TOP > ハチの巣の対処法

コガタスズメバチやヒメスズメバチ,アシナガバチなど,攻撃性が比較的弱い種類については,誤って巣に触れてしまうような場所で無い限り,必ずしも駆除する必要はない.スズメバチの益虫としての側面を大切にする意味でも,そのまま放置しておくことも一つの方法である.冬にはハチは死に絶えて巣は空になり,巣は翌年再利用されることはない.

 

ドロバチの仲間やクマバチなどの単独生活するハチは,手で握らない限り人を刺すことはないので駆除する必要はない.巣を見つけたら早めに取り除くことが大切である.春先の単独営巣期には,危険性がほとんどないので駆除も容易である.

 

 

 

●本当に駆除が必要かどうか?考えてみる.

スズメバチやアシナガバチ,ミツバチなど,集団生活をするハチの一部は,巣を刺激したり,近づきすぎたりすると,巣を守るために人を攻撃することがある.そのため巣の場所によっては被害防止のため駆除が必要である.

スズメバチの場合は,女王バチが単独で営巣している営巣初期の巣を除いて,”駆除には少なからず危険が伴う”ため,個人では駆除しないほうが良い.

 

●自分で駆除しようとする前にまずすること.

お住まいの市町村の担当課や最寄りの保健所に相談するとよい.(1) 無料で駆除してくれるケース,(2) 駆除業者を紹介し,費用の一部を負担してくれるケース,(3) 駆除業者を紹介してくれるだけで,全て個人の負担で駆除するケース等,対応は地域により様々である.「防護服の貸し出し」をしている自治体もあるので,これを利用すればより安全に駆除することができる.

 

●どうしても自分で駆除する必要がある場合.

スズメバチの種類により対応方法が異なる.攻撃性の強いオオスズメバチやキイロスズメバチは個人で駆除するのは大変困難であるため,駆除の専門家に依頼することをすすめる.また比較的性質がおとなしいコガタスズメバチでも,巣を刺激すると激しく攻撃してくる.専門家の手にかかると,極めて短時間に処理が終わり簡単そうに見えるが,不慣れな人には緊張を強いられる難しい作業である.不用意な処理はハチを興奮させ,刺傷被害の原因となるので十分注意する.

 

 

アシナガバチはスズメバチに比べて攻撃性が弱いことから,手を伸ばしても触れることのない高い所の巣については,むしろそのままにしておくことを勧めている(駆除に際に脚立などを使用すると,ハチの刺される可能性よりも,脚立から落下してけがをする可能性の方が高いため).誤って触れてしまう可能性のある低いところの巣については,駆除もやむを得ないと思われる.

 

その際は,昼間に巣の様子をシッカリ観察しておいて,ハチが巣に集まっている夜間に,市販のスプレー式殺虫剤(ゴキブリ用でも何でも可)を,巣から1〜2m離れた風上側から,巣に向かって20〜30秒間噴霧すれば簡単に駆除できる.ただし,懐中電灯を使用すると,ハチが灯りに向かって飛んでくることがあるおで,使用に当たっては赤いセロファンをかぶせるようにする.

 

薬剤を噴霧すると,巣に止まっていたハチが飛び散るが,これは攻撃ではないので,飛んでくるハチの体に触れないように注意して噴霧を続ける.殺虫剤が数秒でも体に付着すると,ハチは攻撃性がほとんどなくなり,飛び立ったまま巣へ戻ることなく死亡する.薬剤のかかったハチは人を刺すことはないので,驚いて作業を中断せずに,巣に向かって薬剤を噴霧し続ける.

 

巣にハチがいなくなったら,すぐに取り除く.巣を取り除いてから戻ってきたハチは,巣を探して辺りを飛び回るが,人を襲うことはない.巣のあった付近に,殺虫剤を10〜20秒間噴霧しておくと,残ったハチは薬剤に触れて死亡する.

最近はハチ駆除専用のスプレーも何種類か販売されている.少し高価であるが,これを使用すればより安全に駆除することができる.

 

 

ハチの巣の駆除用に,さまざまな殺虫剤や駆除器具が販売されているが,スプレー式殺虫剤を除くと個人の使用を前提に開発された商品はそれ程多くない.プロ用(業務用)に開発された機具は値段も高価なものが多い.

使用にあたってはパンフレットを取り寄せるなどして,それぞれの長所,短所を良く見極め,自分の目的にあった器具を使用すると良い.

 

●スプレー式殺虫剤

一般の人が薬局や園芸店で購入できる家庭用殺虫剤には,エアゾール型(スプレー式),燻煙剤などがある.また,最近はスプレー式のハチ駆除専用の薬剤も市販されている.いずれの殺虫剤も有効成分にピレスロイドを含むものが大部分で,一般家庭用としてゴキブリ,ハエ,カなどの駆除に使われている.エアゾール型のピレスロイド系殺虫剤は、スズメバチ(アシナガバチ)に対する効果が高く,ハチの巣に向けて噴霧したとえ数秒でもハチの体に薬剤がかかると,ハチは苦悶して飛び回ったのち落下して死亡する.一般にハチはハエやカ,ゴキブリよりもはるかに薬剤に弱い.

 

各社から製品が販売されており,メーカーや対象害虫により成分や含量が異なっているが,ハチに対する効果はほとんど変わりはない.なお,最近のエアゾール剤は高圧ガスを用いた可燃性なので,使用にあたっては火気に注意する.

ゴキブリやカ・ハエ駆除用の殺虫剤は薬剤を霧状に噴霧するため,ハチはすぐには落下しないが,薬のかかったハチはまもなく死亡する.

 

ハチ駆除専用のスプレー式殺虫剤は薬剤を水鉄砲のように直線的に噴射するため,薬剤が命中すればハチは飛ぶ間もなく落下する.いずれの商品もアシナガバチの駆除用で,スズメバチの駆除には巣が小さい場合を除いて使用しないように注意書が表示されていることが多い.噴射量が多いため噴射時間が極めて短いので,予備の殺虫剤を用意するなど注意が必要である.

 

●スズメバチ防護服

スズメバチの防護服は現在の数社で作られている.各社ともさまざまな工夫がなされているが,使い勝手や安全性の面ではそれぞれに長所・短所がある.また値段も結構高価なので,購入にあたってはパンフレット等で十分比較・検討すると良い.防護服を着ていれば万全というわけではないので,作業にはくれぐれも注意が必要である.