世界には東南アジアを中心に9種のミツバチが生息しています.日本には在来種であるニホンミツバチ Apis cerana japonica (東洋ミツバチの日本亜種)と,養蜂用に導入されたセイヨウミツバチ Apis merifella の2種が生息しています.
 名古屋市内にもこの2種が見られますが,ミツバチに関する最近の苦情や相談は,セイヨウミツバチよりもニホンミツバチに関するものが大半を占め,しかも営巣についての相談が増加しています.


ミツバチの基礎知識

 巣は数年にわたって継続する多年性で,分蜂により旧女王が働きバチと一緒に巣を離れ,新しく巣を作ります.分蜂時期はニホンミツバチで4月中旬〜5月中旬,セイヨウミツバチではこれよりも少し遅く5月〜6月頃になります.風の無い暖かな日が選ばれ,分蜂群は営巣場所を探すために早ければ数時間,長い場合は数日間巣の近くの樹木に止まり,その後営巣場所へ移動します.街路樹や庭木などに多数のハチが蜂球を作って群るため恐怖感を与えますが,分蜂群はおとなしいため,ハチを刺激したりつぶさないかぎり決して刺すことはありません.
 両種とも比較的性質が温順で攻撃性は弱く,特に分蜂時には人を襲うことはほとんどありません.セイヨウミツバチの攻撃性は品種や群によっても違いますが,巣箱の移動中などに刺されることが多いようです.ニホンミツバチはセイヨウミツバチよりも攻撃性が弱く,おとなしいハチですが,寒冷期には攻撃性が強くなります.巣に近づいただけでも刺すことがあり,振動を加えると集団で反撃するので注意が必要です.本市でも1月〜3月にかけて,刺傷被害が発生した事例があります.一匹でも刺されると,毒針が抜けて仲間のハチを刺激する物質が周囲にまき散らされ,多数のハチに襲われることがありますから,速やかに巣から離れてください.また毒針(毒嚢も一緒についている)が刺さったままになっていることが多いので、毒針をピンセットなどでつまんで抜いてやる必要があります.毒液を絞り出した後,刺された部分をよく水道水などで洗い流すと良いでしょう.


ミツバチ2種の見分け方

 働きバチの体長は,ニホンミツバチが10〜13mm、セイヨウミツバチが12〜14mmとニホンミツバチの方が少し小柄です.腹部の縞模様はニホンミツバチの方がハッキリしており黒っぽく見えますが.個体差も大きく見分けが難しいこともあります.正確には後翅の支脈の違いで見分けることができます.
ニホンミツバチ セイヨウミツバチ

後翅の支脈が離れる

後翅の支脈がくっつく