女王バチによる単独営巣期の巣

アラカシに営巣した成熟期の巣

ヤブガラシの蜜を吸う働きバチ

コガタスズメバチの生態

 本州西南暖地の都市部を中心に,コガタスズメバチやキイロスズメバチが多発し,各地で大きな問題となっています.名古屋市ではコガタスズメバチが全体の90%以上を占めて圧倒的な優占種となっており,市内全域で最も普通に見ることができます.
 1983年7月の駆除開始以降,2008年に駆除活動を終了するまでの25年間に得られたコガタスズメバチのデータは1万2千件に達しています.この膨大なデータを元に,都市におけるコガタスズメバチの生態を様々な角度から詳しく見ていきます.


コガタスズメバチとは

 コガタスズメバチ Vespa analis は,キイロスズメバチとともに,都市部を中心に各地で多発しています.その理由として,(1) 営巣規模が比較的小さい,(2) 営巣場所に柔軟性がある,(3) 餌としてさまざまな昆虫やクモを狩ることなどが挙げられ,市街地の環境に最も適応能力の高い種であるといえます.
 名古屋では市内全域で最も普通に見られ,駆除件数の90%を占めて圧倒的な優占種となってます.体長は女王バチ25〜30mm,働きバチ22〜28mmで,名古屋市内に生息する5種のスズメバチ属のハチ(コガタスズメバチ,キイロスズメバチ,ヒメスズメバチ,モンスズメバチおよびオオスズメバチ)のなかでは中位の大きさです.オオスズメバチとよく似ていますが,一般に小型であることや頭楯(とうじゅん)の形で区別することができます.成虫はヤブガラシ,キヅタなどの花蜜をなめによくやってきますが,樹液ではあまり見かけません.
 巣は外皮に覆われたボール状をしていますが,女王バチが単独で巣作りをしている時期にはトックリを逆さにしたような形をしています.営巣規模は比較的小さく,最盛期でも巣の大きさはタテ30cm×ヨコ25cm位,巣盤数は2〜5層,育房数は1,000房位に過ぎません.営巣場所は樹の枝や家屋の軒下などの開放的な場所で,約80%が樹木に,残り20%が家屋に巣を作ります.
 越冬を終えた女王バチが5月中旬頃に単独で営巣を開始します.働きバチの羽化は6月中旬で,活動が最も活発となる9月〜10月には100頭を越えます.オスと新女王は9月〜11月に羽化します.幼虫の餌としてハエ,アブ,小型の甲虫類やハチなどあらゆる昆虫を狩ります.
 攻撃性,威嚇性は5種の中では弱い方ですが,巣を刺激すると激しく攻撃するため,剪定作業中などにしばしば刺傷被害が発生しています.


よく似た種(オオスズメバチ)との判別点


  コガタスズメバチ オオスズメバチ
女王バチの大きさ 25-30mm 40〜45mm
働きバチの大きさ 22-28mm 27〜40mm
頭楯の形
下の突起は3つ

下の突起は2つ
営巣場所 樹木の枝や建物の軒下
などの開放空間
樹洞や地中などの
閉鎖空間