だった行動をとることはなく攻撃性はありません.沢山のハチが巣に集まっており恐ろしげにみえますが,たまたまハチが1カ所に集まっているだけと考えて差し支えありません.これらのハチは時々自分の餌(花の蜜など)をとりに出かけています.ですからこの時期の対処法として.特に危険はないのでそのままにしておくよう指導しています.

どうしても駆除が必要でしたら,市販のスプレー式殺虫剤(ゴキブリ用でも何でも可)を風上から噴霧すれば駆除できます.ハチは殺虫剤には極めて弱いので簡単に駆除できます.その際薬のかかったハチが周りに飛びますが,薬剤がかかったハチは刺しませんので怖がらずに薬剤を噴霧しつづけて下さい.その際巣にはあまり近づく必要はありません.それでも不安がある間合いはハチ専用のスプレーが市販されていますので,薬局かホームセンターなどで購入して下さい.このスプレーは20秒ほどで薬剤を噴霧してしまいます.水鉄砲のように薬剤を噴霧し,3m位飛びますので、薬剤がかかればハチは飛ぶ間もなく落下します.ただし単価的にはかなり割高です.

 Q57 

スズメバチのトックリ型の巣を落としたのですが,失敗してしまい,外側だけがとれた状態です.怖いのでそのままにしてありますがこれからどうしたら良いのでしょうか?もし巣の中に卵があったとして,卵がかえって成虫になる可能性はあるのでしょうか?また,戻ってきた蜂が近くに再度巣を作る可能性はあるのでしょうか?

コガタスズメバチの初期巣は独特のトックリ型をしています.この時期は女王バチが一匹しかいませんから,棒で落とすだけでも駆除が可能です.残った巣盤も落としておいて下さい.多分女王バチはどこかへ行ってしまって,もういないのではないかと思います.

女王バチは人間を攻撃して反撃を受けるよりは,別の所で巣を再建する方法を選びます.なぜならとにかく生き延びて子孫残す方が利口な選択だからです.ですからそんなに怖がる必要はないと思います.卵がかえって幼虫になっても餌がもらえませんから,幼虫はすぐ死んでしまい,成虫になることはありません.多分女王バチはどこかへ行ってしまって,もういないのではないかと思います.女王バチは人間を攻撃して反撃を受けるよりは,別の所で巣を再建する方法を選びます.万一近くに巣を再建するようなら同じように落とせば良いでしょう.

 Q58 

天井裏のスズメバチの巣を駆除しました.今巣はどうなっているのでしょう?臭いは今のところわかりませんが,巣にいた幼虫などは腐っているのでしょうか?

成虫はもう死んでしまって一匹もいないと思います.幼虫も既に乾燥してしまっているのではないでしょうか.標本用にもっと早い時期に駆除した巣は,梅雨時など湿気の多いときは2年ほど臭いましたが,天井裏の巣は部屋まで臭ってくるようなことはないと思います.もし天井裏に上がることができるのなら,もう危険はありませんから一度覗いてみたらいかがでしょう.

 Q59 

スズメバチの巣を4・5日観察していますが,まったく蜂の出入りはありません.もうこの巣は空になっていると考えて良いでしょうか?駆除にあったての注意点,アドバイス等を教えてください.

ハチの出入りが4・5日間も無いとのことですから,既に営巣活動を終えた巣だと思います.どうしても駆除されるのでしたら,念のため巣穴から殺虫剤を数秒間スプレーして巣を取り除けば大丈夫です.特に差し支えなければ,もうしばらくそのままにしておいてから除去した方が良いでしょう.

 Q60 

ベランダの柵に直径10センチ程の巣が出来ています.あまり刺激しない様に・・・ と今はそっとしていますが,冬になったら巣を取り払うつもりすが大丈夫でしょうか?素人考えで,冬になれば蜂もいなくなるのでは・・・と思っているのですが.

アシナガバチが巣を作っているようですね.営巣場所によっては,新女王バチが巣に止まったまま越冬することがありますが,ベランダの柵では越冬は困難ですので,まもなくハチは越冬場所に移動し,巣からいなくなると思います.また子育ては既に8月に終わっていますので,ハチには攻撃性はなく,手で握りでもしない限り刺される心配はありません.

 Q61 

スズメバチは冬を迎えた巣は使わないとのことですが,3月にこの巣を素手で取っても大丈夫でしょうか?

冬以降は巣の中は空になり,再利用されることはありません.ですから巣を素手で取っても全く危険はありません.うまく取れたら,適当なケースに入れて飾っておくこともできます.その際は防虫剤を忘れずに入れて下さい.



調査に関する質問と回答

 Q101 

コガタスズメバチの巣を手に入れました.素人なので,巣をどのように観察し,記録すればよいのか,わかりませんので教えて下さい.

標本にするのならそのままでもかまいませんし,一部をハサミやナイフなどで切り開いて中を見えるようにすると良いと思います.調査項目としては,巣の大きさ,巣盤の数,育房の数などを記録すれば良いでしょう.もしわかれば,営巣場所や巣の高さも記録します.雌雄は,触覚と腹部の形状で区別できます.

 Q102 

自分でも越冬調査をしてみようと考えたのですが,もう少し詳しい(具体的な調査方法)を教えて下さい.例えば,1 越冬に適している倒木の特徴,2 越冬している位置(倒木の中心部or表面近く),3どのような道具を使えばよいか,4 調査が終わった後の個体の扱いなど.また、夏の間にスズメバチの死骸を多数手に入れたのですが,標本の作成法, 雌雄の識別法等教えて下さい.

越冬場所は雑木林などのあまり日光の当たらない東向きや北向きの斜面です.切り株からも見つかることがありますが,やはり倒木を探す方がよいでしょう.木の太さは直径20cm以上,なるべく水平に倒れているのが理想的です.その際,木は地面から浮いている方が多頭越冬の可能性があります.種類は当地では圧倒的にアカマツが多いのですが,アベマキ(関東ではクヌギ)などでも見つかります.

倒木は適当に腐っている必要がありますが,腐りすぎて土のようになった木からはほとんど見つかりません.あまり人家から離れた場所よりも,市街地に隣接した緑地のほうが見つけやすいでしょう.倒木の根本に近い場所の方がよく見つかります.木の組織に平行に穴を掘る方が楽なためだと思われます.途中で木が折れていた場合でも,やはり折れ口の周辺でよく見つかります.越冬場所には湿気が必要ですので,乾燥した木からは見つかりません.横たわった木の側面から下部でよく見つかります.表面からの深さはそれほど深い位置ではありません.樹皮が残っている木では,樹皮の直下で越冬していることもあります.越冬室への入り口付近には,必ずおがくずが落ちていますので探す際の目安にしてください.非常に荒い特徴的なおがくずですので,倒木の下を丁寧に眺めればわかると思います.

調査には小型のバール(釘抜き)を使っています.あまり大きいと疲れますし,小さいと木を削るのが困難です.見つかった個体は,倒木の根本などにハチを置いて,削った木や樹皮などをかぶせてきます.条件さえ良ければその場で越冬しますし,都合が悪ければ適当な場所へ移動すると思います.また容器に入れて持ち帰って,冷蔵庫へ入れておけば越冬させることができます.ただし容器内の過湿と乾燥に注意する必要があります.昆虫標本の作製は自然乾燥のみですので,特に形を気にしないのならそのままでもかまいません.ただしラベル(日時・採集場所・採集者を記入)は必ず付けて,密閉できる容器に入れ,防虫剤も忘れずに入れておきます.

 Q103 

ファネルトラップの構造や購入先,値段等を知りたいので教えてください.

ファネルトラップは,フェロモンを使用して蛾類(ハスモンヨトウ)を誘殺する目的で市販されています.構造はHPのファネルトラップに図解があるように,簡単に組み立てができます.同じような製品がルアートラップという名前で販売されています.直射日光が当たると次第に劣化しますが,一度購入すれば耐用年数はかなり長いと思います.詳しくはHPの”ファネルトラップ”を参考にして下さい.

 Q104 

誘引トラップがHPで紹介されていましたが,トラップでスズメバチの駆除は可能でしょうか?また,誘引剤の作り方をもう少し具体的に知りたい.

スズメバチの生息密度をトラップでコントロールすることは,特定の場所の極めて限られた範囲に,相当多数のトラップをしかければ可能かもしれませんが,一般的には難しいと思います.簡易なものでしたらペットボトルを使って作ることも可能です.詳しくは”ペットボトルを利用した手作りトラップ”を参照してください.

誘引剤はカルピスと水を6:4で混ぜた物を使用しています.常温に置いておけばじきに発酵して誘引効果が現れてきます.その他、誘引剤としていろいろ工夫がされているようです.ビールや日本酒、あるいは焼酎などにジュース類を混ぜたり,砂糖や酢などを混ぜて作る人もあるようです.